出発が50分遅れじゃあ、空港に入っても時間が余りすぎる。せめてこのメールを小樽で見ていれば小樽で軽食を摂れたのだが、仕方ない。もうどこかで下車するしかないが、電車賃を見ると、小樽→新千歳空港が1,780円なのに、小樽→札幌640円、札幌→新千歳空港1,070円で、何と札幌で分けたほうが70円も安くなるのだ。これじゃあ札幌で降りる一手である。Suicaで入場したのは不幸中の幸いだった。
私は家に電話をかけ、オヤジに、遅くなるけど必ず今日中に帰宅すると告げた。無職とはいえ、ズルズル帰宅を遅らせるわけにはいかない。
札幌では、行きに入り損ねた「杵屋」に入った。ここは麺が無料で1.5玉になるサービスがあるのだが、メニュー表にはその旨が載っていない。が、ウエイトレスさんが親切に教えてくれ、私は「天ぷらうどん1.5」を注文できた(780円)。
うどんはツルツルしていて、喉越しがよかった。うどんは喉で味わうものである。
美味しくいただき、店を出る。地下街の一角ではルタオのチーズケーキが売られていたが、ここでも購入を留まる。私は小樽で食べたチョコレートを購入したかったからだが、考えたら空港のANA FESTAにも営業時間がある。あまり遅く行ったら店が閉まってしまうのではないか?
札幌発19時50分の快速エアポート196号に乗る。新千歳空港には定刻を5分遅れの20時32分に着いた。
ANA FESTAは閉店ギリギリだった。だがルタオの商品が少なく、肝心のチョコレートが置いていなかった。しかもルタオはANAカードでの割引なし!
これなら小樽でチョコを買ったほうが簡明だった。
私はとりあえずルタオのクッキーを買い、搭乗手続きをする。と、我が飛行機は22時15分発に再変更となっていた。いやこれはマズいだろう。さらに25分の遅れって、これ、羽田空港からのモノレール最終には間に合うのだろうか?
手荷物検査場を抜ける。行先案内板には、後続の羽田行き(ANA)が2本あったが、そちらの影響はどうなのか。違う。我が飛行機はAIR DO!との共同運航便である。つまりAIR DO!の飛行機を使うから、我が飛行機だけが遅れているのだ。あっ…! じゃあ私は、後続のANAに搭乗変更をすればよかったんじゃないか!?
しかし今からではもう無理である。ああああ、あああ、しまったあ!!
とある店舗でオシャレなチョコが売られていたので、買う。もちろん渡部愛女流二段へのプレゼントである。ルタオではないが、あまりメジャーじゃない高級チョコのほうが、私への点数も上がるのではないか?
搭乗口の近くに座り、旅行日誌をつける。そうだ、福岡空港では、羽田空港→山手線内の切符が500円で買えたが、新千歳空港はどうなのだろう。
慌てて探すと、その券売機があるにはあった。が、定価での発売だった。これでは買っても意味がない。それに、今夜モノレールかJRに乗れなかったら、この購入が無意味になる。
と、AIR DO!から「搭乗客に一律10,000円を支給します」との放送があった。
これはAIR DO!の出血サービスである。これで客の不満を封じようというわけだ。
それにしたって10,000円はボーナスで、私も飛行機のトラブルには何度か遭ったが、こんな厚遇は初めてだ。
とはいうものの、昔、羽田空港からモノレールの終電が出ちゃったのに、遅れた客のために、浜松町までの臨時列車が出たことがあった。今回も、航空会社とモノレール(京急も)は、そのくらいの便宜を図ってくれるのではあるまいか?
