一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

冬の青春18きっぷの旅1・昇仙峡に行く

2012-01-06 00:04:36 | 旅行記・その他の地域
先月、九州をバスで旅行したとき、鉄道旅行を思いっきりしたいと思った。JRはいまの時期、「青春18きっぷ」を発売している。これは12月10日から1月10日までの任意の5日間に、全国のJR普通列車と快速列車に乗り放題という企画切符である。これを利用して、年末年始はプチ旅行をしようと思う。日程は、12月29日~31日、1月7日~9日である。
大掃除も終わった翌12月29日、遅く起きた私は、午前10時少し前に自宅を出た。きょうは甲府を観光し、そのまま甲府に宿泊する。
みどりの窓口で、「青春18きっぷ」(11,500円)と「東京都区内→甲府」(2,210円)を買う。青春18きっぷは1日当たり2,300円。今回の旅行では2日分を使うので、うち1日は短い移動区間にしなければならない。初日の甲府どまりは、そのための措置だった。
山手線に乗り、新宿で中央線に乗り換える。10時31分発の快速は青梅行き。37分の特別快速は高尾まで行くので、31分をやり過ごして37分を待てばいいのだが、少しでも先に行きたい私は、31分の電車に乗ってしまった。
ところがこの快速が、荻窪で停車しない。このまま特別快速に抜かれたら一大事だぞと焦ったが、三鷹で後発の特別快速待ちがあり、ここで乗り換えることができた。
定刻の10時50分を1分遅れで三鷹を出発、11時20分に高尾に着いた。3分の待ち合わせで中央本線に乗り換えた。
左右の車窓には山脈が見える。約2ヶ月前、「信濃わらび山荘将棋合宿」に参加した土曜日組は、この中央本線に乗って、合宿入りした。そのとき彼らは車内で将棋を楽しんだのだが、鉄道マニアから見ると、この車窓を楽しまないとは、信じられない。
12時56分、甲府着。改札を抜けると、「銀河鉄道999」のメーテルに似ている女性が、エスカレーターを下りて行った。
駅前に出ると、右手に武田信玄像があった。甲府に来たんだなと思う。何はともあれ貯金である。駅前にある郵便局に入る。「甲府駅前郵便局」1,229円。
ここは良心的な郵便局で、市内の観光パンフレットとポケットティッシュをくれた。
甲府では昇仙峡に行こうと思う。昇仙峡行きは13時30分発のバスがあるが、まずは昼食である。駅前に牛丼専門店「吉野家」があるが、さすがに入る気はしない。山梨名物「ほうとう」を食べたい。しかしこれといった店がない。
ほうぼうを歩いていたら、ファミリーレストラン「ジョナサン」を見つけた。ファミレスとはいえ、山梨ならほうとうのメニューがあるのではないか? ジョナサンには東京でもお世話になっているし、入ることにする。
ところが、メニューは東京と全く同じだった。年末なのでランチメニューも休みで、ハンバーグと広島牡蠣のセットを頼む。
店内を行き来するウエイトレスさんを見ていると、Ayakoさんを思い出す。彼女がフラッと現れそうな気がする。2012年はAyakoさんと飲みに行きたいと思う。
まだ時間があるので、駅からすぐにある甲府城址(舞鶴城公園)に向かう。私は城めぐりが好きで、全国の主だった城は訪れている。甲府城址は、何年か前、仕事で山梨に行く途中に、オヤジと立ち寄った。今回ひとりでの訪問は初めてである。甲府城は天守閣はないが、城址からの眺めが素晴らしかった。
14時45分のバスで昇仙峡に向かう。昇仙峡はけっこうな観光地だと思うのだが、やはり乗客は少ない。バスはグリーンラインと称するところを通る。クルマよりも一段高いところから眺めるから景色がいい。
昇仙峡滝上、15時33分着。街の温度計は1度を指していた。
仙ヶ滝に向かう。両端に商店が並ぶ遊歩道を通って、滝への階段を下る。すさまじい滝の音。いよいよだ。階段を降り切ると、全貌が見えてきた。これがすばらしい景色だった。滝の両端に奇岩がせり出し、大量の水が数十メートル下の滝壺にドドドと落ちる。読売新聞の企画「平成百景」では堂々の2位に入ったというが、それもうなずける。時期が時期なら、もっと多くの観光客でにぎわうだろう。
昇仙峡は下まで遊歩道が続いていて、この一帯が昇仙峡の白眉なのだが、ロープウェイが出ているので、さらに上に行ってみたい。
乗り場まで行く道の途中に、「昇仙峡郵便局」があった。時刻は15時58分だからまだ貯金はできるが、旅行貯金は1日1回と決めているから、しない。しかし「甲府駅前郵便局」という味気ない名称より、「昇仙峡郵便局」のほうが、観光をしたという気がする。ちょっと今回の郵便局選択は誤った。
次のパノラマ台行きロープウェイは16時10分。そしてこれが最終である。帰りは16時30分が最終。かなり慌ただしく、こんなことなら甲府発13時30分のバスで来るべきだったが、後悔しても遅い。さりとて引き返すわけにもいかず、私は1,000円の往復切符を買う。
行き(上り)の乗客は、私と1組のカップルのみ。それに女性添乗員さんが乗る。5分でパノラマ台に着いた。
ここで時間があればあっちこっちに足を伸ばしたいところだが、いかんせん時間がない。駅のすぐ前に設えられた展望台から、下界を望む。空気が澄んで気持ちいい。彼方には富士の山が優美な姿を見せている。よく考えたら、今年富士山を見たのはこれが初めてではないか。3日後の1月1日には、ここも満員になるのだろう。
パノラマ台駅に戻ると、右手に祠があり、和合権現の看板があった。中を覗くと、御神木が祀られている。男性のナニと女性のナニに見え、要するに子宝に恵まれる木らしい。現在の私には不必要だが、一応お参りしておく。
16時30分の最終ロープウェイで下る。甲府行きのバスは18時00分発で、これが最終である。時間を持て余し、再び、仙ヶ滝に下りる。しかしあたりは暗く、気が沈むばかりだ。
バス停に戻る。ここは影絵美術館の敷地内だが、ひとりで影絵を楽しんでもむなしいから、入らない。間近に立つ温度計は、氷点下1度を示していた。
甲府駅行きのバスは、行きに来た道を引き返すのかと思いきや、バスはその先を進み、山道をぐるっと回って甲府駅に戻るらしい。宮古島の吉野海岸行きのバスルートもそうだったが、バスは行きと帰りのルートが違うことはよくある。早まってぶらぶら戻らなくてよかった。
いまは午後5時。甲府行きバスは18時06分に金桜神社を発着するらしいので、そこまで歩いて行くことにする。
さみしい黄昏時である。歩くごとに闇が深くなり、それに比例するように、心細くなってきた。
この国道は登り道である。甲府までの帰路なのに、離れていく感じだ。時刻は17時20分。あたりはすでに真っ暗だ。金桜神社方面はこちらで合っているはずだが、ルートを間違えたらアウトだ。甲府までは徒歩かハイヤーで戻らねばならない。
本当にこの先に、神社があるのだろうか。なんでオレはここを歩いているのだろう。いまから滝上のバス停に戻ろうか。私はますます心細くなった。
(つづく)
コメント
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