一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

棋士の何%がA級に昇れるか

2019-10-15 00:17:12 | 将棋雑記
棋士は皆さん天才だが、順位戦の昇級には限りがあり、一度も昇級できずに引退する棋士は大勢いる。その中でA級まで昇級する棋士はごく一握りである。
その割合を調べてみたい。大昔は棋士の数も少なかったから単純に比較はできないし、引退棋士の問題もある。今回はとりあえず、45年前、30年前、15年前、そして現在の現役棋士の、A級経験者の割合を調べてみた。

■第29期順位戦(1974年9月30日現在)
・名人 中原誠名人・王将・王位
・A級 11名 大山康晴十段・棋聖、内藤國雄九段、二上達也九段、関根茂八段、米長邦雄八段、有吉道夫八段、塚田正夫九段、加藤一二三九段、板谷進八段、大内延八段、升田幸三九段
・B級1組 14名中7名(50%)佐藤大五郎八段、丸田祐三九段、灘蓮照八段、芹沢博文八段、熊谷達人八段、花村元司八段、広津久雄八段
・B級2組 18名中6名(33%)原田泰夫八段、大野源一九段、加藤博二八段、松下力八段、松浦卓造八段、松田茂行八段
・C級1組 19名中4名(21%)五十嵐豊一八段、坂口允彦八段、小堀清一八段、南口繁一八段
・C級2組 17名中0名
◎現役棋士80名中29名 36%

■第48期順位戦(1989年9月30日現在)
・名人 谷川浩司名人・王位
・A級 10名 米長邦雄九段、桐山清澄九段、内藤國雄九段、大山康晴十五世名人、中原誠棋聖・王座、青野照市八段、塚田泰明八段、南芳一棋王・王将、田中寅彦八段、高橋道雄八段
・B級1組 13名中11名(85%)加藤一二三九段、真部一男八段、石田和雄八段、有吉道夫九段、小林健二八段、勝浦修九段、大内延介九段、淡路仁茂八段、森雞二九段、二上達也九段、森安秀光九段
・B級2組 24名中4名(17%)木村義徳八段、丸田祐三九段、加藤博二九段、関根茂九段
・C級1組 23名中1名(4%)佐藤大五郎八段
・C級2組 56名中0名
・C級3組 1名中0名
◎現役棋士128名中27名 21%

■第63期順位戦(2004年9月30日現在)
・名人 森内俊之竜王・名人・王将
・A級 10名 羽生善治王位・王座、佐藤康光棋聖、谷川浩司棋王、丸山忠久九段、三浦弘行八段、鈴木大介八段、藤井猛九段、久保利明八段、深浦康市八段、高橋道雄九段
・B級1組 13名中7名(54%)島朗八段、青野照市八段、郷田真隆九段、森下卓九段、先崎学八段、井上慶太八段、田中寅彦九段
・B級2組 22名中6名(27%)加藤一二三九段、南芳一九段、内藤國雄九段、森雞二九段、桐山清澄九段、田丸昇八段
・C級1組 31名中6名(19%)石田和雄九段、塚田泰明九段、真部一男八段、淡路仁茂九段、小林健二九段、有吉道夫九段
・C級2組 47名中1名(2%)大内延介九段
・フリークラス 25名中2名(8%)中原誠永世十段、勝浦修九段
◎現役棋士149名中33名 22%

■第78期順位戦(2019年9月30日現在)
・名人 豊島将之名人
・A級 10名 佐藤天彦九段、羽生善治九段、広瀬章人竜王、糸谷哲郎八段、佐藤康光九段、久保利明九段、三浦弘行九段、稲葉陽八段、渡辺明棋王・王将・棋聖、木村一基王位
・B級1組 13名中6名(46%)深浦康市九段、阿久津主税八段、屋敷伸之九段、行方尚史八段、谷川浩司九段、郷田真隆九段
・B級2組 25名中5名(20%)橋本崇載八段、丸山忠久九段、藤井猛九段、井上慶太九段、鈴木大介九段
・C級1組 36名中6名(17%)先崎学九段、森下卓九段、高橋道雄九段、青野照市九段、島朗九段、塚田泰明九段
・C級2組 52名中3名(6%)田中寅彦九段、南芳一九段、桐山清澄九段
・フリークラス 19名中2名(11%)森内俊之九段、小林健二九段
◎現役棋士155名中33名 21%

驚いた。調べる前は、A級経験者の数字が徐々に上がるものだと思っていた。
しかし、1974年の時点で、その割合が36%もあった。当時は現役棋士が少なかった上に、C級2組からの陥落は即引退になっていたから、割合が上がったのだ。
1980年代になって棋士の数が増え、引退者も少なくなったため、割合は低くなった。1989年9月の時点で21%。それが現在まで、ほぼ同じ数字で推移しているのは驚きである。
以前、A級棋士から20代がいなくなったという話があったが、現在も似たような傾向である。羽生世代が粘り強く、後輩の「初A級」が生まれにくくなっているのかもしれない。
それでも、意外に多くの棋士がA級になっていると感じた。
コメント
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