(25日のつづき)
会場の5階に戻ると、各選手はいい将棋を指していた。将棋ペンクラブ、けっこうやるじゃないか。
藤原父は圧倒的な優勢である。飛金と飛の取り合いのチャンスがあったが、半ば遊んでいる飛車との交換はイヤだと、自重した。これがどう出るか。
木村晋介会長は妙齢の女性との対戦。振り飛車で互角以上の戦いをしているが、勝負事はゲタを履くまで分からない。
元アマ竜王の金子タカシ氏が観戦に来た。
「金子さんも将棋ペンクラブの会員なんだから、ここで指してくれればいいのになあ」
と私。すると相手の方が、「それは有料でしょ」と言った。
なるほど金子氏ほどの全国区になると、暗黙の括りがあってもしょうがない。しかし今回は金子氏の力を借りずともよいようだ。
14時14分、阿部氏勝ち。
15分、ベルク氏勝ち。
木村会長は、ちょっと局面が怪しくなってきた。
17分、藤原息子勝ち。
19分、アントン氏、勝ち。よっしゃ、これでチームの勝ちが確定した。
木村会長は盛り返し、第1図の局面を迎えていた。
私にはここでの最善手が分からなかったが、木村会長は▲4二金(第2図)。なるほどこの迫り方があったか!
実戦は以下△6九成桂▲3二金△同銀▲3一角△2三玉▲2二金△1三玉▲3二金まで、26分、木村会長の勝ちとなった。
広尾しょうぎ教室Aの選手は妙齢の女性だったが、惜しかった。第2図では△同金と取り、▲3一角△1二玉▲4二角成に△4九成桂(参考図)が先手玉への詰めろ。
だがそこで▲3三馬が詰ろ逃れの詰めろで、やはり先手が勝ちに見える。……あぁ私としたことが、木村会長より相手の女性を応援してしまった。
感想戦には金子氏が加わり、豪華版になった。
藤原父はふるえが極み、29分、大逆転負けを喫した。これが将棋の恐さである。
そして残るひとり、Akuさんも大健闘したが、武運つたなく敗れた。
ここでほかのチームの成績を確認しに行くと、上位の3勝チームがすべて勝ったとのことだった。我がチームは個人の勝ち星が少ない。これは昇級も絶望的になったか。
休憩中、大野八一雄七段が来てくれた。かなり久しぶりで、1年半はお会いしていない。
その間私は禿げ上がり見る影もないが、大野七段はそれには触れず、宮嶋健太四段の昇段パーティーのイベントなどを教えてくれた。
私が出席するかどうかは微妙である。ヒトの幸せを祝ってもしょうがない。
さて最終日は3回戦なので、次が今年度の最終戦である。出場選手はいろいろ考えた末、大将を藤原息子君にやってもらうことにした。副将が私。私は強い人と当たって負けるのがイヤなのである。以下、アントン、山野、阿部、山本、木村会長の各氏。指したそうだったベルク氏には申し訳ないが、今回は抜け番である。
対戦相手は、青い騎士団。奇数先手になったので、相手は昨年、山本氏と指したことがあるようだ。そして大将も務めたことがあるという。私が敵の大将格を外したつもりが、結局当たってしまったわけだ。
初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲9六歩△9四歩▲7七角△8四歩▲6八飛△6二銀▲4八玉△4四歩(第1図)
奇数先手なので、私が後手になった。5手目▲7七角に面食らったが、ここで平凡に指すと、相手の狙いにハマる。私は1回戦と同様、△4四歩と謝った。
第1図以下の指し手(ここから手順前後の可能性かなり高し)。▲3八玉△4二玉▲2八玉△3二玉▲1六歩△1四歩▲3八銀△5二金右▲7八銀△5四歩▲6六歩△4二銀▲6七銀△5三銀右▲8八飛△4三銀(第2図)
先手氏の手つきはキビキビしていて、指し手も早い。なんだかもう、勢いだけで負けそうだ。
しかし第1図で先手氏がちょっと手を止め、▲3八玉。以下、ふつうの駒組になった。善悪はともかく、先手の狙いを回避できたので、まずまずだと思った。
第2図以下の指し手。▲6八角△6四銀▲7七桂△7四歩▲6五歩△5三銀▲4六歩△6四歩▲同歩△同銀▲6五歩△5三銀▲5八金左(第3図)
▲6八角に私は△6四銀と出たが、角道が止まっているので、疑問だった。先手氏に▲6五歩と反発され、△5三銀と引くようではおかしい。
私は△6四歩から1歩を入手したが、この筋の歩を切るのは不安なところもある。
第3図以下の指し手。△2四歩▲5六歩△2三玉▲8六歩△3二銀▲8五歩△同歩▲同飛△8四歩▲8七飛△3一角▲5七角△4三金▲8四飛△同飛▲同角(第4図)
私は指す手に窮し、左美濃にトランスフォームした。しかし明らかな方針変更で、作戦負けだ。
▲8五同飛のブッツケに、飛車交換はスキのない先手がよい。よって私は△8四歩と謝ったが、またポイントを取られた。
しかもそこで△3一角が、形勢悪化の上塗り。▲5七角と、今度は8四での飛車交換を見られ、今度は受からない。ついに飛車交換を実現され、決定的に後手が悪くなった。
(つづく)
会場の5階に戻ると、各選手はいい将棋を指していた。将棋ペンクラブ、けっこうやるじゃないか。
藤原父は圧倒的な優勢である。飛金と飛の取り合いのチャンスがあったが、半ば遊んでいる飛車との交換はイヤだと、自重した。これがどう出るか。
木村晋介会長は妙齢の女性との対戦。振り飛車で互角以上の戦いをしているが、勝負事はゲタを履くまで分からない。
元アマ竜王の金子タカシ氏が観戦に来た。
「金子さんも将棋ペンクラブの会員なんだから、ここで指してくれればいいのになあ」
と私。すると相手の方が、「それは有料でしょ」と言った。
なるほど金子氏ほどの全国区になると、暗黙の括りがあってもしょうがない。しかし今回は金子氏の力を借りずともよいようだ。
14時14分、阿部氏勝ち。
15分、ベルク氏勝ち。
木村会長は、ちょっと局面が怪しくなってきた。
17分、藤原息子勝ち。
19分、アントン氏、勝ち。よっしゃ、これでチームの勝ちが確定した。
木村会長は盛り返し、第1図の局面を迎えていた。
私にはここでの最善手が分からなかったが、木村会長は▲4二金(第2図)。なるほどこの迫り方があったか!
