一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

志の輔ラジオ落語DEデート「島井咲緒里編」

2022-12-09 10:43:25 | 女流棋士
文化放送日曜朝7時から放送されている「龍角散Presents・志の輔ラジオ落語DEデート」は、2007年放送開始の長寿番組である。落語家・立川志の輔が毎週いろいろなジャンルの女性をゲストに迎え―といっても女優が圧倒的に多いが―、前半はゲストとのトーク、後半は過去に収録済の落語家の噺を聴き、その名人芸を味わうという構成になっている。
4日朝は、LPSAの島井咲緒里女流二段がゲストだった。「将棋の女流棋士なのにDJもこなす」というふれこみだったようだ。
番組の冒頭、いきなり島井女流二段の声が聴こえてびっくりした。ただ、私は最近島井女流二段の声、というか本人に直接会う機会が2回あったので、妙な親近感があった。
番組は「DJ」について話が進む。これは、下北沢のカフェで島井女流二段選曲の音楽を聴きながら、将棋を指すことをいうらしい。
私も「ミスDJリクエストパレード360」を聴くなど音楽は好きなので、この構成は支持できる。しかし志の輔には奇異に映ったようだ。まあ、それが当然であろう。
そこから番組は、島井女流二段の子供時代、すなわち将棋との関わりを聴く。これは島井女流二段から具体的に聞いたことがないので、興味深かった。
島井女流二段は中学時代に将棋をやめようと思ったことがあるのだが、現在のある女流棋士に「そんなに強いのにもったいないでー」と説得され、島井女流二段は女流棋士を志すのである。
そして女流棋士になったいま、島井女流二段はそのことをまったく後悔していない、と言い切った。これは素晴らしいことである。
そしてもうひとつ私が感心したのは、島井女流二段が志の輔に「将棋は何手先まで深く読むんです?」と聞かれた際、「浅いです」と、飾り気なく答えたことだ。
ここは見栄を張って、いくらでも長手数を言えたところである。しかし島井女流二段は、ありのままを述べた。この素直さ、おおらかさが島井女流二段の魅力である。彼女のファンが多いのもうなずけるのであった。
後半は落語である。題目は「将棋の殿様」。演者は人間国宝の五代目・柳家小さん。1977年3月30日・NHKラジオでの放送である。「放送局の垣根を越えてお届けいたします」と志の輔。これがお馴染みのセリフなのである。
ある藩の殿様が将棋に凝りだし、家来と将棋を指すようになった。しかし殿様は将棋が弱く、いつも負けそうになる。そのたびに家来の指し手に制限を設けたり、自分の駒をワープさせたりして、結局自分が勝ってしまう。
さらには、勝った方が負けた方に鉄扇で頭を叩く、という罰ゲームまで設定してしまう。もちろん殿様が連戦連勝で、家来の頭はコブだらけになってしまう。
そこに現われたのが家老の田中で、家来から事情を聞いた家老は、殿様との勝負に挑む……。
ドリフのコントにも出てきそうな題材で軽い噺だが、小さんは滋味あふれる語り口で、観客の笑いを誘う。
ただ小さんは、将棋は級位者なんだなと思う。たとえばこの話を将棋ペンクラブ有志に演らせたら、将棋の箇所を面白おかしく演出したと思う。それにこの題材ならいままでの将棋寄席で演ってくれてもよさそうだが、ペンクラブの連中ときたら、「芝浜」とか「らくだ」とか、大ネタばかり演りたがるのだ。
サゲは関東風と関西風があり、小さんはもちろん関東風。しかし将棋ファンとしては、苦笑いするところ。この噺には自由度があるので、オリジナルのサゲを考案してほしいところである。
今回の放送は、Radikoで11日まで聴くことができる。時間があったら、島井女流二段の飾らないトークを楽しんでいただきたい。
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