一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第36期竜王戦第3局(後編)

2023-10-27 10:37:36 | 男性棋戦
藤井聡太竜王の封じ手は、5筋の歩を突きだす手だった。これは私のブログだから見苦しい言い訳を書いてしまうが、最初に封じ手の局面を見て、負担になっている角を捌きつつ反撃を見る、5筋を突き出す手だと思った。
ところが読売オンラインの棋士方は、この手以外を指摘する。私は読売オンラインの封じ手予想クイズに応募するので、間違えることはできない。それで、一見妙手そうな森内俊之九段の予想手に乗ったのである。
ところが間違えた。藤井竜王の直筆色紙が飛んで行った。やはり予想手は、正解しても間違えても、自力で考えた手を通したほうが、のちの後悔がない。これはどのシチュエーションにおいても、同様である。
さて本譜に戻り、伊藤匠七段はこの歩を飛車で取った。あら不思議、この2手だけで、2筋の脅威が緩和された。まさに攻めるは守るなり、である。
さらに藤井竜王は飛車をぶつける。2日目の藤井竜王はずいぶん積極的だ。
伊藤七段は飛車を躱したが、藤井竜王は次、銀をぶつけた。そして飛車を転回し、成りこむ。飛車交換なしで、8二の飛車が敵陣に侵入する。その鮮やかな構想に、私はただただ感心するのみである。
むろんこの間、伊藤七段も強烈に攻め、藤井陣も相当あぶなくなった。私が後手をもったらすぐに潰されている。
ところが藤井竜王の守りがギリギリに成立していて、その見切りにも感心させられた。
伊藤七段は藤井玉を受けなしにするが、これを「形作り」という。残り時間も逆転し、伊藤七段は1分。対して藤井竜王は、まだ時間を残している。なんだか、デジャヴを見るようである。
そして藤井竜王は詰ましに行った。矢倉に収まっている玉を詰ますのだから信じられないが、これもいつもの展開である。そしてその詰手順の変化には、△7四桂があった。これは、その位置に歩がないから生じるものだ。
結局、96手まで、藤井竜王の勝ちとなった。本局も藤井竜王会心の勝利で、勝局集が編まれたら載るだろう。
いっぽうの伊藤七段は、もうどうしようもない。伊藤七段だって、ランキング戦から12連勝(!)して七番勝負に臨んでいるのだ。それが藤井竜王の前では3連敗である。心が折れそうではないか。
伊藤七段はシリーズ開幕前、師匠の宮田利男八段の故郷・秋田県で開催される第6局までは行きたい、と語った。しかし現状では、相当厳しくなった。
第4局は11月10日・11日、晩秋の小樽である。
コメント (4)
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