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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第26回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(前編)

2014-09-20 01:57:49 | 将棋ペンクラブ
19日(金)は、東京・四ッ谷の「スクロール麹町」で、「第26回将棋ペンクラブ大賞贈呈式」。ヒトの受賞を祝ったってこっちは面白くないが、ペンクラブには日頃からお世話になっているので、やっぱり出掛けることにした。
開演は18時30分からなのでそれに合わせて向かうが、よく考えたら千駄ヶ谷でなくて四ッ谷である。あまり早く着いても味が悪いので、駅前にあるだろう立ち食いそば屋で、そばでも手繰ることにした。
スクロール麹町の反対側に出ると、果たして「小諸そば」があった。ここは店頭でチケットを買うのではなく、店内で直接頼むようだ。
注文の先客が3人いたが、店員とレジ係のふたりで切り盛りしていて、すこぶる手際が悪い。これから書き入れ時だというのに、なんでこんなにスタッフが少ないのだ。
私はチョー短気で、こういう怠惰は我慢できないのである。私はしばらく待って、店を出た。

改めて四ッ谷は、私がサラリーマンだったころの最寄駅で、当時のいい思い出はまったくない。加藤一二三九段ではないが、私の履歴から抹消したいところだ。
誰に再会するか分からないので、逃げるようにスクロール麹町に入る。ロビーには所司和晴七段がいた。所司七段は、ペンクラブ大賞の最終選考委員である。
さらに神谷広志八段も現われた。いきなり棋士2人に会って、私の緊張が早くも高まる。
いっしょにエレベーターで5階に上ると、白のワンピースの女性が目に入った。室田伊緒女流二段に見える。どうしてここにいるのだろう。他人の空似だろうか。
と、いきなり、という感じで、安食総子女流初段に挨拶された。
「先日の女流棋士40周年パーティーではお越しいただき、ありがとうございます」
もちろん私は感謝感激である。
「あっ、あっ、安食先生、きょうは指導対局でしたですよね。きょうは先生にお会いできるのを楽しみに来ました。あ、あと(渡部)愛ちゃんにも。おふたりに会えれば、もう、ほかの人はいらないです」
と、訳の分からないことを口走る。「あとの指導対局では、よろしくお願いします」
安食女流初段は人妻だから私がときめいたって始まらないのだが、私はすでに緊張の極みだ。もしここで駒桜への入会を勧められていたら、二つ返事で入会していたかもしれない。本当にあぶないところだった。
受付を済ませ、会場に入ろうとすると、今度は室谷由紀女流初段の姿が見えた。
ふふっ…。私もどうかしている。いくら室谷女流初段が東京在住だからって、彼女がここにいるわけがない。あれこそ他人の空似だ。それにしても、室谷由紀クラスの美人がもうひとりいるなんて、世の中はなんて狭いんだ。
会場の向かいは関係者控室になっていて、渡部愛女流初段と目が合った。彼女も指導対局棋士として招ばれているのだ。
こうして私が会場に入ったのは6時17分。しかし中には人がほとんどおらず、唖然とした。これがペンクラブ流なのか。しかし室内前方では、妙齢の女性グループが、悠然とピアノを弾いていた。
果たして開場の6時30分になると、けっこうな人が入室した。むしろ昨年より多い気がする。と、壁際に、室谷女流初段そっくりの女性を確認した。
や、やっぱりホンモノだったんだ!!
まさか生室谷に会えるとは思ってないから、私の心臓はバクバクである。何というか、彼女がいるだけで会場の空気が浄化されるというか、崇高な空間に感じられるのが不思議だった。
ちょっともう、これだけで会費のモトは取った感じである。私はついさっき安食女流初段に言った言葉を忘れ、有頂天になっていた。
いよいよ贈呈式の開始である。司会進行はおなじみ、長田衛氏。
「えー、きょうは代々木公園に近い中をお越しいただき、ありがとうございます」
と、早くも笑いを入れる。ああ…今年の年末は、将棋寄席をやらないのだろうか。

まずは大賞選考委員・西上心太氏による、講評である。なお、木村晋介将棋ペンクラブ会長は、所用のため欠席であった。
観戦記部門大賞・北野新太氏→今回は雑誌掲載の大賞ということで、これはこれで難しい部分がありましたが、タクシーの逸話を最初と最後に織り込んだのが見事でした。
同優秀賞・湯川恵子さん→文章にリズムがあって、講談を聞くかのようでした。
文芸部門大賞・天野貴元氏→あの内容で、人を傷つけていないのがスゴイ。
同優秀賞・森内俊之竜王→森内竜王の飾らない人柄がよく出ていました。
技術部門大賞・森信雄七段→問題を解くのに根気がいる著作です。
…とここまで聞いたこところで、あっと思った。室谷女流初段は、森七段の弟子じゃないか!! そのお祝いのために、駆けつけたのだ!! そうかそうか…。さすが室谷女流初段である。
とひとり感動していたら、同優秀賞・杉本昌隆七段の著作の講評を聞き洩らしてしまった。…あっ!! 室田女流二段は、杉本七段の弟子だ。それで見えてたのか? いや、関西からはさすがに来ないだろう。さっきの彼女は、私の見間違いであろう。

続いて表彰式。これは所司七段が務める。ところが所司七段、「では私も簡単に…」と、講評?を始めてしまった。
これがなんか、妙に長い。しかし、ありがたい講評である。昔原田、今所司か…などと言ってはいけない。
ようやく話が終わり、表彰式となった。色紙状の表彰状を、1枚1枚手渡す。天野氏と森内竜王のときは、ギャラリーから花束が贈呈された。
ここから各氏の謝辞となる。
北野氏「私は2つ心掛けていることがあります。ひとつは将棋の棋士への『思い』。もうひとつは、文章での表現での『思い』です」
恵子さん「コメントは『将棋ペン倶楽部』に書いてあるのを読んでください。でも書き忘れたことがひとつあります。それは、(優秀賞などを含む)大賞受賞が5回目ということで、これは新記録だそうです」
続いて天野氏。正直に告白すれば、氏の作品が大賞を受賞したとき、私には彼が、この日まで生き長らえているか、という不安があった。
しかしそれは見事なまでに杞憂だった。天野氏は声も大きく元気いっぱいに、感謝の意を語り始めた。
「これからは普及の世界で、世界一を目指したいと思います」
カメラの放列もすごいことになっていた。今年はカメラを下げた取材陣が多いと思ったら、みな天野氏を狙っていたのだ。
天野氏の謝辞が終わると、会場から盛大な拍手が送られた。それは私がいままで聞いたことがないほど大きく、心のこもった拍手だった。
(つづく)
コメント (2)
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