一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第10回武蔵の国 府中けやきカップ(3)

2017-04-07 12:49:51 | LPSAイベント

第2図以下の指し手。△2三歩▲8五飛△8四歩▲2五飛△6四銀▲6六歩△9四歩▲6五桂△8五歩▲7七角△8六歩▲8八銀△7五歩▲同歩△5五歩(第3図)

本家に▲2五飛を指して、私はこれだけでもう満足だった。
本譜▲8五飛に△8四歩と謝らせて▲2五飛。ここまではいい進行じゃないか?
△6四銀には将来の桂頭攻めをかわす意味で、先に▲6五桂と跳ねた。
△8五歩には▲8七歩が無難だが、それでは△8六歩▲同歩△同飛で、△8四歩と屈服させた意味がなくなってしまう。そこで、▲7七角から▲8八銀と突っ張った。
△7五歩▲同歩に△同銀は、▲5三桂不成がある。しかしあえてその順を選び、以下△7六歩の攻め合いも相当だったと思う。

第3図以下の指し手。▲7四歩△7二飛▲8六角△7四飛▲6九玉△5二金右▲8七銀△9五歩▲同歩△7五銀▲4五桂(第4図)

△5五歩と飛車の横利きを止められて、何かの時に△7五銀がある。私は▲7四歩と伸ばし、△7二飛に▲8六角と、嫌味な歩を払った。
△7四飛には▲6九玉と、居玉を避けつつ金にヒモをつける。だが敵飛に近づき微妙だったかもしれない。
△7五銀に▲5九角は△6六銀で、▲6五桂が浮く。▲4五桂は角銀交換を承知の勝負手だった。

第4図以下の指し手。△8六銀▲同銀△3四角▲3五飛△4四歩▲7五歩△8四飛▲8五歩△6四飛(第5図)

中座七段は淡々と指すので、形勢判断のヒントにならない。
△8六銀▲同銀。角銀交換になって駒の損得はほぼなくなり、これ以降の悪手は許されなくなった。
△3四角が厳しかった。飛車取りはもちろん、▲7八の金に間接的に利いているのが大きい。私は▲3五飛と寄るよりないが、窮屈なところに押し込められてしまった。
中座七段は△4四歩。▲4五桂を取りきられたら、下手が負ける。私はとりあえず敵飛を追い回し、△6四飛まで。ここ△5四飛は、▲5三桂右成△同金▲同桂成でどうか。金を取っても桂を2枚渡すのはつらく、私はこちらのほうがイヤだった。
△6四飛に▲5三桂右成は△同金▲同桂成△6六飛で下手難局。指し手に窮したようだが、ここで私は起死回生の一手を見つけた。

第5図以下の指し手。▲3三桂成△同玉▲2五銀△4三金▲5三桂成(途中図)

△4二銀▲4三成桂△同銀(第6図)

▲3三桂成で一本取ったと思う。中座七段がしばらく考えたところを見ると、軽視していたのかもしれない。△同玉の一手に▲2五銀。これで角を取り返せる形になり、形勢を挽回したと思った。
何となく、ギャラリーが多くなったように感じる。中倉宏美女流二段VS島井咲緒里女流二段戦はとっくに終わっていたようだ。
ステージで岡本眞一郎氏の声がした。詰将棋の解答発表だ。昨年までは決勝戦の後に行われていたが、順番が変わったようだ。
初心者向けの詰将棋に続いて、一般向けの解答が始まった。だが私は盤面に集中しており、目をやる余裕もない。
第1問の解答をやっている。
「これは半分(あぶりだしの)答えが出ちゃってますね。こうやってこうやって…。ここで▲1三角と答えた人がいましたが、それは…」
とか聞こえる。ウン…? ▲1三角は、私の解答だぞ。…この手が違っていたか?
「…▲○○○まで。これで10になりますね」
10!? やっぱり「10」にならなきゃいけないのか? 今回のけやきカップが第10回だからか!!
全3問の解答が終わった。全問正解者は2名で、やはり私の名前は呼ばれなかった。
2名にはもれなく賞品が贈られた。残りの何名かには抽選となるが、何と私の名前が呼ばれた。第1問は落としたものの、難解な第2問と第3問を答えたのだ。岡本氏が情けをかけてくれたのかもしれない。
「(賞品を)もらってきていいですよ」
と中座七段。その言葉に甘えて、賞品をいただいてきた。府中の名菓、青木屋のお菓子だろうか。
局面――。中座七段の△4三金に、私は迷いつつ▲5三桂成(途中図)とした。これには△6六飛が気になるが、▲6七歩△8六飛▲4三成桂△同玉▲3四銀で、この展開は上手が避けるように思った。
中座七段は△4二銀と我慢する。私は▲4三成桂と金を取り、二枚の桂が綺麗に捌けて、下手十分になったと思った。
さて第6図で次の手が、本局唯一の自慢の一手である。

第6図以下の指し手。▲7七銀△7三桂▲5三金△3二金▲4三金△同金▲3四銀△同金▲同飛△同玉▲5二角△4三桂▲3五歩△同玉▲4三角成△8九飛(第7図)

右の指導対局は終わったようだ。飛車落ちだったが、中座七段の勝ち。対局者が減ればそれだけプロの負担が軽くなるから、下手は気を引き締めなければならない。私は顔を真っ赤にして考えた。
第6図から▲3四銀△同銀▲同飛△同玉▲1六角にも食指が動いたが、1枚手駒が足りない感じがした。
そこで、攻めたいところをグッとこらえ、▲7七銀と引いた。王手銀取りを防いだだけだが、上手にも有効な手がないと見たのだ。▲7七銀は地味だが、よくこの手が指せたと思う。
△7三桂に、よく分からないが▲5三金と張り付いた。以下△3二金に▲4三金以下△3四同玉までと進む。これでは先ほどの変化と持ち駒が同じだが、△4一金が盤上から消えたので、今度は▲5二角と敵陣から打つ手が生じた。
以下△4三桂に▲3五歩が決め手で、△同玉▲4三角成で上手玉は一手一手となった。
対して上手の反撃は△8九飛だろうが、▲7九金と飛車取りに引いて、上手は手がないだろう。
果たして中座七段は△8九飛。ところが私は、とんでもない手を指してしまう。

(つづく)
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