けやきカップの翌3月20日(月・祝)は、日暮里駅前の広場で行われた「世界の将棋まつり」に行った。
これは日本の将棋はもちろん、チェス、中国象棋(シャンチー)、チャンギ、どうぶつしょうぎなど、世界のShogiが楽しめるイベントである。
午後1時20分ごろ日暮里駅前に行くと、好天ということもあるのか、大勢の客でにぎわっていた。「Shogi」という地味なテーマにしては、かなりの入りである。
場内は将棋に混じって、チェス、シャンチーなどの盤駒が並べられていた。驚くのはみなが実戦を指していたこと。どこかにルールブックが置いてあるのだろうか。
場内の隅には立体の動物が置かれている。キリン、ゾウ、ひよこ…。これは何を表しているのだろう。
対局スペースでは品のいいご婦人がチェスを指しているが、これが妙に絵になる。場内の飾りもシャレていて、どこか外国にいるかのようだ。
会場のステージ近くでは、所司和晴七段が指導対局をしていた。将棋はもちろん、シャンチーやチャンギも同時にこなしている。さすがに所司七段である。
将棋は二面指しだが、うち一局は初心者が指していた。平手なのだが、下手が角頭歩戦法をやっている。もちろん明確な作戦ではなく、たんに将棋を知らないだけだ。
私も自由将棋を指したいが、手すきの人はいないようだ。ちなみに将棋の駒には駒の利きを記したものもあって、初心者でも楽しめるようになっていた。
…ああ、そうかと思う。さっきの動物は、どうぶつしょうぎの四次元版だったのだ。
さっきの対局は、図から▲2九玉△3九金まで下手が投了した。この将棋は感想戦のしようがないが、所司七段は▲2九玉で▲2八同銀とし、△3八銀▲同銀△4八金▲2九玉△3八金…を示した。
棋力がなさすぎると、上手が手筋をくりだす必要もなくなるのだ。
ところで所司七段は将棋ペンクラブ大賞の最終選考委員であり、ごあいさつはしておきたいのだが、さて…。
その所司七段がマイクを取って挨拶をした。
「えー、今日はえー、世界の将棋で、えー、ゼヒ楽しんでいってください」
場内にはいろいろブースが出展しているが、食事処も設けてあるので、飲食には困らない。
その中に知った顔があったので、声を掛けた。
「こんにちは」
「ぎゃああーーーっ!!」
叫び声の主が表へ出てきた。元女流棋士で現在は観戦記者の藤田麻衣子さんである。どうぶつしょうぎのデザイナーでもある彼女は今日、関連グッズその他の販売で出展したようだ。「ひさしぶりー!! 来てくれたのねー」
「私Nipporiに住んでますから」
私は照れながら答える。
ブースには藤田さんのお子さんもいた。
「こんにちは。お母さんは有名人なんだよ」
その隣には観戦記者氏もいた。いろいろ手伝いに来ているようだ。
「ねえねえこれ買ってよー」
と藤田さん。出されたのは、観戦記者・後藤元気氏編集の「観戦記コレクション」だった。いつか購入しなければと思いつつ、のびのびになっていた本だ。私は藤田さんのサインを条件に購入した。
「久しぶりに強引に買わせちゃったよねー」
と藤田さん。私は苦笑するのみである。
藤田さんと別れ、再び場内をぶらつく。目つきの鋭い青年があたりを回っているが、彼は将棋関係者ではないか? 宮田敦史六段にも見える彼、どこかで見た記憶がある。
次の指導対局は2時からで、私も申し込んだ(有料・2,000円)。
ひとりで駒を動かしている、小学低学年と思しき少女がいたので、対局?を申し込んだ。
彼女の先手で、▲7六歩△3四歩▲6八銀。これは、こっちがどう負けるか苦労する、というやつである。私はココセを連発し、ようやく負けた。
せっかくなので、初心者講座をやってみる。やはり超初心者に実戦は厳しい。部分的な局面で正解を導かせる、というのも大切だと思う。
私は簡単な詰将棋を出すが、少女は答えられない。しかしコツを掴むと、徐々に答えられるようになってきた。
いっぱい問題を解くうち、少女の目が輝いてきたのだが、残念。私の指導対局の時間になってしまった。
私は席を離れたが、少女がこの後も将棋を続けてくれることを願った。
指導対局は、所司七段ではなく、先ほどの宮田六段似の彼だった。若手棋士だが、名前が分からない。
今回は4面が用意されたが、対局者は私も含め2人だった。しかも1人は小学生の初心者だ。
ということで私は角落ちで対局開始。
初手からの指し手。△6二銀▲7六歩△5四歩▲2六歩△5三銀▲2五歩△4二玉▲2四歩△同歩▲同飛△3二玉▲3六歩△2三歩▲2五飛(第1図)
青年棋士は△6二銀の立ち上がり。たぶん居飛車であろう。私はいつも通りの指し手で、△2三歩に▲2五飛! 前日に続いて、2匹目のドジョウを狙った。