実戦は以下△6九成桂▲3二金△同銀▲3一角△2三玉▲2二金△1三玉▲3二金まで、26分、木村会長の勝ちとなった。
広尾しょうぎ教室Aの選手は妙齢の女性だったが、惜しかった。第2図では△同金と取り、▲3一角△1二玉▲4二角成に△4九成桂(参考図)が先手玉への詰めろ。
だがそこで▲3三馬が詰ろ逃れの詰めろで、やはり先手が勝ちに見える。……あぁ私としたことが、木村会長より相手の女性を応援してしまった。
感想戦には金子氏が加わり、豪華版になった。
藤原父はふるえが極み、29分、大逆転負けを喫した。これが将棋の恐さである。
そして残るひとり、Akuさんも大健闘したが、武運つたなく敗れた。
ここでほかのチームの成績を確認しに行くと、上位の3勝チームがすべて勝ったとのことだった。我がチームは個人の勝ち星が少ない。これは昇級も絶望的になったか。
休憩中、大野八一雄七段が来てくれた。かなり久しぶりで、1年半はお会いしていない。
その間私は禿げ上がり見る影もないが、大野七段はそれには触れず、宮嶋健太四段の昇段パーティーのイベントなどを教えてくれた。
私が出席するかどうかは微妙である。ヒトの幸せを祝ってもしょうがない。
さて最終日は3回戦なので、次が今年度の最終戦である。出場選手はいろいろ考えた末、大将を藤原息子君にやってもらうことにした。副将が私。私は強い人と当たって負けるのがイヤなのである。以下、アントン、山野、阿部、山本、木村会長の各氏。指したそうだったベルク氏には申し訳ないが、今回は抜け番である。
対戦相手は、青い騎士団。奇数先手になったので、相手は昨年、山本氏と指したことがあるようだ。そして大将も務めたことがあるという。私が敵の大将格を外したつもりが、結局当たってしまったわけだ。
初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲9六歩△9四歩▲7七角△8四歩▲6八飛△6二銀▲4八玉△4四歩(第1図)
奇数先手なので、私が後手になった。5手目▲7七角に面食らったが、ここで平凡に指すと、相手の狙いにハマる。私は1回戦と同様、△4四歩と謝った。
第1図以下の指し手(ここから手順前後の可能性かなり高し)。▲3八玉△4二玉▲2八玉△3二玉▲1六歩△1四歩▲3八銀△5二金右▲7八銀△5四歩▲6六歩△4二銀▲6七銀△5三銀右▲8八飛△4三銀(第2図)
先手氏の手つきはキビキビしていて、指し手も早い。なんだかもう、勢いだけで負けそうだ。
しかし第1図で先手氏がちょっと手を止め、▲3八玉。以下、ふつうの駒組になった。善悪はともかく、先手の狙いを回避できたので、まずまずだと思った。
第2図以下の指し手。▲6八角△6四銀▲7七桂△7四歩▲6五歩△5三銀▲4六歩△6四歩▲同歩△同銀▲6五歩△5三銀▲5八金左(第3図)
▲6八角に私は△6四銀と出たが、角道が止まっているので、疑問だった。先手氏に▲6五歩と反発され、△5三銀と引くようではおかしい。
私は△6四歩から1歩を入手したが、この筋の歩を切るのは不安なところもある。
第3図以下の指し手。△2四歩▲5六歩△2三玉▲8六歩△3二銀▲8五歩△同歩▲同飛△8四歩▲8七飛△3一角▲5七角△4三金▲8四飛△同飛▲同角(第4図)
私は指す手に窮し、左美濃にトランスフォームした。しかし明らかな方針変更で、作戦負けだ。
▲8五同飛のブッツケに、飛車交換はスキのない先手がよい。よって私は△8四歩と謝ったが、またポイントを取られた。
しかもそこで△3一角が、形勢悪化の上塗り。▲5七角と、今度は8四での飛車交換を見られ、今度は受からない。ついに飛車交換を実現され、決定的に後手が悪くなった。
(つづく)