(19日のつづき)
6局目はWatk四段と。Watk氏も交流会の常連で、毎年顔を合わせる。本局は私の後手。Watk氏が飛車を振ったが、4段目に浮いた飛車を左右に動かし、変幻自在の指し回しだ。
私は面食らったが、冷静に応対して、先手玉を寄せた。
7局目はSuz氏と。「いつもブログを読んでいます」と言われ恐縮する。私の後手で、Suz氏のひねり飛車を迎え撃つ。
私は△4三金~△4二銀とし、昭和の香りのする戦いとなった。
中盤、Suz氏が▲4六歩△同歩▲同銀としたはいいが、△4五歩に▲4四歩と叩いたのが指しすぎだったか。私はよろこんで△同金と取り、1歩を得しただけだ。
そののち私は△6五銀と桂得し、その桂を△7六に打った手が角金両取り。その見返りにSuz氏も▲8三歩成と飛車先を突破したが、角損の代償がこれでは、戦意を喪失してしまったようだ。私が△4二飛と逃げると、突然、という感じで、Suz氏が投げてしまった。
私が先手でももう少し指すところで、Suz氏の潔さに感心した。
出だしは連敗だったが、そのあと盛り返して、気が付けば5勝2敗である。時間的に、次が最後の対局になるが、ここで勝てばさすがに最多勝確定であろう。
8局目はミスター中飛車四段と当たった。ミスター中飛車氏は中飛車の使い手で、毎回工夫を凝らした作戦が魅力だ。ただし対戦成績は私が8連勝。その後に1回負けたか負けないか、の記憶があるが、とにかく相性はよい。これで最多勝いただき、とほくそ笑んだが、こういう考えがもっともあぶない。
私の先手に、ミスター中飛車氏はゴキゲン中飛車。▲2四歩△同歩▲同飛にミスター中飛車氏が△2三歩と打たなかったので、私は▲2一角と放つ。ふだんの私ならこの決戦は避けるが、時間もないので行った。
しかしやはり無理筋で、不利になる。そこでミスター中飛車氏に決め手があったのだが、△2五角と打った手が大悪手で、私が労せずして駒得し、優勢になった。正直、ここでは勝ったと思った。これで6勝2敗か!
ところがミスター中飛車氏の△9四歩~△9五歩に、▲9三歩とつっぱったのが躓きの始まり。以下端を突破されて、おかしなことになった。
私は右辺が凝り固まって、どうにもならない。「う~む!」と嘆息すると、ハハ…と声が聞こえた。振り向くと、金子タカシ氏が観戦していた。私は恐縮してしまう。
私は▲6五歩と空気穴を開ける。これで逃げられると思ったのだが…。
第1図以下の指し手。△6六歩▲同金△9八銀(途中図)
▲8六桂△同香▲7七玉△8七香成(第2図)
以下、ミスター中飛車氏の勝ち。
ミスター中飛車氏は△6六歩。私はさして考えず▲同金と取ったのだが、△9八銀の鬼手が飛んできた。
これを▲同玉は△8七角成の一発。私は▲8六桂と受けたが、しばらくしてタダと気付いた。
ミスター中飛車氏は当然△同香。私はボヤきながら▲7七玉と脱出したが、△8七香成以下、寄せきられた。
戻って△6六歩には、▲7七金寄と我慢すべきだった。これも△6七香などがあって相当難しいが、もちろん本譜よりは粘りが利いた。
中盤ではハッキリ優位に立っていただけに、この敗戦は痛かった。
時刻は4時に近づき、自由対局は順次終了となる。私は●●○○○○○●の5勝3敗となったが。これは最多勝に微妙な数字だ。
別所からテーブルを運んで、懇親会(宴会)の用意である。
Ok氏が来て、今日、将棋ペンクラブの会員になったという。これだけ交流会に来ていれば当然で、これでOk氏もめでたくペンクラブ教の信者である。
しかし会員の醍醐味は、自分の文章が無料で活字化できることにある。Ok氏も何か書いて、ペン倶楽部に投稿してもらいたい。
今年は入場者が昨年並みだったので、テーブルも意外に少なかった。
全員席につく。私は例年同じ席、すなわち雲鶴の出入口付近にいる。右はブルーベリー氏、左はSuz氏だ。だいたい顔見知りが集まってしまうようである。
まずは自己紹介を兼ねた表彰式。注目の最多勝は6勝で、Osa氏ともうひとりいた。Osa氏、私に負けたのに、6勝もしていたとは!
