一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

駒損から桂

2022-12-20 21:36:21 | 将棋雑記
第72回NHK杯将棋トーナメント、12月4日の放送は広瀬章人八段VS斎藤慎太郎八段の一戦だった。
先番広瀬八段の作戦は相掛かり。▲2二角成から▲6八銀と上がる形で、これは11月25日・26日に行われた第35期竜王戦第5局と同じ展開だ。ここで広瀬八段は快勝しカド番を凌いだわけだが、対局日の順番から行くと、このNHK杯が先だ。竜王戦ではこの将棋を下敷きにしたに違いない。ということは、NHK杯は広瀬八段が勝つと思った。

第1図、AIの予想は「△3七角成」である。しかし解説氏はこの筋に気付かず、聞き手の中村桃子女流二段が言及した。最近はこのパターンが実に多い。
△3七角成の変化は以下▲同金に△4五桂と跳ねる意味。しかしこのあと桂銀交換になってもまだ駒損なわけで、解説氏はあまり賛同しなかった。
本譜は第1図から△7七角成▲同桂△2四歩▲4六角△5三角(第2図)。こう進むと、今度は広瀬八段に同じ筋が現れた。すなわち、▲7三角成△同金▲6五桂である。たった5手進んだだけで相手側にまったく同じ攻め筋が現れる。これはかなり珍しい。

この▲6五桂は桂金交換が約束され、先の△4五桂とは事情が違う。今回はさらに▲6五桂のおかわりもある。攻めが果てしなく続くのだ。果たして広瀬八段も、▲7三角成と切り込んだ。
以下、広瀬八段に分かりやすい指し手が続き、広瀬八段の快勝となった。
そして私は、自分の将棋を思い出していた。
2020年9月13日、わらび将棋教室で植山悦行七段に教えていただいた。下手との駒落ちを指したがらない植山七段と、畏れ多くも平手である。急戦矢倉になり、私が▲3四歩と取り込んだ局面(第1図)。

ここから△4五銀▲同銀△7七桂打(第2図)とされ、下手陣は崩壊した。以下、7七の地点で総交換になり、△5五角の両取りを受け投了した。

先に駒損をし、桂で決め手にする構想は両局ともよく似ている。
指導対局がどのくらい実になっているか分からないが、何かの拍子に内容を思い出す。ということは、やはり少しは実になっているのだろう。
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