2月15日(木)のLPSA麹町サロンin DISは、渡部愛女流二段の担当。私は3コマ目に申し込んでいた。12日は大野教室で指せなかったから、その埋め合わせだ。
15日は昼に職安に行ったがこれといった企業がなく、収穫のないまま、ふらふらと四ッ谷方面を目指した。疲れたらどこかで電車に乗ろうと思ったが、のんびり歩いているうち陽も暮れて、四ッ谷に着いてしまった。麹町サロンには指定時間の10分前(午後6時20分)に入った。
先客は2名で、麹町サロンでは顔なじみのようだ。私は入口のすぐ左の席に座った。
渡部女流二段とは久々にお会いするが、また綺麗になった。公私?ともに充実しているのだろう。私は挨拶もそこそこに、渡部女流二段に北海道土産を渡した。
「アッ、ここのチョコ、有名ですよね」
私のチョイスは人気店のものだったようで、よろこばれた。
「今日は私、弱点があるんですよ」
と、渡部女流二段が私をじっと見る。このシチュエーションは今までありそうでなかったもので、大抵の男子はこれで落ちる。
渡部女流二段の解答は、「コンタクトレンズをはめておらず、盤がよく見えない」だった。
本日2コマ目までは普通にはめていたが、休み時間中に目の調子が悪くなり、外さざるを得なかったという。
しかしプロは目隠し将棋もできるから、これがいかほどのハンデになるか、素人には測りかねる。
「もしもの時のために、メガネも持ち歩いていないとダメですね」
と渡部女流二段。彼女のメガネ姿もマニアには堪らないところであり、ぜひ常備をお願いしたい。
渡部女流二段から、「1日遅れですけど」とバレンタインデーのクッキーをいただいた。明らかに義理クッキーだが、うれしい。
「あ、大沢さんとは今年初めてでしたよね」
「あ、そうですね」
『本年もよろしくお願いいたします』
20代の新進女流棋士と新年?の挨拶を交わす。ありがたいではないか。
対局前にすっかり骨抜きにされて、対局開始。
初手からの指し手。▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△7二銀▲1六歩(第1図)
私は▲2六歩。2018年渡部先生との1局目は、ひねり飛車を目指した。
渡部女流二段は△3二金と上がる。「大沢さん、Todさんに会うことありますか」。
聞くと、2コマ目に参加のTod氏に、クッキーを渡し忘れてしまったらしい。
私が預かってもいいのだが、私からTod氏に渡しても、Tod氏がよろこぶかどうか。私がそのままくすねる可能性もあり、結局保留となった。
△7二銀と上がり、「今日は何の作戦ですか?」と聞かれる。
「ひねり飛車ですが」
と、私は▲1六歩と突いた。
第1図以下の指し手。△3四歩▲3六飛△3三金▲7六歩△6四歩▲7五歩△4二玉▲1五歩△6三銀▲7六飛△3二玉(第2図)
4人目の客が見え、駒を並べ始める。渡部女流二段が彼にも同じ質問をして彼をじっと見つめ、彼も骨抜きにされた。
渡部女流二段の解答を聞き、「でもプロは盤が見えなくても…」と、彼も私たちと異口同音の感想をもらした。
渡部女流二段は△7四歩と指し掛けて、△3四歩と突いた。下手に作戦を聞いた手前、素直にひねり飛車に組ませないとマズイと判断したのだろう。
私は▲3六飛。この局面を「タテ歩取り」という。渡部女流二段は△3三金と守る。これで下手は3四歩を取れないが、それでもタテ歩取りというのだ。
▲7六歩△6四歩に▲7五歩。「いよいよ正体を現しましたね」と渡部女流二段。
本当なら△8六歩▲同歩△同飛の時に▲7五歩と突きたかったのだが、渡部女流二段も△7二銀型にするなど、下手の捌きを警戒しているのだ。
△4二玉には▲1五歩と突き越した。相掛かりではないので不急の手にも思えるが、そこは実戦心理の綾である。「詰められちゃった」と渡部女流二段は△6三銀。
第2図以下の指し手。▲9六歩△9四歩▲3八銀△4二銀▲4八玉△5四歩▲7七桂△5一金▲3九玉△5三銀(第3図)
今日の渡部女流二段はショートパンツで、そこから細い脚が伸びている。ストッキングは黒系だ。相変わらず細身で、モデルのようである。
私は▲9六歩。ひねり飛車に限らないが、角の可動域を拡げて、この手は必須だ。
「なんか(1筋の)端が大きそうに見えるなあ」と渡部女流二段はつぶやき、△4二銀。さらには「お腹が鳴ってる」と△5四歩。麹町サロンでは2コマ目と3コマ目の間に軽食の時間があるが、少食の渡部女流二段のこと、積極的に食事は摂らないのだろう。
いずれにしても、渡部女流二段はもっとモリモリ食べたほうがいい。将棋は体力である。