(つづく)
これは日本の将棋はもちろん、チェス、中国象棋(シャンチー)、チャンギ、どうぶつしょうぎなど、世界のShogiが楽しめるイベントである。
午後1時20分ごろ日暮里駅前に行くと、好天ということもあるのか、大勢の客でにぎわっていた。「Shogi」という地味なテーマにしては、かなりの入りである。
場内は将棋に混じって、チェス、シャンチーなどの盤駒が並べられていた。驚くのはみなが実戦を指していたこと。どこかにルールブックが置いてあるのだろうか。
場内の隅には立体の動物が置かれている。キリン、ゾウ、ひよこ…。これは何を表しているのだろう。
対局スペースでは品のいいご婦人がチェスを指しているが、これが妙に絵になる。場内の飾りもシャレていて、どこか外国にいるかのようだ。
会場のステージ近くでは、所司和晴七段が指導対局をしていた。将棋はもちろん、シャンチーやチャンギも同時にこなしている。さすがに所司七段である。
将棋は二面指しだが、うち一局は初心者が指していた。平手なのだが、下手が角頭歩戦法をやっている。もちろん明確な作戦ではなく、たんに将棋を知らないだけだ。
私も自由将棋を指したいが、手すきの人はいないようだ。ちなみに将棋の駒には駒の利きを記したものもあって、初心者でも楽しめるようになっていた。
…ああ、そうかと思う。さっきの動物は、どうぶつしょうぎの四次元版だったのだ。
さっきの対局は、図から▲2九玉△3九金まで下手が投了した。この将棋は感想戦のしようがないが、所司七段は▲2九玉で▲2八同銀とし、△3八銀▲同銀△4八金▲2九玉△3八金…を示した。
棋力がなさすぎると、上手が手筋をくりだす必要もなくなるのだ。
ところで所司七段は将棋ペンクラブ大賞の最終選考委員であり、ごあいさつはしておきたいのだが、さて…。
その所司七段がマイクを取って挨拶をした。
「えー、今日はえー、世界の将棋で、えー、ゼヒ楽しんでいってください」
場内にはいろいろブースが出展しているが、食事処も設けてあるので、飲食には困らない。
その中に知った顔があったので、声を掛けた。
「こんにちは」
「ぎゃああーーーっ!!」
叫び声の主が表へ出てきた。元女流棋士で現在は観戦記者の藤田麻衣子さんである。どうぶつしょうぎのデザイナーでもある彼女は今日、関連グッズその他の販売で出展したようだ。「ひさしぶりー!! 来てくれたのねー」
「私Nipporiに住んでますから」
私は照れながら答える。
ブースには藤田さんのお子さんもいた。
「こんにちは。お母さんは有名人なんだよ」
その隣には観戦記者氏もいた。いろいろ手伝いに来ているようだ。
「ねえねえこれ買ってよー」
と藤田さん。出されたのは、観戦記者・後藤元気氏編集の「観戦記コレクション」だった。いつか購入しなければと思いつつ、のびのびになっていた本だ。私は藤田さんのサインを条件に購入した。
「久しぶりに強引に買わせちゃったよねー」
と藤田さん。私は苦笑するのみである。
藤田さんと別れ、再び場内をぶらつく。目つきの鋭い青年があたりを回っているが、彼は将棋関係者ではないか? 宮田敦史六段にも見える彼、どこかで見た記憶がある。
次の指導対局は2時からで、私も申し込んだ(有料・2,000円)。
ひとりで駒を動かしている、小学低学年と思しき少女がいたので、対局?を申し込んだ。
彼女の先手で、▲7六歩△3四歩▲6八銀。これは、こっちがどう負けるか苦労する、というやつである。私はココセを連発し、ようやく負けた。
せっかくなので、初心者講座をやってみる。やはり超初心者に実戦は厳しい。部分的な局面で正解を導かせる、というのも大切だと思う。
私は簡単な詰将棋を出すが、少女は答えられない。しかしコツを掴むと、徐々に答えられるようになってきた。
いっぱい問題を解くうち、少女の目が輝いてきたのだが、残念。私の指導対局の時間になってしまった。
私は席を離れたが、少女がこの後も将棋を続けてくれることを願った。
指導対局は、所司七段ではなく、先ほどの宮田六段似の彼だった。若手棋士だが、名前が分からない。
今回は4面が用意されたが、対局者は私も含め2人だった。しかも1人は小学生の初心者だ。
ということで私は角落ちで対局開始。
初手からの指し手。△6二銀▲7六歩△5四歩▲2六歩△5三銀▲2五歩△4二玉▲2四歩△同歩▲同飛△3二玉▲3六歩△2三歩▲2五飛(第1図)
青年棋士は△6二銀の立ち上がり。たぶん居飛車であろう。私はいつも通りの指し手で、△2三歩に▲2五飛! 前日に続いて、2匹目のドジョウを狙った。
(つづく)