Fuj氏との対戦成績は私の14勝15敗。私はプロ棋士との指導対局は勝敗を記録していたが、棋友との勝敗はその限りではない。それでいてこのカードの勝敗数が分かるのは、Fuj氏が記録を取っているからだ。
たしか最初の16局は私の5勝11敗で、全然歯が立たなかった。…というのはジョークで、何でこんなに負けが込んだのかとんと分からぬ。
その後は私も追い上げ、本局に勝てば勝率5割である。私は並々ならぬ決意で臨んだ。
持ち時間は15分、秒読みは30秒。私の先手で▲7六歩△3四歩▲2六歩△4二飛。Fuj氏は居飛車党だが、最近は角交換四間飛車を得意にしている。私との前局もそうだった。
5手目私は▲6六歩。ここ▲2五歩は数手後の逆棒銀があるから躊躇するが、▲4八銀も後の△8八角成があり面白くない。▲6六歩は消極的だが、相手の得意も指させない、という私の主張であった。
私は▲9五歩から天守閣美濃に組む。しかし端を伸ばしたため、米長玉に変化できないのは誤算だった。
Fuj氏は△6五歩から1歩を交換する。私は右銀を7七に移動し、まずまずの形勢。さらに▲7九角と引いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/4d/566f8b25bc6678f11c6dc34c193902a6.png)
以下の指し手。△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀△4六歩▲同歩△6六角▲同金△5七銀▲6五金△4八銀不成▲5四金△同金▲5五歩△6五金▲7七桂△6四金▲5六桂△6三金引▲6四歩
△7三金寄▲6五桂△4七飛▲7七銀打△5七銀成▲3六角△5六成銀▲7三桂成△同玉▲6三金△8二玉▲7二金△同銀▲6三歩成△6五桂▲7二と△同飛▲4七角△同成銀▲6三飛
△7七桂成▲同銀△7三金▲6一飛成△7五桂▲同歩△4三角▲6五桂△6一角▲7三桂成△同飛▲6四金△4三角▲6五歩△7五歩▲7三金△同玉▲6四金△6二玉▲3一飛
△8九飛(第2図)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/73/2f55fb96b4e3b4999ef62a9a8d2f939f.png)
Fuj氏は△6五歩と合わせてきた。当然の▲同歩に△同銀は一手パスだから、Fuj氏は果敢に△同桂。
「おお桂馬か!」
私は叫ぶ。実はこの瞬間、この将棋はもらったと思った。
Fuj氏は角を切って△5七銀。ここで私の▲6五金が用意の手で、△4八銀不成の瞬間が甘いので、私は攻めに転じる。
▲5五歩~▲7七桂~▲5六桂~▲6四歩と敵金を躍らせ、△7三金寄に▲6五桂が気持ちいい跳躍。これでハッキリ勝ったと思った。もっともその前に金桂交換の駒損をしているから、それほど楽観できる形勢ではなかったようだ。
△4七飛に▲7七銀打と1枚使わされたのは痛かったが、先手は次に指したい手がいくらでもある。Fuj氏の指し手を注目していると、△5七銀成。指されてみればなるほどいう手で、▲5八金の飛車殺しを回避しつつ、遊び駒を活用したものだ。本局、私が最も感心した一手であった。
私は味を持たせて▲3六角だが、△5六成銀と桂を取られ、この桂損は存外大きいと思った。
△7二同飛に▲同角成とやっても、後手玉は詰まない。よって▲4七角と飛車を取るが、ここでは流れがおかしいと感じていた。
そして▲6三飛が悪手。これで形勢を損ねた。この飛車は将来の△6五桂を警戒したものだが、ビビリすぎ。▲6三銀と飛車を取りに行くのが明快だった。
このあたりは双方秒読みである。私の▲6一飛成に、Fuj氏△7五桂の跳び蹴り。Fuj氏の将棋には時々ハッとさせる手があるが、本局もそれが出た。やむない▲同歩に△4三角で王手竜がかかった。しかし私も被害を最小限に留め、2度目の▲6四金と打ったところは、私にも勝ち筋があるように思われた。
△6二玉に▲3一飛。しかしこれは薄い詰めろだった。予定は▲8二飛の王手だったのだが、強く△7一玉と当てられる手を気にした。しかし△7一玉なら、▲7四桂で先手が勝ち。この逸機は大きかった。