△5三銀に次の手が、敗着を承知の開戦だった。
(つづく)
15日は昼に職安に行ったがこれといった企業がなく、収穫のないまま、ふらふらと四ッ谷方面を目指した。疲れたらどこかで電車に乗ろうと思ったが、のんびり歩いているうち陽も暮れて、四ッ谷に着いてしまった。麹町サロンには指定時間の10分前(午後6時20分)に入った。
先客は2名で、麹町サロンでは顔なじみのようだ。私は入口のすぐ左の席に座った。
渡部女流二段とは久々にお会いするが、また綺麗になった。公私?ともに充実しているのだろう。私は挨拶もそこそこに、渡部女流二段に北海道土産を渡した。
「アッ、ここのチョコ、有名ですよね」
私のチョイスは人気店のものだったようで、よろこばれた。
「今日は私、弱点があるんですよ」
と、渡部女流二段が私をじっと見る。このシチュエーションは今までありそうでなかったもので、大抵の男子はこれで落ちる。
渡部女流二段の解答は、「コンタクトレンズをはめておらず、盤がよく見えない」だった。
本日2コマ目までは普通にはめていたが、休み時間中に目の調子が悪くなり、外さざるを得なかったという。
しかしプロは目隠し将棋もできるから、これがいかほどのハンデになるか、素人には測りかねる。
「もしもの時のために、メガネも持ち歩いていないとダメですね」
と渡部女流二段。彼女のメガネ姿もマニアには堪らないところであり、ぜひ常備をお願いしたい。
渡部女流二段から、「1日遅れですけど」とバレンタインデーのクッキーをいただいた。明らかに義理クッキーだが、うれしい。
「あ、大沢さんとは今年初めてでしたよね」
「あ、そうですね」
『本年もよろしくお願いいたします』
20代の新進女流棋士と新年?の挨拶を交わす。ありがたいではないか。
対局前にすっかり骨抜きにされて、対局開始。
初手からの指し手。▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△7二銀▲1六歩(第1図)
私は▲2六歩。2018年渡部先生との1局目は、ひねり飛車を目指した。
渡部女流二段は△3二金と上がる。「大沢さん、Todさんに会うことありますか」。
聞くと、2コマ目に参加のTod氏に、クッキーを渡し忘れてしまったらしい。
私が預かってもいいのだが、私からTod氏に渡しても、Tod氏がよろこぶかどうか。私がそのままくすねる可能性もあり、結局保留となった。
△7二銀と上がり、「今日は何の作戦ですか?」と聞かれる。
「ひねり飛車ですが」
と、私は▲1六歩と突いた。
第1図以下の指し手。△3四歩▲3六飛△3三金▲7六歩△6四歩▲7五歩△4二玉▲1五歩△6三銀▲7六飛△3二玉(第2図)
4人目の客が見え、駒を並べ始める。渡部女流二段が彼にも同じ質問をして彼をじっと見つめ、彼も骨抜きにされた。
渡部女流二段の解答を聞き、「でもプロは盤が見えなくても…」と、彼も私たちと異口同音の感想をもらした。
渡部女流二段は△7四歩と指し掛けて、△3四歩と突いた。下手に作戦を聞いた手前、素直にひねり飛車に組ませないとマズイと判断したのだろう。
私は▲3六飛。この局面を「タテ歩取り」という。渡部女流二段は△3三金と守る。これで下手は3四歩を取れないが、それでもタテ歩取りというのだ。
▲7六歩△6四歩に▲7五歩。「いよいよ正体を現しましたね」と渡部女流二段。
本当なら△8六歩▲同歩△同飛の時に▲7五歩と突きたかったのだが、渡部女流二段も△7二銀型にするなど、下手の捌きを警戒しているのだ。
△4二玉には▲1五歩と突き越した。相掛かりではないので不急の手にも思えるが、そこは実戦心理の綾である。「詰められちゃった」と渡部女流二段は△6三銀。
第2図以下の指し手。▲9六歩△9四歩▲3八銀△4二銀▲4八玉△5四歩▲7七桂△5一金▲3九玉△5三銀(第3図)
今日の渡部女流二段はショートパンツで、そこから細い脚が伸びている。ストッキングは黒系だ。相変わらず細身で、モデルのようである。
私は▲9六歩。ひねり飛車に限らないが、角の可動域を拡げて、この手は必須だ。
「なんか(1筋の)端が大きそうに見えるなあ」と渡部女流二段はつぶやき、△4二銀。さらには「お腹が鳴ってる」と△5四歩。麹町サロンでは2コマ目と3コマ目の間に軽食の時間があるが、少食の渡部女流二段のこと、積極的に食事は摂らないのだろう。
いずれにしても、渡部女流二段はもっとモリモリ食べたほうがいい。将棋は体力である。
△5三銀に次の手が、敗着を承知の開戦だった。
(つづく)