6日(土)は埼玉県川口市にある「大野教室」に行った。
大野教室とは、日本将棋連盟棋士の大野八一雄七段が講師を務める将棋教室で、初心者から有段者まで、その人の棋力に合わせた指導を行うものである。臨時講師には、同じく日本将棋連盟所属の植山悦行七段、LPSA所属の中井広恵女流六段ら。開講日は原則的に、第1、3の土・日曜日。時間は午後1時から5時まで。料金は1回3,500円である。
教室には1時37分に入った。大野七段がSa氏、Ii君、美少年君に指導対局を行っていた。それを見守るW氏。
奥の部屋では植山七段が、Ma君、Honma君、Hanaちゃんに指導対局を行っていた。
まずは大野七段に教えていただく。角落ち。角落ちの定跡はあってないようなもので、下手の構想力が問われる。そこが指していて楽しいところだ。
相居飛車の立ち上がり。ゆくゆくは矢倉に組もうかと思ったが、上手に△6五歩と位を取られ、ふつうに組めなくなった。
角落ちの教えは「位負けしないこと」がある。だから下手は△6四歩に▲6六歩と突けばいいのだが、居角で上手玉を牽制するのも捨てがたい。
私は慎重に時間を使う。以前は早指しだったが、最近は読みに正確を期すようになった。
▲7九角では角の活用が見込めないので、▲7七銀を▲6八銀と引く。
では、中盤の局面を記す。
上手・大野七段(角落ち):1一香、1四歩、2三歩、3二玉、3三桂、3四歩、4二銀、4三金、4四銀、5四飛、5五金、5六歩、6五歩、7五歩、8一桂、9一香、9四歩 持駒:歩
下手・一公:1六歩、1九香、3六歩、3七桂、4七銀、4九飛、5八歩、5九金、6七歩、6八銀、7六歩、7七角、7八金、7九玉、8七歩、8九桂、9六歩、9九香 持駒:歩2
以下の指し手。▲3五歩△5三銀上▲2二歩△同玉▲3六銀△3五歩▲同銀△4五歩▲5五角△同飛▲3四金△同金▲同銀△6一角▲3五歩△2四金▲3三銀不成△同玉▲2五歩△3五金▲4七桂△5四飛▲3五桂△3四銀▲2三桂成△同玉▲2四金△3二玉▲3四金△同角▲2五歩△6一角▲4五桂△4二銀▲3四金△4六歩
私は▲3五歩と突いた。上記と矛盾するが、以下の変化をあまり読んでいなかった。ただ、攻めるんだったらここの歩を切っておかなければならないと思った。
大野七段は△5三銀上(だったと思う)。私は▲2二歩。△同玉は取り切れないだろうとフンでいたが、指導対局なので取ってくれた。
数手後に角を切り、▲3四金が確実な攻め。ここではギリギリ手になっていると思った。
数手後の△2四金に、▲3三銀不成から▲4七桂。△3四銀には▲2三桂成から▲2四金と、細い攻めを繋げる。
▲4五桂と気持ちよく跳ね、再び▲3四金と重たく攻める。これに大野七段が△4六歩と垂らしたところで、3時休憩となった。
生徒はKun、Fuj、Honの各氏が増え、来るべき人が来た、という感じ。
詰将棋プリントが配られたが、問題を見ても解く気が起こらない。表へ出て雑談する余裕もなく、私は盤面を睨んでいた。
▲4三歩△4五銀▲4二歩成△同玉▲3三銀△5三玉▲4四銀成△同飛▲6二銀△同玉▲4四金△8六歩▲4五金△8七歩成▲8二飛△7二銀▲8七飛成△7四桂▲7五歩△8六歩▲7六竜△8七銀▲同金△同歩成…以下、大野七段の勝ち。
3時35分、再開。私はすぐに▲4三歩と打った。銀を只で取らせるわけにはいかないから上手は△3三銀上だろうが、それは下手が攻め切れると思った。
ところが上手は△4五銀! 文字通りノータイムで桂を外され、愕然とした。まさか銀を見捨ててくるとは思わず、これまでの考慮が無駄になった。
私は手順を尽くして飛車を取るが、持ち駒が飛車銀では切れ気味である。
大野七段は△8六歩。▲同歩は利かされと見て▲4五金と銀を補充したが、△8七歩成から△7四桂とされ、筋に入ってしまった。
