一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

衝撃の結末(後編)

2014-09-26 21:00:44 | 大野・植山教室

以下の指し手。▲3一飛△8九飛

私は▲3一飛と打ったが、悪手。▲8二飛の直接王手がよかった。これに後手がどう応じても、先手指せる。
Fuj氏は△8九飛。私は相手の受けの手ばかりを考えていたので、思わぬところから王手が飛んできて、びっくりした。
これに▲8八銀は△7六金で生きた心地がしないので合駒をするが、▲8八銀打では詰めろが解けるし、▲8八桂は弱い。終盤でこんな軟弱な手を指していてはダメだ。
そこで玉を引く手を考えると、意外にもこれで耐えている気がした。問題は▲7八に引くか▲9八に引くかだが、7八は後の香取りが残る。それで9八か。▲9八玉△8七銀▲8九玉△9七桂は、▲同角があり先手勝ち。働きの弱い角が、ここで一働きしている。
では△8九飛は悪手ではないか。▲9八玉なら先手勝ちだ。リーグ戦優勝だ。対Fuj戦の勝率5割だ。しかし…Fuj氏ともあろう猛者が、こんなココセみたいな悪手を指すか? 何か絶妙の詰み筋があるんじゃないか?
私は疑心暗鬼を生じてチェスクロックを見る。と、「27」になっていた。
何だこの数字は? 私は秒読みになっているはずだが、まだ27秒残っているのか? あ? これが全部なくなってから、秒読みなのか? あれ? この数字は増えていくのか?
とりあえず指さなきゃ、▲9八玉、タン!
「あ…」
とFuj氏がつぶやく。チェスクロックを見ると、「End」が表示されていた。
ああん!? 時間切れ!? おいおい冗談じゃねーよ、アアーーン!?
私たちの周りに、何ともいえない空気が流れる。「味悪いな…」と誰かがつぶやいた。
「△6三歩だったですかね…」
数秒の沈黙の後、Fuj氏がつぶやく。△8九飛に代えて△6三歩でしたか、ということだ。調べてみると確かに、それで先手が悪かった。もっとも私が時間切れになり、Fuj氏が勝ったのだから、この感想は本質的に意味がない。
いやそれにしても、ここで切れ負けしますか…。もう、よほど帰ろうかと思ったのだが、まだ大野八一雄七段から指導対局を受けていないので、帰るわけにいかない。
その大野七段はあらかた指導対局を終えており、私とは1対1の対局になった。
しかし私は前局のショックをひきずり、対局どころではない。前局の変化を頭の一部で反芻しつつ、駒を進めた。
私は▲6五の位を取り、十分。しかしそれで満足していたら、大野七段は△6二銀~△6三銀と組み換え、△6四歩と合わせてきた。何とこれで、6五の位を支えきれない。
以下は中央からじわじわと押され、中押し負けとなった。
感想戦で私自身が述べたが、6五の位を取った後、さらに▲7五歩と突っかけて、こちらの位も取るのだった。以下▲7六銀~▲6七金とすれば、盤石の態勢になる。
中盤の入口までの構想はよかったのに、それを活かせなかったのが、残念だった。
時間があるので、大野七段に1局目の二枚落ちの将棋を見てもらう。
「私はここで△2四歩と突いたんですけど、△4一桂と打つべきでした」
「当然でしょ」
「……。終盤、私は△8九金としたんですけど、△6九飛成とすべきでした」
「当然でしょ」
「……」
私たちアマはうんうん苦しみながら最善手を探すが、プロには一目なのだった。
アマ強豪のIi君がヒマそうなので、私と対局をする。もちろん私が先手で、相居飛車の将棋になったが、序盤で不急の▲4八銀を指したため、後手にだけ飛車先の歩を交換され、面白くなかった。
ところがここでW氏からコールが入り、Ii君は別の人とリーグ戦を指すことになった。
今度は私がヒマになったがそこはよくしたもので、先ほど訪れたOg氏と指すことになった。
Og氏は元奨励会初段の強豪で私など相手ではなく、実際私はOg氏に2つか3つしか勝ったことがない。それなのになぜかOg氏は、私を評価してくれている。
私の先手で、矢倉になった。△6四歩と突いたので急戦かと思いきや、持久戦になった。
力戦型になり、「40年前の将棋ですね」とOg氏がつぶやく。中盤までそこそこ指せると思ったが、そこは実力の差が出て、徐々に私が悪くなった。
だが、ここで決められる…と負けを覚悟した局面で、Og氏がことごとく緩手を指してくれ、気がついたらいい勝負になっていた。
最後△7五金の王手馬取りに、私が▲6七玉と引いて、Og氏が投了。まだ一山も二山もあると覚悟していたのでビックリしたが、こっちも疲労困憊だったので、あえて踏み込まなかった。
大野七段が感想戦に付き合ってくれたが、投了以下は何と、私の負けになった。
私は負け将棋を拾ったわけだが、Fuj氏との将棋で痛い敗戦を喫しているので、あまり喜びがない。
そのFuj氏はIi君と対局し、見事勝利を収めたようだ。いまや大野・植山教室最強のIi君を倒すとは、さすがにFuj氏である。
時刻は7時をとっくに過ぎ、さすがに教室もお開き。私はリーグ戦11勝止まりだったが、対局数も少なかったし、もう優勝は諦めた。

夕食は「とん喜」で。参加者は大野七段、W氏、Og氏、Fuj氏、私。私以外はこの時間帯のレギュラーメンバーだ。
私は、将棋は負ける、私生活はボロボロで、とても食欲がないのだが、私はとん喜定食(トンカツ定食)を平らげる。もうどうしようもない。
食後はガストで、四方山話に花を咲かせる。W氏はいろいろ腹案があるようで、聞いていて楽しい。20年前の私だったら、私もいろいろ企画を出しているところだが、いまの私にその余力はない。
コメント
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