一応スマホで、浜松町から上野方面へのJRを見た。すると00時34分発があった。これが最終だろうか? もう1本あった気もするのだが…。
いよいよ搭乗である。ゲートを抜ける際、10,000円をいただく。これで私たちはもう、AIR DO!に文句は言えなくなった。
席に座り、私は浜松町からの最終電車を調べようとしたが、もう離陸する。機内モードが有効かどうか分からなかったので、私はスマホの電源を切った。最終出発時刻の22時20分をさらに数分遅れて、飛行機は離陸した。
機内の雰囲気はいつも通りで、変わったところはない。私は都内に住んでいるからまだ余裕はあるけれど、ほかの客はどうなのだろう。
ちょっと不満なのは、羽田空港からの交通機関のダイヤを、全然放送してくれないこと。飛行機会社は客を空港まで安全に運ぶのが仕事であって、他の交通機関は関与しない、ということだろう。
羽田空港には00時07分に着陸した。もうモノレールの最終は出ているはずだが、臨時列車は出ると信じた。それが無理でも、東京や品川、横浜への臨時バスが出ていると信じた。実際、そんなケースもあったのだ。
私はゲートを抜け、モノレール乗り場へ向かう。が、ガードマンが「もう最終電車は出ました!」と制した。モノレールも京急も、だった。
私は混乱した頭で、表へ出る。臨時バスがどこかで出ていないかと思ったのだ。しかしそれらしきバスはない。それにもしあれば、係員が大声で誘導しているはずだ。
じゃあタクシーか! さっきの10,000円は、タクシー代に充てろということか!
しかしタクシーは私がこの世で最も忌み嫌う乗り物である。ジョナ研にそれを生業にしている棋友がいるから大きな声では言えないのだが、乗車中に遠慮なく上がっていく料金メーター、あれは心臓にすこぶる悪い。しかもタクシーは料金が一定しない。2台に分乗して、前と後のクルマで料金が違うこともあったし、目的地をわざと?大回りして、高い料金を取られたこともある。
先日も東京のタクシー料金の初乗りが410円に値下げされたがあれも数字のトリックで、ある距離を過ぎると初乗り値下げ前より高くなっているのだ。
しかしほかに帰宅の足がないのだからしょうがない。私は客待ちの列に並ぶ。こんな時、自宅と方向が一緒の人がいればありがたいが、分かるはずもない。
タクシーは途切れることなくやってくる。数分後私はタクシーに乗り、上野まで、と告げた。これが最後の悪手だった。
(つづく)
私は家に電話をかけ、オヤジに、遅くなるけど必ず今日中に帰宅すると告げた。無職とはいえ、ズルズル帰宅を遅らせるわけにはいかない。
札幌では、行きに入り損ねた「杵屋」に入った。ここは麺が無料で1.5玉になるサービスがあるのだが、メニュー表にはその旨が載っていない。が、ウエイトレスさんが親切に教えてくれ、私は「天ぷらうどん1.5」を注文できた(780円)。
うどんはツルツルしていて、喉越しがよかった。うどんは喉で味わうものである。
美味しくいただき、店を出る。地下街の一角ではルタオのチーズケーキが売られていたが、ここでも購入を留まる。私は小樽で食べたチョコレートを購入したかったからだが、考えたら空港のANA FESTAにも営業時間がある。あまり遅く行ったら店が閉まってしまうのではないか?
札幌発19時50分の快速エアポート196号に乗る。新千歳空港には定刻を5分遅れの20時32分に着いた。
ANA FESTAは閉店ギリギリだった。だがルタオの商品が少なく、肝心のチョコレートが置いていなかった。しかもルタオはANAカードでの割引なし!
これなら小樽でチョコを買ったほうが簡明だった。
私はとりあえずルタオのクッキーを買い、搭乗手続きをする。と、我が飛行機は22時15分発に再変更となっていた。いやこれはマズいだろう。さらに25分の遅れって、これ、羽田空港からのモノレール最終には間に合うのだろうか?
手荷物検査場を抜ける。行先案内板には、後続の羽田行き(ANA)が2本あったが、そちらの影響はどうなのか。違う。我が飛行機はAIR DO!との共同運航便である。つまりAIR DO!の飛行機を使うから、我が飛行機だけが遅れているのだ。あっ…! じゃあ私は、後続のANAに搭乗変更をすればよかったんじゃないか!?
