一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

鈴木九段の新橋解説会(第76期名人戦第6局)

2018-06-28 00:22:21 | 将棋イベント
19日と20日は、佐藤天彦名人VS羽生善治竜王の名人戦第6局があった。
2日目は東京・新橋駅前で新橋解説会がある。最近はAbemaTVがあるので新橋の解説会も価値が薄れているが、目の前で棋士の生解説が聴けるのは魅力だ。鈴木大介九段は第2局以来の登板だし、何より私自身が会社勤めになったら、解説会に参加できる保証はない。当日はあいにくの小雨となったが、とにかくそんなわけで、私は新橋に向かったのだった。
開演の6時半に合わせて新橋に着いたが、SL広場前の大盤解説場は、多くの人だかりだった。
今日は雨なので、大盤前の椅子席はない。それで観客が大盤のすぐ前に陣取っているのだが、これでは傘の花もあって、後方の客は大盤が見えない。といって人波をかきわけて前方に出るほどの度胸は私になく、立ち尽くしてしまった。
定刻をやや遅れて鈴木九段、藤森哲也五段、藤森奈津子女流四段が登場した。
「名人戦は第5局を後手番の佐藤名人が制して、防衛に王手。第6局は山形県の天童ホテルです」
3人が異口同音に言う。そして解説が始まった。もちろん初手からである。
▲7六歩△6二銀!!
「これがネ」と鈴木九段。「1994年だったかな、羽生さんが七冠を獲る前に指したことがあります。最近は新しい指し方が出てきて、こんな手も指されるようになりました」
だけどカド番のここで指しますかねー、という雰囲気だ。
△7四歩。鈴木九段「△7四歩~△7三銀~△6四銀が優秀ということで、最近はこの指し方が多くなっています」
この△7四歩を佐藤名人が取りに行き、見たことのない戦いになった。いや、以前将棋ソフトが、△7四歩取らせの将棋を指したことがあったっけ。
鈴木九段は「戦型分類はなんになるんでしょうか」
と言う。「私は業務で棋譜の戦型を記してるんですけど、最近は『その他の戦型』が多いんですよ。もう9割くらいになっちゃう。その他が9割って、そうなるともう『その他』じゃないですよね。だから私は、戦型分類を止めようと提案しようと思ってるんです」
△5四歩。ここで△2四歩はどうなのか、と鈴木九段が異を唱える。先手の飛車が8五にいるので、2五に帰さない手である。深浦康市九段と藤井聡太四段(当時)の叡王戦で同じ将棋があり、その時は後手の深浦九段が△2四歩と指したという。
かなり有力だが、羽生竜王は見送ったわけだ。今期の名人戦は、どちらも「最初のチャンスは見送る」ケースが多い。
雨は小降りで、傘はいらないこともない。が、メガネ常用者は水滴が難敵で、このくらいの雨でも差さねばならないのがつらい。
大盤は相変わらず見づらい。なるほど大盤前の椅子席は、観客の背丈を低くすることで、後方の客も見えるよう配慮していたのだ。
しかしそれならば今回は、スタッフから一言あってもよかったと思う。
指し手はどんどん進む。羽生竜王が△4二角と引いた。ここは、△5五歩と指したい、と鈴木九段。いつでも指せる角引きより、天王山の位を張る△5五歩を推したのだ。
「プロの感覚からすると後手必勝態勢なんです、銀冠ですしね。
しかし先手は2歩得(?)で、見解が分かれるところです」
佐藤名人は▲4五歩と開戦する。羽生竜王は△同歩。
「すばらしい。最初にぶつかった歩を取れないようではわるい、と言われます」
なるほど、一局の将棋でなく、将棋全般に通ずる考え方は参考になる。
羽生竜王は8筋の継ぎ歩から、銀を五段目に進出する。対して佐藤名人は▲6五歩。
「これがいい手」と鈴木九段。なんだか佐藤名人らしい手なのだが、大盤が見えない。
鈴木九段が、「これはこうやってこうやって、ダンスの歩が決まるんですね。これが気持ちいい手筋ですね」
とか言っているが、盤面が見えなければどうしようもない。
藤森女流四段が
「ネットでは、115手目にして初めて、歩以外の駒が駒台に乗った、と書いてあります」
と言う。
時刻は6時58分。これからが白熱の終盤戦だが、このあとも混雑は解消されないようだ。
始終イライラしてこの場にいるくらいなら、帰ってテレビでも見た方がマシだ。それで、ここで失礼した。
コメント
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