賞品は、棋士の直筆色紙、棋書などの中から好きな品を1点選ぶ。Osa氏は中原誠十六世名人の色紙を選んだ。私が狙っていたやつだ。Osa氏には数年前、宮宗紫野女流初段の色紙を賭けて直接じゃんけんをしたことがあったが、負けた。どうもOsa氏にはいろいろ持っていかれる。
お次は5勝で、私を含む3人が呼ばれた。私は色紙を選んで自己紹介。
「大沢です。今年は森内九段の『行雲流水』をいただきました。どういう意味でしょうかネ。
私は昨年自宅の会社を畳みまして、現在就職活動中です。それなら時間があるから将棋の勉強ができるじゃないか、と思うかもしれませんが、違います。将棋は時間のないところをやりくりして愉しむのがいいんですね。時間があっても、却って勉強できません」
これは午前に湯川博士幹事と話したときのセリフを、そのまま使い回した。
そのあとも自己紹介が続いたが、キリがないので、まずは乾杯を済ませてしまう。
音頭はもちろん、木村晋介将棋ペンクラブ会長である。湯川幹事によると、会長はほかに重要な用件があったのだが、こちらを優先したという。ありがたいことだ。
木村会長は「スピーチは短いほうがいいですネ」と笑いを取り、乾杯。いよいよ懇親会の始まりである。
(つづく)
6局目はWatk四段と。Watk氏も交流会の常連で、毎年顔を合わせる。本局は私の後手。Watk氏が飛車を振ったが、4段目に浮いた飛車を左右に動かし、変幻自在の指し回しだ。
私は面食らったが、冷静に応対して、先手玉を寄せた。
7局目はSuz氏と。「いつもブログを読んでいます」と言われ恐縮する。私の後手で、Suz氏のひねり飛車を迎え撃つ。
私は△4三金~△4二銀とし、昭和の香りのする戦いとなった。
中盤、Suz氏が▲4六歩△同歩▲同銀としたはいいが、△4五歩に▲4四歩と叩いたのが指しすぎだったか。私はよろこんで△同金と取り、1歩を得しただけだ。
そののち私は△6五銀と桂得し、その桂を△7六に打った手が角金両取り。その見返りにSuz氏も▲8三歩成と飛車先を突破したが、角損の代償がこれでは、戦意を喪失してしまったようだ。私が△4二飛と逃げると、突然、という感じで、Suz氏が投げてしまった。
私が先手でももう少し指すところで、Suz氏の潔さに感心した。
出だしは連敗だったが、そのあと盛り返して、気が付けば5勝2敗である。時間的に、次が最後の対局になるが、ここで勝てばさすがに最多勝確定であろう。
8局目はミスター中飛車四段と当たった。ミスター中飛車氏は中飛車の使い手で、毎回工夫を凝らした作戦が魅力だ。ただし対戦成績は私が8連勝。その後に1回負けたか負けないか、の記憶があるが、とにかく相性はよい。これで最多勝いただき、とほくそ笑んだが、こういう考えがもっともあぶない。
私の先手に、ミスター中飛車氏はゴキゲン中飛車。▲2四歩△同歩▲同飛にミスター中飛車氏が△2三歩と打たなかったので、私は▲2一角と放つ。ふだんの私ならこの決戦は避けるが、時間もないので行った。
しかしやはり無理筋で、不利になる。そこでミスター中飛車氏に決め手があったのだが、△2五角と打った手が大悪手で、私が労せずして駒得し、優勢になった。正直、ここでは勝ったと思った。これで6勝2敗か!
