7月23日のLPSA金曜サロン、2部は中倉宏美女流二段の担当だった。
この前の週の7月17日、中倉女流二段はマイナビ女子オープンの一斉予選対局で、大庭美樹女流初段との苦しい将棋を逆転勝ちし、うれしい本戦出場を決めた。
マイナビの本戦入りは2勝でよく、ほかの女流棋戦に比べればラクに見える。しかしタイトルホルダーや女流名人位戦A級の実力者も横一線でスタートするため、予選を抜けるのはたいへんなのである。それは勝者と敗者を見れば明らかだ。予選を抜けた女流棋士は、一仕事終えた、という感じで実に晴れ晴れとした笑顔を見せる。対して敗者は、私の一生は終わった…という感じで、憔悴しきっている。
今回中倉女流二段は(大庭女流初段も)、チャレンジカップ・敗者復活枠からの勝ち抜き組だった。ここまで都合7局指したわけで、本戦入りの喜びもひとしおだったと思われる。
7月23日も金曜サロン会員から祝福を受け、とてもいい顔だった。やはり(女流)棋士は勝たねばならぬのである。
指導対局開始。中倉女流二段の三間飛車に、私は例によって☗5五歩~☗4五歩と急戦で挑む。この形はふたりで何局も指しており、指定局面みたいなものだ。ただし本局は中倉女流二段の☖9四歩にお付き合いをせず、一手早く攻めた。
ここ、☗9六歩と突くかどうかは微妙で、受けると将来☖3九角~☖8四角成となったときに、☖7四馬~☖9五歩の端攻めが嫌味なのだ。ただし上手も☖6四歩を省略できたので、☖6四角が狙いとして残った。また桂香を持つと☖8四香~☖9五桂があり、たちまち下手玉は息苦しくなる。
本譜は☖6四銀~☖5二飛と転戦され、下手☗9六歩の省略、上手☖6四歩の省略の損得勘定は、上手に分があったようだ。
これならやはり、☗9六歩と受けるべきだったか。「端歩は心の余裕」と言ったのは心の男性師匠・真部一男九段だったか、それとも島朗九段だったか。
ところでこの日の中倉女流二段の服装は、名称は分からぬが、クリーム色を基調にした、すずしげなものだった。肩から下がシースルーになっており、妙になまめかしかったのを覚えている。「和風セクシー」という感じか。
ここで中盤の一局面を記す。

☖4八馬に☗3五の銀を☗4六銀と引いたところ。ここで☖4五桂跳ねが妙手だった。☗4五同桂は☖2六馬。☗同銀直は☖3七馬。☗6六金は☖3七桂成。☗4七金がいちばん頑張れるが、読みに入っていなかった。
本譜は☗4五同銀右と取ったが、続く☖5六歩が痛打。☗3六に銀がいないので、☗4七金が利かない。
私は泣く泣く☗6六金と出たが、☖5七歩成☗同歩☖6六銀☗同角に☖5八歩(第2図)と垂らされ、この歩が☗6八の金と交換になっては形勢が傾いた。