しかし今からではもう無理である。ああああ、あああ、しまったあ!!
とある店舗でオシャレなチョコが売られていたので、買う。もちろん渡部愛女流二段へのプレゼントである。ルタオではないが、あまりメジャーじゃない高級チョコのほうが、私への点数も上がるのではないか?
搭乗口の近くに座り、旅行日誌をつける。そうだ、福岡空港では、羽田空港→山手線内の切符が500円で買えたが、新千歳空港はどうなのだろう。
慌てて探すと、その券売機があるにはあった。が、定価での発売だった。これでは買っても意味がない。それに、今夜モノレールかJRに乗れなかったら、この購入が無意味になる。
と、AIR DO!から「搭乗客に一律10,000円を支給します」との放送があった。
これはAIR DO!の出血サービスである。これで客の不満を封じようというわけだ。
それにしたって10,000円はボーナスで、私も飛行機のトラブルには何度か遭ったが、こんな厚遇は初めてだ。
とはいうものの、昔、羽田空港からモノレールの終電が出ちゃったのに、遅れた客のために、浜松町までの臨時列車が出たことがあった。今回も、航空会社とモノレール(京急も)は、そのくらいの便宜を図ってくれるのではあるまいか?
一応スマホで、浜松町から上野方面へのJRを見た。すると00時34分発があった。これが最終だろうか? もう1本あった気もするのだが…。
いよいよ搭乗である。ゲートを抜ける際、10,000円をいただく。これで私たちはもう、AIR DO!に文句は言えなくなった。
席に座り、私は浜松町からの最終電車を調べようとしたが、もう離陸する。機内モードが有効かどうか分からなかったので、私はスマホの電源を切った。最終出発時刻の22時20分をさらに数分遅れて、飛行機は離陸した。
機内の雰囲気はいつも通りで、変わったところはない。私は都内に住んでいるからまだ余裕はあるけれど、ほかの客はどうなのだろう。
ちょっと不満なのは、羽田空港からの交通機関のダイヤを、全然放送してくれないこと。飛行機会社は客を空港まで安全に運ぶのが仕事であって、他の交通機関は関与しない、ということだろう。
羽田空港には00時07分に着陸した。もうモノレールの最終は出ているはずだが、臨時列車は出ると信じた。それが無理でも、東京や品川、横浜への臨時バスが出ていると信じた。実際、そんなケースもあったのだ。
私はゲートを抜け、モノレール乗り場へ向かう。が、ガードマンが「もう最終電車は出ました!」と制した。モノレールも京急も、だった。
私は混乱した頭で、表へ出る。臨時バスがどこかで出ていないかと思ったのだ。しかしそれらしきバスはない。それにもしあれば、係員が大声で誘導しているはずだ。
じゃあタクシーか! さっきの10,000円は、タクシー代に充てろということか!
しかしタクシーは私がこの世で最も忌み嫌う乗り物である。ジョナ研にそれを生業にしている棋友がいるから大きな声では言えないのだが、乗車中に遠慮なく上がっていく料金メーター、あれは心臓にすこぶる悪い。しかもタクシーは料金が一定しない。2台に分乗して、前と後のクルマで料金が違うこともあったし、目的地をわざと?大回りして、高い料金を取られたこともある。
先日も東京のタクシー料金の初乗りが410円に値下げされたがあれも数字のトリックで、ある距離を過ぎると初乗り値下げ前より高くなっているのだ。
しかしほかに帰宅の足がないのだからしょうがない。私は客待ちの列に並ぶ。こんな時、自宅と方向が一緒の人がいればありがたいが、分かるはずもない。
タクシーは途切れることなくやってくる。数分後私はタクシーに乗り、上野まで、と告げた。これが最後の悪手だった。
(つづく)