室内が暑い。冷房の温度を下げようか、という声が出ている。しかしもう10月である。みな、アタマから相当量の熱を発散させているのだろう。
△8七銀に▲6五竜の王手は、△6四歩▲同竜△6三歩で下手負け。私は▲8七金と取ったが、△同歩成以下鮮やかに寄せられた。
戻って、▲4三歩ではふつうに▲4六同飛と取るべきだった。△5五金には▲3三銀と打ち込む。以下数手進めて、△3四玉△4四飛、▲4九飛の形で、▲2三角が決め手。これなら下手が十分だった。
上手が勝てるとしたら▲4三歩で、それなら△4五銀でむずかしい戦いになると思った、と大野七段の感想があった。
冒頭に戻って、私の▲3五歩は、自分から突こうとしていただけに、大野七段も驚いたらしい。△5三銀上と指したが、△3五同銀で下手の攻めがむずかしい、という結論になった。
本譜は下手の手筋がビシビシ決まって、上手は負けを覚悟していたという。しかしそこから勝つのが上手のチカラなのだ。
熱闘の余韻さめやらぬまま、続いてHanaちゃんと対局。Hanaちゃんは将来女流棋士を目指すだろうから、いずれはこちらが駒を落とされるときが来るだろうが、いまはまだ平手で指せる。
私の先手で▲2六歩。△3四歩▲2五歩△3三角で、ゴキゲン中飛車封じに成功した。
Hanaちゃんはふつうの中飛車に来たが、私は5筋に駒を集めて防御する。しかしHanaちゃんの巧妙な攻めが通って、また私が悪くなった。
ところがHanaちゃんは私の玉形を薄くする順を見送り、強引に捌いてきたので、私が優勢になった。
では終盤の局面を掲げる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/e7/945c47266c8cf7fbfae0d4a842415b93.png)
駒の損得はないものの、▲5三との存在や△2四飛の働きがいまひとつなのを考えると、この局面は私の勝勢だと思う。
ところがこの将棋、私が負けた。
(つづく)
大野教室とは、日本将棋連盟棋士の大野八一雄七段が講師を務める将棋教室で、初心者から有段者まで、その人の棋力に合わせた指導を行うものである。臨時講師には、同じく日本将棋連盟所属の植山悦行七段、LPSA所属の中井広恵女流六段ら。開講日は原則的に、第1、3の土・日曜日。時間は午後1時から5時まで。料金は1回3,500円である。
教室には1時37分に入った。大野七段がSa氏、Ii君、美少年君に指導対局を行っていた。それを見守るW氏。
奥の部屋では植山七段が、Ma君、Honma君、Hanaちゃんに指導対局を行っていた。
まずは大野七段に教えていただく。角落ち。角落ちの定跡はあってないようなもので、下手の構想力が問われる。そこが指していて楽しいところだ。
相居飛車の立ち上がり。ゆくゆくは矢倉に組もうかと思ったが、上手に△6五歩と位を取られ、ふつうに組めなくなった。
角落ちの教えは「位負けしないこと」がある。だから下手は△6四歩に▲6六歩と突けばいいのだが、居角で上手玉を牽制するのも捨てがたい。
私は慎重に時間を使う。以前は早指しだったが、最近は読みに正確を期すようになった。
▲7九角では角の活用が見込めないので、▲7七銀を▲6八銀と引く。
では、中盤の局面を記す。
上手・大野七段(角落ち):1一香、1四歩、2三歩、3二玉、3三桂、3四歩、4二銀、4三金、4四銀、5四飛、5五金、5六歩、6五歩、7五歩、8一桂、9一香、9四歩 持駒:歩
下手・一公:1六歩、1九香、3六歩、3七桂、4七銀、4九飛、5八歩、5九金、6七歩、6八銀、7六歩、7七角、7八金、7九玉、8七歩、8九桂、9六歩、9九香 持駒:歩2
以下の指し手。▲3五歩△5三銀上▲2二歩△同玉▲3六銀△3五歩▲同銀△4五歩▲5五角△同飛▲3四金△同金▲同銀△6一角▲3五歩△2四金▲3三銀不成△同玉▲2五歩△3五金▲4七桂△5四飛▲3五桂△3四銀▲2三桂成△同玉▲2四金△3二玉▲3四金△同角▲2五歩△6一角▲4五桂△4二銀▲3四金△4六歩