以下は中倉女流二段が強引に攻める展開となり、私の反撃手にまたもや切り返しの妙桂を打たれ、ここで私は戦意を喪失した。
ところがいま冷静に棋譜を見ると、この「妙桂」は存外大したことがなく、数手後の☖5八銀(詰めろ)に☗7八銀と辛抱しておけば、むしろ私に利のある戦いだった。
本譜は私が受けを諦めて中倉玉を詰ましにいったが、1枚足らず負けた。「対局中の諦め」が敗因だったが、相手を諦めさせるのも勝負のうちである。
さて中倉女流二段は今月28日に、LPSA芝浦サロンで、石橋幸緒女流四段とマイナビ女子オープンの本戦を戦う。将棋通に訊けば、9割以上が石橋女流四段の勝ちと予想するだろう。しかし中倉女流二段も、苦闘のすえ勝ち取った本戦の切符である。ここで簡単に敗退するわけにはいかない。
両者とも、当日は持てる力を振り絞って、精一杯戦ってもらいたい。
この前の週の7月17日、中倉女流二段はマイナビ女子オープンの一斉予選対局で、大庭美樹女流初段との苦しい将棋を逆転勝ちし、うれしい本戦出場を決めた。
マイナビの本戦入りは2勝でよく、ほかの女流棋戦に比べればラクに見える。しかしタイトルホルダーや女流名人位戦A級の実力者も横一線でスタートするため、予選を抜けるのはたいへんなのである。それは勝者と敗者を見れば明らかだ。予選を抜けた女流棋士は、一仕事終えた、という感じで実に晴れ晴れとした笑顔を見せる。対して敗者は、私の一生は終わった…という感じで、憔悴しきっている。
今回中倉女流二段は(大庭女流初段も)、チャレンジカップ・敗者復活枠からの勝ち抜き組だった。ここまで都合7局指したわけで、本戦入りの喜びもひとしおだったと思われる。
7月23日も金曜サロン会員から祝福を受け、とてもいい顔だった。やはり(女流)棋士は勝たねばならぬのである。
指導対局開始。中倉女流二段の三間飛車に、私は例によって☗5五歩~☗4五歩と急戦で挑む。この形はふたりで何局も指しており、指定局面みたいなものだ。ただし本局は中倉女流二段の☖9四歩にお付き合いをせず、一手早く攻めた。
ここ、☗9六歩と突くかどうかは微妙で、受けると将来☖3九角~☖8四角成となったときに、☖7四馬~☖9五歩の端攻めが嫌味なのだ。ただし上手も☖6四歩を省略できたので、☖6四角が狙いとして残った。また桂香を持つと☖8四香~☖9五桂があり、たちまち下手玉は息苦しくなる。
本譜は☖6四銀~☖5二飛と転戦され、下手☗9六歩の省略、上手☖6四歩の省略の損得勘定は、上手に分があったようだ。
これならやはり、☗9六歩と受けるべきだったか。「端歩は心の余裕」と言ったのは心の男性師匠・真部一男九段だったか、それとも島朗九段だったか。
ところでこの日の中倉女流二段の服装は、名称は分からぬが、クリーム色を基調にした、すずしげなものだった。肩から下がシースルーになっており、妙になまめかしかったのを覚えている。「和風セクシー」という感じか。
ここで中盤の一局面を記す。

☖4八馬に☗3五の銀を☗4六銀と引いたところ。ここで☖4五桂跳ねが妙手だった。☗4五同桂は☖2六馬。☗同銀直は☖3七馬。☗6六金は☖3七桂成。☗4七金がいちばん頑張れるが、読みに入っていなかった。
本譜は☗4五同銀右と取ったが、続く☖5六歩が痛打。☗3六に銀がいないので、☗4七金が利かない。
私は泣く泣く☗6六金と出たが、☖5七歩成☗同歩☖6六銀☗同角に☖5八歩(第2図)と垂らされ、この歩が☗6八の金と交換になっては形勢が傾いた。

以下は中倉女流二段が強引に攻める展開となり、私の反撃手にまたもや切り返しの妙桂を打たれ、ここで私は戦意を喪失した。
ところがいま冷静に棋譜を見ると、この「妙桂」は存外大したことがなく、数手後の☖5八銀(詰めろ)に☗7八銀と辛抱しておけば、むしろ私に利のある戦いだった。
本譜は私が受けを諦めて中倉玉を詰ましにいったが、1枚足らず負けた。「対局中の諦め」が敗因だったが、相手を諦めさせるのも勝負のうちである。
さて中倉女流二段は今月28日に、LPSA芝浦サロンで、石橋幸緒女流四段とマイナビ女子オープンの本戦を戦う。将棋通に訊けば、9割以上が石橋女流四段の勝ちと予想するだろう。しかし中倉女流二段も、苦闘のすえ勝ち取った本戦の切符である。ここで簡単に敗退するわけにはいかない。
両者とも、当日は持てる力を振り絞って、精一杯戦ってもらいたい。