一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

大野七段VS和田あき女流初段の公開対局(前編)

2014-12-20 12:27:17 | 将棋イベント
19日(金)は、東十条囲碁将棋サロンで、大野八一雄七段と和田あき女流初段の公開対局があった。
和田女流初段はいまをときめく現役女子高生棋士で、マイナビ女子オープンでは本戦ベスト4に進出。これからの活躍が期待されている。
開場は午後6時30分だが、私は少し早目に入室した。今回は一般客として入場し、もちろん観戦料も払うが、こちらも事前の準備がある。
大野七段、和田女流初段らはすでに到着していた。大野七段はふだん通り。和田女流初段はおめかしした恰好だが、学校の制服でないのが惜しい。「女子高生は世界最強のブランド」である。制服は着られるときに着ておいたほうがいい。
もっとも私服の和田女流初段はちょっと大人っぽくなって、こちらがドキドキしてしまった。
私は先日の九州旅行で入手した、青島神社の「女力」御守を、和田女流初段に渡す。彼女にこれをプレゼントするために、私はわざわざ宮崎から入ったのだ。
このときの旅行は、長崎「あんでるせん」の異次元ワールドなどで楽しさ満載だったのだが、それはまた別の話。

開場になったが、客がどっと押し寄せる感じではない。パラパラ、という感じで入り、対局開始の7時には、9割方が埋まった。その数15人前後か。知った顔が多いが、サロンでのイベント第一弾としては、とにかく客が入ることが大事だ。
室内は横に長く、向かって右手が対局室となる。カーペットの上に「大野・植山教室」から調達した六寸盤を設え、本格的だ。大野七段がこちらに背を向ける形で着座。盤を挟み、和田女流初段はこちらを向いている。和田女流初段の表情が見える、というスタッフの配慮だろうか。盤側には秒読み係氏と棋譜読み上げ係氏がスタンバイし、こちらも本格的だ。
正面には大盤が据えられ、解説の植山悦行七段が開会宣言をして、大野七段の角落ちで対局が始まった。


平成26年12月19日
於・東十条囲碁将棋サロン
上手 △七段 大野八一雄
下手 ▲女流初段 和田あき
手合い 角落
持ち時間 各15分、使い切ると1手30秒

△5四歩▲7六歩△6二銀▲5六歩△5三銀▲7八銀△6四歩▲6六歩△4二玉▲5八金右△5二金右▲6七金△6二飛▲2六歩△6五歩▲同歩△同飛▲6六歩△6一飛▲2五歩
△3二玉▲7七銀△6四銀▲6八玉△4四歩▲7八玉△4三金▲7九角△2二銀▲8八玉△3四歩▲2四歩△同歩▲同角△2三歩▲6八角△5二金(第1図)

「角落ちというのは微妙な手合いでしてね。差があるようなないような…。一応四段差ですから、アマ初段と五段の手合いになります。いずれにしても上手は玉が薄いですね」
と、対局前に植山七段が語る。
△5四歩の立ち上がり。大野七段は基本的に居飛車党だが、何でも指す。和田女流初段は生粋の居飛車党で、▲6六歩から▲5八金右と上がり、居飛車が決定した。
植山七段が観客に、対局者のどちらを応援しているか決を取るが、大野七段に気の毒な結果になり、ここには書けない。
大野七段は△6二飛と回り、△6五歩から1歩を手にする。上手は早晩2筋の歩を切られるので、その代償をこちらに求める。
▲6六歩に△6一飛は形で、△6二飛より可動範囲が広い。
和田女流初段は▲6八玉~▲8八玉と早囲い。矢倉は和田女流初段の得意で、本人も公言している。
大野七段、△5二金。植山七段が「これはやや珍しいです」と評した。ふつうは△4二金上だろうか。

▲7八金△5五歩▲同歩△同銀▲5六歩△6四銀▲4八銀△5三金直▲3六歩△7四歩▲4六歩△7三桂▲4七銀△8四歩▲3七桂△3三桂▲1六歩△1四歩▲9六歩△9四歩
▲4五歩△同歩▲3五歩△同歩▲同角△3四歩▲2六角△9五歩▲同歩△8五桂▲8六銀△6五歩▲3六銀(第2図)

本局の聞き手はKub氏が務めている。私たちの聞きたいことを的確に聞いてくれて、なかなかうまい。
大野七段は△5五歩からさらに1歩を手にする。戦機を窺っているようだ。
和田女流初段、▲4八銀。下手はこの銀が働かないと話にならない。
大野七段、△5三金上。盛り上がり戦術で、いかにも上手らしい指し方だ。
和田女流初段は▲3七桂と跳ね、徐々に攻めの態勢を作る。和田女流初段の指し手は初手から自然で、臆するところがない。
ここで大野七段が、本局一の長考に入った。私のようなヘボは、このタイミングが分からない。アマには分からぬ、勝負所があるのだろう。力強く、△3三桂と跳ねた。
和田女流初段の▲9六歩には、「落ち着いてますね」と植山七段が感心した。
▲4五歩と仕掛ける。むかし将棋大会でスタッフ氏から、「まだ戦いが始まってないところは、そろそろ▲4五歩と仕掛けてください」と軽口が飛び、笑いがおこったことを思い出した。
▲2六角に植山七段は意外そうだったが、攻めの好きな和田女流初段らしい手だ。
大野七段も△9五歩と味をつける。
植山七段「▲同歩には△9七歩▲同香△8五桂から香を取って(どこかに打つ手がありますか)…」
しかし和田女流初段は悠然と▲同歩。
「恐れずに▲同歩と取りましたね。強くなりました」
植山七段によると、以前△9五歩と指された人が、▲同歩と取らず別の手を指し、△9六歩に▲9八歩と謝ったという。「この歩を取れないなら、最初から▲9六歩と突くなということです」
大野七段はたんに△8五桂と跳ね、△6五歩と合わせる。和田女流初段は相手にせず、▲3六銀。
ここで大野七段が一足先に秒読みに入る。そして指した手が、問題の一手だった。
(つづく)
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