(4日のつづき)
ここは、1992年12月公開の「男はつらいよ―寅次郎の青春」のロケ地だったようだ。私も各地を訪れているが、寅さんのロケ地にピンスポットでぶつかったのは初めてである。
その先には同じく、「ロケ地・床屋跡」がある。ここで寅さんとマドンナ・富永蝶子(吹雪ジュン)が出会ったらしい。現在、ハコは残っているが、半ば廃墟になっている。寅さんファンと廃墟マニアには堪らない物件であろう。
堀川橋の袂にベンチがあったので、座る。向かいには吾平津神社が見え、朱の鳥居が美しい。ポカポカ陽気で、うつらうつらしてしまう。
さて、駅に向かう。その途中に「ABURATSU COFFEE」というシャレた喫茶店がある。行きは空いていたのだが、いまは満席だった。ちょうどお昼時である。店頭のメニューに「コーヒー350円」とあり、これだけでも味わいたかったが、仕方ない。
「味自慢カレー」の幟を立てた軽食喫茶があったので、入る。九州最後の昼食である。
ビーフカレーを頼んだが、出てきたそれはスパイスが感じられず、全体的に薄味で、不思議な感じだった。
駅に戻り、快速日南マリーン号に乗る。いままでは白の気動車だったが、今度は黄色の気動車だ。14時47分、日南線の終点・志布志に着いた。940円。
ここ志布志は、志布志市志布志町志布志二丁目にあり、かつては志布志線と大隅線が接続し、南九州を代表する一大ジャンクションだった。
しかし1987年に両線とも廃止になり、志布志駅は数十メートル線路が短くなり、どこにでもある?ただの終着駅になってしまった。現在は1日の平均乗降客も10人台と壊滅的になっており、鉄路の衰退が地域の衰退に繋がるという、典型的な例になっている。
もっともそれゆえに、志布志は北海道の新十津川と並んで、私が好きな駅である。
ここから先に進むには、上記2路線の代替バスで行くしかないが、駅の観光案内所で聞くと、旧大隅線をトレースする三州バスがいいタイミングとのことだった。
志布志発14時59分のバスに乗り、垂水港バス停16時40分着。バス料金は1,240円で、いわさきICカードがあれば、1,140円で行けた。つくづく、今回の忘れ物は痛かった。血圧が上がる。
垂水港からは10分の接続で、鹿児島・鴨池港行きのフェリーが出ていた。
通常料金は480円だが、例のカードを使えば430円で行ける。チャージのときに1割得をするから、二重の割引になるわけだ。私はますます血圧が上がるが、この悔しさを誰にもぶつけられない。ここは一人旅のつらいところだ。
フェリーは豪華で、デッキからは桜島が綺麗に見える。軽く噴煙を上げているが、ここ数年、その回数が増えてきているようだ。
シートでくつろいだり、デッキでぼんやりしたりしていると、タイム29分で、鴨池港に着いた。
引き続き鹿児島中央行きのバスに乗るが、これは通学バスも兼ねているようで、途中から高校生で満員になった。
鹿児島中央バスターミナルには、定刻を5分遅れの18時06分に着いた。今旅行2度目の鹿児島中央駅である。
この時間に駅前に来れば、寄るところがある。左手のアーケード街「一番街商店街」にある、「山ちゃんラーメン」だ。ここは白湯スープのラーメンが美味いらしいのだが、私は炒飯しか頼んだことがない。
しかしこの炒飯が、胡椒がピリッと利いて、美味いのだ。食前に出されるお新香と、食後にサービスでくれる乳酸菌飲料もよい。何より、気風のいいオバチャンのキャラクターがよい。
私は商店街を進む。……。……。…あれ…? 何か、通り過ぎちゃったなあ。
私は怪訝に思い、引き返す。…あれ? また通り過ぎた。
えっ? 休み? …だけど、シャッターなんて、下りてた?
また引き返す。たしかこのあたり…。…ああっ!!
