一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

半年ぶりの愛(2)

2019-10-24 00:06:22 | 女流棋士の指導対局会

第3図以下の指し手。▲3四歩△3二歩▲3三歩成△同歩▲3二銀△5三飛▲4四銀△5一飛▲3三飛成△6五歩(第4図)

私は飯野愛女流初段を鑑賞しながら指し手を進めたいのだが、とてもその余裕はない。
第3図では黙ってA▲6六銀、強攻でB▲4四銀△同飛▲3三飛成、さらにC▲3四歩がある。
たぶん▲6六銀が正着なのだろうが、ここで一段落しては、下手の駒損がクローズアップされてしまう。
といって▲4四銀は駒損が拡大してしまう。そこで▲3四歩とした。対して△5五歩なら▲3三歩成△5三飛▲4四銀(参考A図)でどうか。この順もパッとしないが、ほかにやりようがない。

飯野女流初段は△3二歩だった。これは▲3三歩成で一応二枚換えである。ただ△3三同歩にA▲6六銀は、上手も△4六歩と捌いてくる。
そこで甚だダサイが、B▲3二銀と打った。以下△5三飛に▲4四銀で、銀を脱出しつつ飛車取り。
さらに▲3三飛成と1歩を取りつつ侵入し、悪いながらも希望が持てる展開になった。

第4図以下の指し手。▲3七桂△8五歩▲4五桂△8六歩▲8八玉△6四角▲8四歩△6二金上▲8三桂△8二玉▲9一桂成△同玉▲8五香(第5図)

第4図の△6五歩は味わい深い。いま強烈な狙いはないが、後に△6四角と据え、△8五歩の攻めを見ている。いかにもプロの手だと感心した。
私は▲5三桂と打ちたいが、これはダサすぎてダメであろう。そこで▲3七桂と跳んだ。これは遊び駒を活用して、落ち着いた手だったと思う。
飯野女流初段は△8六歩と取り込んだ。右銀のない天守閣美濃はこれに弱い。これに▲8六同玉は△8八角がある。私は▲8八玉と引いたが、上手の持駒は頭の丸い角だけなので、まだ大きな脅威ではない。
△6四角に▲8四歩。上手の玉頭攻めを逆用して、これは上手も気味が悪かろう。
次に▲8三歩成△同銀▲6三竜があるから、飯野女流初段は△6二金上。私は▲8三桂と打つ。これは△8二玉で意外に大したことはないが、上手も気持ち悪いところであろう。
私は▲9一桂成から▲8五香。これで決まったようだが……。

第5図以下の指し手。△8七歩成▲同銀△8二歩▲9五歩△7三桂打▲7七桂(第6図)

某B氏の将棋が終わった。さすがに早指しで飛ばしたようだ。
当然感想戦に入るが、ここで5分前後取られる。全体の指導対局は1時間半だから、実は上手も下手もかなりの早指しでないと、全局結着がつかないのだ。
△8七歩成は玉頭の拠点を捨ててもったいないが、▲同銀に△8二歩で受かっている。簡易穴熊で、これはこれで固い。私は▲9五歩と突いたが、持駒が歩だけでは、どのくらいの威力なのか。
そこで飯野女流初段の△7三桂打がさすがで、やはりこの香を取りにきた。
私の▲7七桂は端が薄くなるので指したくないが、黙って△8五桂と跳ばれたら負けだ。
とはいえここでは下手が若干切れ気味。このまま負かされそうな気がした。

第6図以下の指し手。△3一歩▲4三銀成△9五歩▲9三歩△同桂▲9四歩△8五桂▲9三歩成△7七桂成▲同玉△8五桂▲6八玉△7七角▲5七玉(第7図)

第6図で飯野女流初段は△3一歩。咄嗟には意味が分からなかった。
ここで右のTag戦が終了。Tag氏が会心の攻めで、飯野女流初段を投了に追い込んだ。
さらにその右の某A氏の将棋も終わった。意外に私の将棋が長引いている。
局面、私はありがたく▲4三銀成とした。
さて問題は9筋で、この歩はどちらも取りたくない。しかし飯野女流初段は△9五歩。堂々と取られてみると私のほうに手がない。
▲9三歩は手順に△同桂と取られるのでバカバカしいが、次の▲9四歩に期待した。
そして△8五桂に▲9三歩成としたが、その前に▲4二成銀を利かすことも考えた。△6一飛なら明らかに下手の得だが、この成銀は5三に利かしておきたい意味もある。
そこで黙って▲9三歩成とした。いかにも大きなと金だが、私の駒台にはもう何もない。
飯野女流初段は△8五桂から殺到する。しかし私は▲5七玉と逃げて一安心。戻って△7七桂成では、じっと△9六歩(参考B図)がイヤだった。

対してA▲9六同香は△9七桂成▲7八玉△9六成桂▲同銀△9七角成。またB▲9六同銀は△9二歩だ。
ただ△9六歩に黙って▲5三桂成も相当で、上手も自玉頭にと金がいる状態だから、そんな無理もできないのだ。

第7図以下の指し手。△5五歩▲8三桂△同歩▲同歩成△5六歩▲4八玉(第8図)

「ロスタイムに入ります」
とW氏の非情な声。お昼休みもあるから打ち切りはないだろうが、時間が経つのは本当に早い。
ここで上手の指し手がまったく分からなかった。飯野女流初段は△5五歩と突いたが、ありがたい気がした。じゃあ最善手は何かと問われても分からないが。
奥の常連氏も終わったようだ。飯野女流初段の勝ち。
「愛ちゃんにメチャクチャにやられた」
と常連氏がボヤく。しかしその顔は笑っている。私たち将棋ファンは、女流棋士に将棋を教えていただくことが、何よりのよろこびなのだ。
それはいいが、Kur氏も2局目を終えたようなので、私が最後になってしまった。
私は▲8三桂。△8一玉なら▲5五銀がピッタリだ。ただその前に▲4二成銀△6一飛を利かしていたら、下手はいつでも▲6三竜があるから、より明快だった。
あ、そうか! 先の△3一歩▲4三銀成の交換は、この質駒をなくすためだったのだ。
本譜に戻り、飯野女流初段は△8三同歩としたが、私は▲同歩成と2枚目のと金を作り、これはこれで勝てるんじゃないかと思った。
△5六歩に▲4八玉。次に△5七歩成なら▲同金で詰みはないと思うが、かなり王手が続く。それより▲3八玉で、上手に手がないと思った。

(つづく)
コメント
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