「2023年度上半期・私が勝手に選ぶ、驚愕の一手」を発表する。
今回は、6月20日に指された、第71期王座戦挑戦者決定トーナメント2回戦・藤井聡太竜王・名人VS村田顕弘六段との一戦である(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)。
藤井竜王・名人はこの月の1日に、渡辺明名人から名人位を奪取。羽生善治九段に次ぐ2人目の七冠王になり、八冠ロードに邁進中であった。
村田六段は棋士人生で特筆すべき活躍はなかったが(失礼)、本棋戦は一次予選、二次予選合わせて6連勝。挑戦者決定トーナメントでは1回戦で木村一基九段に勝ち、晴れて藤井竜王・名人との対戦になった。
先番を引いた村田六段は「村田システム」を採用し、見事な指し回しを見せる。じりじりと差を拡げ、専門的には「勝勢」まで行った。
しかし藤井竜王・名人も巧妙に粘り、村田六段を楽にさせない。
第1図は△7七歩の王手に▲6九玉と引いた局面。ここで後手玉には▲4二銀以下の詰めろが掛かっており、控室では△6一玉や△7二香が検討されていた。
しかし藤井竜王・名人の指し手は△6四銀!(第2図)AIの予想にない手を指した。これが驚愕の一手だった。
通常、終盤でAIの予想にない手を指せば疑問手が相場で、さらに相手側が良くなる。しかし、思考の外にある手を指されたら、混乱するパターンもある。△6四銀は上部への脱出を見つつ先手玉へのプレッシャーを掛けた手で、1分将棋の村田六段の思考が狂った。
第2図で村田六段は▲6八銀と上がったが、悪手。以下、△6四の銀が先手玉の寄せに大活躍し、藤井竜王・名人の大逆転勝ちとなったのだった。
勝った藤井竜王・名人は、夢の八冠ロードの驀進を継続し、また負けた村田六段も大いに株を上げ、2月に上梓した「村田システム」(マイナビ)は、売り上げが大きく伸びたという。負けた村田六段には何の慰めにもならないだろうが、その戦法は全国区になったのである。
今回は、6月20日に指された、第71期王座戦挑戦者決定トーナメント2回戦・藤井聡太竜王・名人VS村田顕弘六段との一戦である(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)。
藤井竜王・名人はこの月の1日に、渡辺明名人から名人位を奪取。羽生善治九段に次ぐ2人目の七冠王になり、八冠ロードに邁進中であった。
村田六段は棋士人生で特筆すべき活躍はなかったが(失礼)、本棋戦は一次予選、二次予選合わせて6連勝。挑戦者決定トーナメントでは1回戦で木村一基九段に勝ち、晴れて藤井竜王・名人との対戦になった。
先番を引いた村田六段は「村田システム」を採用し、見事な指し回しを見せる。じりじりと差を拡げ、専門的には「勝勢」まで行った。
しかし藤井竜王・名人も巧妙に粘り、村田六段を楽にさせない。
第1図は△7七歩の王手に▲6九玉と引いた局面。ここで後手玉には▲4二銀以下の詰めろが掛かっており、控室では△6一玉や△7二香が検討されていた。
しかし藤井竜王・名人の指し手は△6四銀!(第2図)AIの予想にない手を指した。これが驚愕の一手だった。
通常、終盤でAIの予想にない手を指せば疑問手が相場で、さらに相手側が良くなる。しかし、思考の外にある手を指されたら、混乱するパターンもある。△6四銀は上部への脱出を見つつ先手玉へのプレッシャーを掛けた手で、1分将棋の村田六段の思考が狂った。
第2図で村田六段は▲6八銀と上がったが、悪手。以下、△6四の銀が先手玉の寄せに大活躍し、藤井竜王・名人の大逆転勝ちとなったのだった。
勝った藤井竜王・名人は、夢の八冠ロードの驀進を継続し、また負けた村田六段も大いに株を上げ、2月に上梓した「村田システム」(マイナビ)は、売り上げが大きく伸びたという。負けた村田六段には何の慰めにもならないだろうが、その戦法は全国区になったのである。