私は▲3五歩と突いた。上記と矛盾するが、以下の変化をあまり読んでいなかった。ただ、攻めるんだったらここの歩を切っておかなければならないと思った。
大野七段は△5三銀上(だったと思う)。私は▲2二歩。△同玉は取り切れないだろうとフンでいたが、指導対局なので取ってくれた。
数手後に角を切り、▲3四金が確実な攻め。ここではギリギリ手になっていると思った。
数手後の△2四金に、▲3三銀不成から▲4七桂。△3四銀には▲2三桂成から▲2四金と、細い攻めを繋げる。
▲4五桂と気持ちよく跳ね、再び▲3四金と重たく攻める。これに大野七段が△4六歩と垂らしたところで、3時休憩となった。
生徒はKun、Fuj、Honの各氏が増え、来るべき人が来た、という感じ。
詰将棋プリントが配られたが、問題を見ても解く気が起こらない。表へ出て雑談する余裕もなく、私は盤面を睨んでいた。
▲4三歩△4五銀▲4二歩成△同玉▲3三銀△5三玉▲4四銀成△同飛▲6二銀△同玉▲4四金△8六歩▲4五金△8七歩成▲8二飛△7二銀▲8七飛成△7四桂▲7五歩△8六歩▲7六竜△8七銀▲同金△同歩成…以下、大野七段の勝ち。
3時35分、再開。私はすぐに▲4三歩と打った。銀を只で取らせるわけにはいかないから上手は△3三銀上だろうが、それは下手が攻め切れると思った。
ところが上手は△4五銀! 文字通りノータイムで桂を外され、愕然とした。まさか銀を見捨ててくるとは思わず、これまでの考慮が無駄になった。
私は手順を尽くして飛車を取るが、持ち駒が飛車銀では切れ気味である。
大野七段は△8六歩。▲同歩は利かされと見て▲4五金と銀を補充したが、△8七歩成から△7四桂とされ、筋に入ってしまった。
室内が暑い。冷房の温度を下げようか、という声が出ている。しかしもう10月である。みな、アタマから相当量の熱を発散させているのだろう。
△8七銀に▲6五竜の王手は、△6四歩▲同竜△6三歩で下手負け。私は▲8七金と取ったが、△同歩成以下鮮やかに寄せられた。
戻って、▲4三歩ではふつうに▲4六同飛と取るべきだった。△5五金には▲3三銀と打ち込む。以下数手進めて、△3四玉△4四飛、▲4九飛の形で、▲2三角が決め手。これなら下手が十分だった。
上手が勝てるとしたら▲4三歩で、それなら△4五銀でむずかしい戦いになると思った、と大野七段の感想があった。
冒頭に戻って、私の▲3五歩は、自分から突こうとしていただけに、大野七段も驚いたらしい。△5三銀上と指したが、△3五同銀で下手の攻めがむずかしい、という結論になった。
本譜は下手の手筋がビシビシ決まって、上手は負けを覚悟していたという。しかしそこから勝つのが上手のチカラなのだ。
熱闘の余韻さめやらぬまま、続いてHanaちゃんと対局。Hanaちゃんは将来女流棋士を目指すだろうから、いずれはこちらが駒を落とされるときが来るだろうが、いまはまだ平手で指せる。
私の先手で▲2六歩。△3四歩▲2五歩△3三角で、ゴキゲン中飛車封じに成功した。
Hanaちゃんはふつうの中飛車に来たが、私は5筋に駒を集めて防御する。しかしHanaちゃんの巧妙な攻めが通って、また私が悪くなった。
ところがHanaちゃんは私の玉形を薄くする順を見送り、強引に捌いてきたので、私が優勢になった。
では終盤の局面を掲げる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/e7/945c47266c8cf7fbfae0d4a842415b93.png)
駒の損得はないものの、▲5三との存在や△2四飛の働きがいまひとつなのを考えると、この局面は私の勝勢だと思う。
ところがこの将棋、私が負けた。
(つづく)