一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

羽生名人を褒めすぎる

2014-09-13 22:35:04 | 将棋雑考
最近はタイトル戦に限らず、予選でもネット中継があり、ありがたい。それらを見ていて感じるのは、とくに関東棋士に多いのだが、羽生善治名人の指し手に対しての、過剰な?賞賛である。
たとえば先日の、竜王戦挑戦者決定戦第3局。

48手目△2六銀に対する勝又清和教授のコメント。
「目が覚めました」
「しかし銀か。この世にこんな手があったのか」

16時30分ごろの控室。
「第2局の終盤で出た▲7四銀(97手目)と捨てる手が『すごい手だった』と話題になっている」

72手目、△1九飛成に対しての片上大輔六段のコメント。
「見えている世界が違うなあ」


羽生名人は大山康晴十五世名人に並ぶ史上最強の棋士だし、通算勝率も7割を軽く越えているから、いままで痛い目に遭わされてきた棋士が羽生名人をリスペクトするのはよく分かる。実際、▲7四銀、△2六銀などは私も素晴らしい手だと思う。が、そこまで持ち上げなくてもと思う。△1九飛成などはふつうの手だと思うし、コメントの発信者の感心の理由を分かりかねるところもある。
とにかく、引退棋士がつぶやくならまだしも、発信者は現役バリバリである。皆さんこれからも羽生名人との対局があるわけで、そこまでへりくだらなくてもいいのではと思うのだ。
今月号の「将棋世界」、勝又教授の「突き抜ける!現代将棋」に、ちょうど興味深い記述があったので、一部を引用させていただく。羽生名人と屋敷伸之九段の一局である。

この将棋を将棋連盟の控室で並べて検討していると、佐藤康光九段がやって来て、△2七角を見るなり「これはいい手ですね」ときっぱり。私が「羽生さんが指した手ですよ」と説明すると、康光先生、一瞬、シマッタという顔をしました。羽生さんの手を誉めるのはシャクだったんですよね。2人が30歳位のときのエピソードです。

佐藤九段のこの意気を、私は大いに買う。羽生名人の指し手に感心するなとは言わないけれど、ネットの解説者はコメントの隅に、羽生名人への対抗心を匂わせてほしい。
コメント (3)
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