Fuj氏、ハッシと△8九飛。思いもしなかったところから王手が飛んできて、私は混乱した。
(つづく)
たしか最初の16局は私の5勝11敗で、全然歯が立たなかった。…というのはジョークで、何でこんなに負けが込んだのかとんと分からぬ。
その後は私も追い上げ、本局に勝てば勝率5割である。私は並々ならぬ決意で臨んだ。
持ち時間は15分、秒読みは30秒。私の先手で▲7六歩△3四歩▲2六歩△4二飛。Fuj氏は居飛車党だが、最近は角交換四間飛車を得意にしている。私との前局もそうだった。
5手目私は▲6六歩。ここ▲2五歩は数手後の逆棒銀があるから躊躇するが、▲4八銀も後の△8八角成があり面白くない。▲6六歩は消極的だが、相手の得意も指させない、という私の主張であった。
私は▲9五歩から天守閣美濃に組む。しかし端を伸ばしたため、米長玉に変化できないのは誤算だった。
Fuj氏は△6五歩から1歩を交換する。私は右銀を7七に移動し、まずまずの形勢。さらに▲7九角と引いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/4d/566f8b25bc6678f11c6dc34c193902a6.png)
以下の指し手。△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀△4六歩▲同歩△6六角▲同金△5七銀▲6五金△4八銀不成▲5四金△同金▲5五歩△6五金▲7七桂△6四金▲5六桂△6三金引▲6四歩
△7三金寄▲6五桂△4七飛▲7七銀打△5七銀成▲3六角△5六成銀▲7三桂成△同玉▲6三金△8二玉▲7二金△同銀▲6三歩成△6五桂▲7二と△同飛▲4七角△同成銀▲6三飛
△7七桂成▲同銀△7三金▲6一飛成△7五桂▲同歩△4三角▲6五桂△6一角▲7三桂成△同飛▲6四金△4三角▲6五歩△7五歩▲7三金△同玉▲6四金△6二玉▲3一飛
△8九飛(第2図)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/73/2f55fb96b4e3b4999ef62a9a8d2f939f.png)
Fuj氏は△6五歩と合わせてきた。当然の▲同歩に△同銀は一手パスだから、Fuj氏は果敢に△同桂。
「おお桂馬か!」
私は叫ぶ。実はこの瞬間、この将棋はもらったと思った。
Fuj氏は角を切って△5七銀。ここで私の▲6五金が用意の手で、△4八銀不成の瞬間が甘いので、私は攻めに転じる。
▲5五歩~▲7七桂~▲5六桂~▲6四歩と敵金を躍らせ、△7三金寄に▲6五桂が気持ちいい跳躍。これでハッキリ勝ったと思った。もっともその前に金桂交換の駒損をしているから、それほど楽観できる形勢ではなかったようだ。
△4七飛に▲7七銀打と1枚使わされたのは痛かったが、先手は次に指したい手がいくらでもある。Fuj氏の指し手を注目していると、△5七銀成。指されてみればなるほどいう手で、▲5八金の飛車殺しを回避しつつ、遊び駒を活用したものだ。本局、私が最も感心した一手であった。
私は味を持たせて▲3六角だが、△5六成銀と桂を取られ、この桂損は存外大きいと思った。
△7二同飛に▲同角成とやっても、後手玉は詰まない。よって▲4七角と飛車を取るが、ここでは流れがおかしいと感じていた。
そして▲6三飛が悪手。これで形勢を損ねた。この飛車は将来の△6五桂を警戒したものだが、ビビリすぎ。▲6三銀と飛車を取りに行くのが明快だった。
このあたりは双方秒読みである。私の▲6一飛成に、Fuj氏△7五桂の跳び蹴り。Fuj氏の将棋には時々ハッとさせる手があるが、本局もそれが出た。やむない▲同歩に△4三角で王手竜がかかった。しかし私も被害を最小限に留め、2度目の▲6四金と打ったところは、私にも勝ち筋があるように思われた。
△6二玉に▲3一飛。しかしこれは薄い詰めろだった。予定は▲8二飛の王手だったのだが、強く△7一玉と当てられる手を気にした。しかし△7一玉なら、▲7四桂で先手が勝ち。この逸機は大きかった。
Fuj氏、ハッシと△8九飛。思いもしなかったところから王手が飛んできて、私は混乱した。
(つづく)