一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ関東交流会2018(2)

2018-06-18 00:40:00 | 将棋ペンクラブ
大広間には、Kun氏、ミスター中飛車氏、Ok氏らの姿があった。Ok氏はわざわざ千駄ヶ谷まで、熱心なことだと思う。
次の対局を待っていると、湯川博士幹事に話しかけられた。
「仕事はどうなの?」
「あ、ああ…昨年で仕事を畳みまして、今求職中です」
私の失職なのを知って、慮ってくれたのだろうか。
「将棋指してんの」
「はあ、時間はあるんですが、だからといって将棋を指す気にもならなくて…」
もっと話をしたかったが、私に対局が付いてしまった。相手はNi氏で、関東交流会最多勝の常連である。逆にいえば、この直接対決を制せば、私が最多勝に近づける。
Ni氏は確か五段だったが(手合いカードは見ない)、振駒とし、私の先手になった。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩。Ni氏はウソ矢倉が得意なので、そうなる前に私が急戦に出る。Ni氏は矢倉風味から中飛車に振り、右玉に構える。ただしこれはNi氏の将棋ではないはずで、私が気分的にラクになった。
ただ形勢自体は難しく、一進一退。でも私の攻めが何となく決まったようで、私が後手玉を寄せきれそうな雰囲気になった。
そこで室内がザワつく。森内俊之九段がいらしたのだ。森内九段は、第26回の将棋ペンクラブ大賞で、文芸大賞の優秀賞を受賞している。
ビッグネームの登場に、私たちは大拍手で歓迎の意を示す。
「今日は公務で将棋会館に来たんですが、交流会があると聞いて、お邪魔しました」
私たちはニコニコしながら挨拶を拝聴する。先の指導対局と合わせ、私はこれだけでもう、3,000円の元を取った感じだ。
さて、私の将棋である。私が▲7五歩と打って詰めろを掛けたのに対し、Ni氏は△7四歩と打ってそれを防いだ。「敵の打ちたいところへ打て」の好手で、意外に粘りがある。

第1図以下の指し手。▲4五角△5四銀▲同角△同香▲5二銀打△7三玉▲7二金△8四玉▲8一金(第2図)

この局面は私の勝勢だと思うが、寄せ見えなくなってしまった。あまり考えてもアレなので▲5四角と王手したが、何となくおかしい。
以下力づくで追って、△7三玉に▲7二金。「取れないってわけですね」とNi氏は苦笑する。
△7二同玉はもちろん詰み。それでNi氏は△8四玉と逃げたが、私のほうも▲8一金と飛車を取った感触が悪い。金がソッポで、しかも詰めろでないからだ。完全に流れがおかしくなった。

第2図以下の指し手。△8九銀▲9七玉△7八銀不成▲8二金△8七銀成(投了図)
まで、Ni氏の勝ち。

Ni氏は△8九銀。9七に打つ手ばかりを考えていたので、意表を衝かれた。
△7八銀不成にいまさら受けてもいられないので▲8二金と迫ったが、これでも詰めろでないっぽい。
と、Ni氏は△8七銀成! しまった、これで詰みだったか! 無念の投了である。

「△9七銀で詰まないので、△8九銀と打った」
とNi氏。一方、私は釈然としない。さすがに終盤は私の勝ちでしょうと検討するが、やってみると、後手玉も耐久力がある。
「私は(途中まで負けと思っていたので)全然読んでなかったから」
とNi氏が言うので、私が一人で意見を言う形だ。
さんざん突っついて、第1図では▲5三歩で先手有望、の結論が出た。詰めろで迫ればよかったのに、無理に玉を追い駆けておかしくした。いい将棋を、もったいないことをした。
というわけで、2局終わって0勝2敗は厳しい。早くも最多勝に黄信号が灯ってしまった。
3局目はOsa氏と。Osa氏も最多勝の常連で、私はこの直接対決がラストチャンスだ。
Osa氏の昨年の自己申告は1級。今年は「二段」と修正申告したが、それでも本来の段位と乖離がある。ちなみに私は四段で申告した。本当は三段だが、周りが許してくれなかった。
対局前に、年齢のことで雑談する。Osa氏は私を40代と思っていたそうだ。それはありがたいが、こんなに禿げあがった40代はいない。
Osa氏も若々しいが、年齢を聞いたら結構な数字だった。将棋を指すと若くなるのだろうか。
将棋は後手Osa氏の三間飛車。でも氏得意の穴熊には組まず、美濃囲いだった。
私は4筋から急戦を目指すが、▲4四歩△同銀のあと、▲2五歩とこちらに攻めの舵を取ったのが工夫。
これにOsa氏が動揺?し、私は二段目に飛車を成り込み、▲5二銀。△同金▲同飛成が△4三の金に当たっているが、Osa氏は△6一銀打と守りを固める。私は▲4三竜と金得し、さすがにこの岐れはよくなったと思った。
その得した金を4六に打ち、馬を叱る。Osa氏は「うわあー、ひどいねえ」とボヤくが、Osa氏はちっとも堪えていないので、騙されてはいけない。

Osa氏は馬を自陣に引くが、私は▲4四歩と閉じ込める。ここで焦って攻めたら負ける。どんなに汚らしくても、負けない手を心掛けた。
このあとOsa氏は駒損の攻めで8九に馬を作ったが、私は▲5九飛と打ち馬を殺し、数手後Osa氏が投了した。

大豪Osa氏に勝てたのは望外の戦果。ようやく片目を開け、私はホッと一息である。
(つづく)
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