一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

3月17日の4時から男(前編)

2018-04-15 00:43:09 | 新・大野教室
フジテレビ「黒井戸殺し」は、なかなか面白かった。

   ◇

3月17日(土)は、大野教室に行った。といっても私は、今回も4時から男である。
今日も多くの客がいて、和室は自由対局でいっぱい。私は洋間で、新規の少年と指すことになった。
私の六枚落ち。少年は定跡を教わったはずだが、片雁木に構えた。でもこれなら上手ペースで、やがて私が相手の飛車をいじめて、勝った。
早く終わったので2局目を指すことにした。大野八一雄七段が「さっき教えた指し方でやってください」と少年に言う。やはり定跡を教わっていたのだ。
果たして2局目は少年が端を破り、勝勢となった。しかしそこから私が誤魔化し、やや紛れる。

第1図から少年は▲2八歩△2六金に▲1二成香としたが、逸機。私は△2五歩と桂を取り、憂いがなくなった。以下私の勝ち。
戻って▲2八歩では▲2三歩と垂らし、次に▲2二歩成を見て下手勝勢だった。また▲1二成香でも、▲3三桂成△同金▲3一銀があった。以下△3一同玉なら▲3三角成で上手玉は必至。これは玉を下段に落とす手筋である。
このあたりは対局中に考えさせようとも思ったのだが、面倒なのでやめた。私の初心者に対する態度は、この程度である。
3局目はHomma君と戦う。私の先手になり、私の居飛車明示に、Homma君は三間飛車に構えた。対してプロなら、居飛車の囲いは穴熊になるが、私は急戦策を採る。△2二飛と備えられたが、後手陣にスキを感じて、それでも仕掛けてみた。

第1図以下の指し手。▲4五歩△同歩▲3三角成△同桂▲3一角△3二飛▲4二角成△同飛▲2四歩△同歩▲同飛(第2図)

私は▲4五歩。△同歩に角を換え、たんに▲3一角と打つ。ここは▲2四歩△同歩の交換を入れたいが、それだと△2三飛の余地を与えてしまう。
▲3一角には△2一飛が形だが、▲4二角成△同銀▲3二金△5一飛▲4二金は、さすがに先手がいいと思った。
よってHomma君は△3二飛と寄ったが、私は角金交換ののち飛車先の歩を交換し、まずは読み筋通りとなった。

第2図以下の指し手。△2二歩▲3四飛△4四角▲8八銀△2三歩▲2四歩△5二角▲4三歩(途中図)

△4三同角▲4四飛△同銀▲2三歩成(第3図)

私の右ではAo-E戦が行われていたが、飛車落ちのAo氏が△4三歩と銀を詰ましてしまった。Ao氏とは対局をした記憶がないが、その老獪な指し回しは優に四段はある。大敵だと思った。
局面。△2二歩では△4六歩を予想していた。ただ実戦では、飛車成を受けたくなるだろう。
▲3四飛に、Homma君は△4四角。まずは1枚角を使ってくれてホッとした。
Homma君は△2三歩とし飛車の捕獲を狙ってきたが、私はいざとなったら4四角と刺し違えられるので、怖くない。構わず▲2四歩とし△5二角を促し、一本▲4三歩が手筋。これで角を近づけて、飛車角交換ののち▲2三歩成とした。

第3図以下の指し手。△6二銀▲3三と△同銀▲7七角△5五歩▲同角△3四飛▲3五金△同飛▲同歩△4四金(第4図)

ここでHomma君は長考に沈む。私は我慢できなくなりトイレに駆け込む。戻ってくるとチェスクロックの私の数字が動いており、意味が分からなかったが、Homma君は△6二銀と指していた。
これは意外で、△2五桂と思っていた。以下▲3三金△3七桂成▲同銀と進んでよく分からないが、とにかく△6二銀はありがたかった。
私は▲7七角で好調。後手は3三銀の処置が難しい。飛車角も近いし、先手はどうやっても攻めが続く形だ。そこでHomma君は忍の△3四飛。ここは先手も決めどころだが、俗に▲3五金と打った。
Homma君は△同飛と切って捨て、△4四金と最後の抵抗である。

第4図以下の指し手。▲4五桂(投了図)
まで、一公の勝ち。

ここで角を逃げていては笑われる。角取りに構わず、▲4五桂が好手。以下A△5五金なら▲3三桂成。B△4五同金は▲3三角成。C△2二銀は▲4四角で、後手はいずれも収拾がつかない。
すると、Homma君が投了してしまった。最近では稀に見る潔さである。
私としては序盤からうまく行き過ぎて、却ってキツネにつままれた感じである。
感想戦は、初手から大野七段が検討に加わってくれた。私はどこで差がついたのか不思議だったが、仕掛けから数手進むと、大野七段も「確かに後手悪いね」。
結論としては、△1四歩が不急の歩突きで、早い△5三銀が敗着となったようだ。
こんな序盤の手が敗着! これ、私がふつうに穴熊に組んでいたら、見過ごされていただろう。振り飛車側のわずかな不備を衝くところに、急戦の醍醐味がある。これだから急戦はやめられないのだ。

4局目は中年氏と指す。私の飛車香落ちなのだが、私はこの手合いが苦手だ。定跡では上手の端が突破され、ヒタヒタ成香を寄られる運命にある。それなら二枚落ちで、端の憂いがなく中央でごちゃごちゃ誤魔化すほうがよい。
とにかく対局開始。中年氏は端を交換し、▲1七桂と跳ねる。私は▲2五桂を防いで△2四歩と突いたが、▲2六歩とされてお手伝いになってしまった。
さらに私は△3三金と立ったが、これも目標になってよくない。中年氏は▲2五桂と跳ね、▲1三桂成でも上手潰れだったのだが、▲3三桂成の実利(金桂交換)も大きかった。

第1図以下の指し手。▲3一と△2五歩▲3六飛△2三銀▲4五桂△2四角▲4四角△4三香▲2二角成△4五香▲2三馬(投了図)
まで、中年氏の勝ち。

中年氏の▲3一とが当然ながら好手。私は△2五歩を利かし△2三銀だがこれが最後の悪手で、まだ△4三銀だった。
以下はボロボロになって、負け。私の工夫がまるでなかったのが敗因で、玉も6二あたりで止め、ほかに有効な手を指すべきだった。下手が居玉で終わったということは、上手相手に囲うまでもなかった、ということである。
次は頑張って、居玉の不備を咎めなければならない。

(つづく)
コメント
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