私は驚きのあまり、その場で動けなくなった。
(つづく)
ここは、1992年12月公開の「男はつらいよ―寅次郎の青春」のロケ地だったようだ。私も各地を訪れているが、寅さんのロケ地にピンスポットでぶつかったのは初めてである。
その先には同じく、「ロケ地・床屋跡」がある。ここで寅さんとマドンナ・富永蝶子(吹雪ジュン)が出会ったらしい。現在、ハコは残っているが、半ば廃墟になっている。寅さんファンと廃墟マニアには堪らない物件であろう。
堀川橋の袂にベンチがあったので、座る。向かいには吾平津神社が見え、朱の鳥居が美しい。ポカポカ陽気で、うつらうつらしてしまう。
さて、駅に向かう。その途中に「ABURATSU COFFEE」というシャレた喫茶店がある。行きは空いていたのだが、いまは満席だった。ちょうどお昼時である。店頭のメニューに「コーヒー350円」とあり、これだけでも味わいたかったが、仕方ない。
「味自慢カレー」の幟を立てた軽食喫茶があったので、入る。九州最後の昼食である。
ビーフカレーを頼んだが、出てきたそれはスパイスが感じられず、全体的に薄味で、不思議な感じだった。
駅に戻り、快速日南マリーン号に乗る。いままでは白の気動車だったが、今度は黄色の気動車だ。14時47分、日南線の終点・志布志に着いた。940円。
ここ志布志は、志布志市志布志町志布志二丁目にあり、かつては志布志線と大隅線が接続し、南九州を代表する一大ジャンクションだった。
しかし1987年に両線とも廃止になり、志布志駅は数十メートル線路が短くなり、どこにでもある?ただの終着駅になってしまった。現在は1日の平均乗降客も10人台と壊滅的になっており、鉄路の衰退が地域の衰退に繋がるという、典型的な例になっている。
もっともそれゆえに、志布志は北海道の新十津川と並んで、私が好きな駅である。
ここから先に進むには、上記2路線の代替バスで行くしかないが、駅の観光案内所で聞くと、旧大隅線をトレースする三州バスがいいタイミングとのことだった。
志布志発14時59分のバスに乗り、垂水港バス停16時40分着。バス料金は1,240円で、いわさきICカードがあれば、1,140円で行けた。つくづく、今回の忘れ物は痛かった。血圧が上がる。
垂水港からは10分の接続で、鹿児島・鴨池港行きのフェリーが出ていた。
通常料金は480円だが、例のカードを使えば430円で行ける。チャージのときに1割得をするから、二重の割引になるわけだ。私はますます血圧が上がるが、この悔しさを誰にもぶつけられない。ここは一人旅のつらいところだ。
フェリーは豪華で、デッキからは桜島が綺麗に見える。軽く噴煙を上げているが、ここ数年、その回数が増えてきているようだ。
シートでくつろいだり、デッキでぼんやりしたりしていると、タイム29分で、鴨池港に着いた。
引き続き鹿児島中央行きのバスに乗るが、これは通学バスも兼ねているようで、途中から高校生で満員になった。
鹿児島中央バスターミナルには、定刻を5分遅れの18時06分に着いた。今旅行2度目の鹿児島中央駅である。
この時間に駅前に来れば、寄るところがある。左手のアーケード街「一番街商店街」にある、「山ちゃんラーメン」だ。ここは白湯スープのラーメンが美味いらしいのだが、私は炒飯しか頼んだことがない。
しかしこの炒飯が、胡椒がピリッと利いて、美味いのだ。食前に出されるお新香と、食後にサービスでくれる乳酸菌飲料もよい。何より、気風のいいオバチャンのキャラクターがよい。
私は商店街を進む。……。……。…あれ…? 何か、通り過ぎちゃったなあ。
私は怪訝に思い、引き返す。…あれ? また通り過ぎた。
えっ? 休み? …だけど、シャッターなんて、下りてた?
また引き返す。たしかこのあたり…。…ああっ!!
私は驚きのあまり、その場で動けなくなった。
(つづく)