ところがミスター中飛車氏の△9四歩~△9五歩に、▲9三歩とつっぱったのが躓きの始まり。以下端を突破されて、おかしなことになった。
私は右辺が凝り固まって、どうにもならない。「う~む!」と嘆息すると、ハハ…と声が聞こえた。振り向くと、金子タカシ氏が観戦していた。私は恐縮してしまう。
私は▲6五歩と空気穴を開ける。これで逃げられると思ったのだが…。
第1図以下の指し手。△6六歩▲同金△9八銀(途中図)
▲8六桂△同香▲7七玉△8七香成(第2図)
以下、ミスター中飛車氏の勝ち。
ミスター中飛車氏は△6六歩。私はさして考えず▲同金と取ったのだが、△9八銀の鬼手が飛んできた。
これを▲同玉は△8七角成の一発。私は▲8六桂と受けたが、しばらくしてタダと気付いた。
ミスター中飛車氏は当然△同香。私はボヤきながら▲7七玉と脱出したが、△8七香成以下、寄せきられた。
戻って△6六歩には、▲7七金寄と我慢すべきだった。これも△6七香などがあって相当難しいが、もちろん本譜よりは粘りが利いた。
中盤ではハッキリ優位に立っていただけに、この敗戦は痛かった。
時刻は4時に近づき、自由対局は順次終了となる。私は●●○○○○○●の5勝3敗となったが。これは最多勝に微妙な数字だ。
別所からテーブルを運んで、懇親会(宴会)の用意である。
Ok氏が来て、今日、将棋ペンクラブの会員になったという。これだけ交流会に来ていれば当然で、これでOk氏もめでたくペンクラブ教の信者である。
しかし会員の醍醐味は、自分の文章が無料で活字化できることにある。Ok氏も何か書いて、ペン倶楽部に投稿してもらいたい。
今年は入場者が昨年並みだったので、テーブルも意外に少なかった。
全員席につく。私は例年同じ席、すなわち雲鶴の出入口付近にいる。右はブルーベリー氏、左はSuz氏だ。だいたい顔見知りが集まってしまうようである。
まずは自己紹介を兼ねた表彰式。注目の最多勝は6勝で、Osa氏ともうひとりいた。Osa氏、私に負けたのに、6勝もしていたとは!
賞品は、棋士の直筆色紙、棋書などの中から好きな品を1点選ぶ。Osa氏は中原誠十六世名人の色紙を選んだ。私が狙っていたやつだ。Osa氏には数年前、宮宗紫野女流初段の色紙を賭けて直接じゃんけんをしたことがあったが、負けた。どうもOsa氏にはいろいろ持っていかれる。
お次は5勝で、私を含む3人が呼ばれた。私は色紙を選んで自己紹介。
「大沢です。今年は森内九段の『行雲流水』をいただきました。どういう意味でしょうかネ。
私は昨年自宅の会社を畳みまして、現在就職活動中です。それなら時間があるから将棋の勉強ができるじゃないか、と思うかもしれませんが、違います。将棋は時間のないところをやりくりして愉しむのがいいんですね。時間があっても、却って勉強できません」
これは午前に湯川博士幹事と話したときのセリフを、そのまま使い回した。
そのあとも自己紹介が続いたが、キリがないので、まずは乾杯を済ませてしまう。
音頭はもちろん、木村晋介将棋ペンクラブ会長である。湯川幹事によると、会長はほかに重要な用件があったのだが、こちらを優先したという。ありがたいことだ。
木村会長は「スピーチは短いほうがいいですネ」と笑いを取り、乾杯。いよいよ懇親会の始まりである。
(つづく)