一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

大山の名局・1

2013-07-26 00:41:59 | 名局
日付変わってきょう7月26日は、十五世名人・大山康晴氏の命日である。
大山十五世名人が亡くなったのは1992年。そのころ私は、新卒で入った会社でリストラに遭い、休職中だった。家で悶々としていてもしょうがないので、7月下旬から北海道を旅行し、当日は旭川にいた。訃報は家にかけた電話で、オヤジから聞いた。
しばし雑談したあと、「あと、大山が死んだ…」と、オヤジが力なく言ったとき、やっぱり…と思った。
その1か月ほど前、棋聖戦30年の記念式典があり、永世棋聖の大山十五世名人も出席した。それを「週刊将棋」で見ると、写真の大山十五世名人はゲッソリ痩せており、これはただ事ではないと思った。
果たして7月上旬、新聞に「大山十五世名人、2か月休場」のニュースが載り、大山先生大丈夫か、と心配していた矢先の訃報なのだった。
そんなわけできょうは、私が勝手に選ぶ、大山十五世名人の名局を発表したい。
1局目のきょうは、1982年7月23日に行われた、米長邦雄棋王との一戦である。いまから31年も前だが、ちっとも古さを感じさせない。とりあえず、並べていただこう。

1982年7月23日 於:東京「将棋会館」
第21期十段戦・挑戦者決定リーグ
▲棋王 米長邦雄
△王将 大山康晴

▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲6八玉△4二飛▲7八玉△6二玉▲5八金右△7二銀▲5六歩△7一玉▲6八銀△5二金▲3六歩△8二玉▲5七銀左△4三銀
▲2五歩△3三角▲4六歩△5四銀▲5五歩△6五銀▲3五歩△同歩▲3八飛△4三金▲3五飛△3四歩▲3六飛△5四歩▲同歩△5二飛▲3五歩△同歩▲同飛△5四銀
▲3四歩△5一角▲5五歩△6五銀▲4五歩△3三歩▲同歩成△同桂▲3七桂△5六歩▲4六銀△3四歩▲3六飛△4五歩▲同桂△4四金▲5四歩△4五金▲同銀△同桂
▲1一角成△5七歩成▲5三香(第1図)

△5八と▲同金△5七歩▲5九金△1二飛(第2図)

▲5一香成△1一飛▲6一成香△同飛▲5五金(第3図)

△6六桂▲同歩△7六銀▲7九桂(第4図)

△7七香▲同桂△8九角▲同玉△7七銀成▲7八金△8八銀(投了図)
まで、84手で大山王将の勝ち。


大山の四間飛車に、米長は▲5七銀左の急戦策を採った。中盤、ふたりの対局らしく、押したり引いたりの駆け引きが続く。
米長は香を取り、それを▲5三香(第1図)と打つ。5二飛、5一角の田楽刺しだ。アマチュア同士の対戦ならこれで勝負あり、というところ。しかし大山は平然と△1二飛!(第2図) 何と▲1一馬に当て、取れ!と言ったのだ。当時大山は59歳。還暦間近の棋士の指し手とは思えぬ若々しさではないか。
△1二飛を▲同馬なら、△3三角とノゾいて後手がおもしろい。先手は▲5三香がスカタンで、これは指せない手である。馬筋を逸らして手を稼ぐ手は、いまでこそ常識になっているかもしれないが、当時は斬新だった。
米長は仕方なく▲5一香成だが、△1一飛~△6一飛と、後手の駒が綺麗に捌けた。
米長は▲5五金(第3図)と、目障りな△6五銀を除去しにかかる。しかしこの後11手で投了に追い込まれるとは、さすがの米長も思っていなかったのではなかろうか。
大山の持ち駒は角、金、銀、桂、香と一式ある。ここから大山の華麗な寄せが始まる。まずは△6六桂の犠打。やむない▲同歩に、体をかわすように△7六銀と摺り込む。米長は▲7九桂(第4図)と6筋を受けるが、今度は△7七香があった。
▲同桂に△8九角が、「玉は下段に落とせ」を地でいく好手。▲同玉△7七銀成で一遍に寄り形だ。▲7八金に△8八銀(投了図)で、米長の投了となった。
以下は▲8八同金△7六桂で必至である。
なおこの将棋は読売新聞に観戦記が載り、観戦記者は陣太鼓氏だった。
米長永世棋聖は、1985年前後に「NHK将棋講座」で1年間、自戦記のコーナーを持っていた。その何回目かに、本局も登場した。自戦記なら勝局を載せそうなものだし、敗局、しかも大山十五世名人の快勝局を採用することには相当な抵抗があったはずだが、それを踏まえても、本局は載せる価値あり、と見たのだろう。
自戦記には、▲5七銀左としながら▲4六歩とした組み合わせが悪かったかも、と書いてあったが、ここは後手の指し方を褒めるべきだろう。
最後は、「日陰の米長にされた一局」と結ばれていた。
さすがの米長永世棋聖もシャッポを脱いだのである。私はいままで何局の将棋を見てきたか分からぬが、中盤の豪快な飛車の動き、終盤の華麗な寄せと、こんなに一局の将棋に感嘆したことはなかった。
谷川浩司九段、羽生善治三冠が59歳になったとき、果たして本局の大山十五世名人のような将棋が指せるだろうか。そう思うと、やはり大山十五世名人は強い、と唸らざるを得ないのである。
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女流王座戦・本戦1回戦の8局を振り返る

2013-07-25 00:12:40 | 女流棋戦
第3期女流王座戦は、本戦トーナメント2回戦が進行中である。
きょうは、本戦1回戦の8局を簡単に振り返ってみよう。

▲島井咲緒里女流二段VS△里見香奈女流四冠○
大豪里見女流四冠に、島井女流二段がどこまで健闘するか、が見どころだった。
中盤までは島井女流二段が辛抱強く戦い、互角に渡り合ったと思う。しかし、そこまで。77手目、角を抜かれるのを承知で桂を取らざるを得ないようでは、勝負あった。

▲本田小百合女流三段○VS△伊奈川愛菓女流1級
角換わり相腰掛け銀。本田女流三段が作戦勝ちからジリジリリードを拡げる。伊奈川女流1級(12日に女流初段に昇段)は後退を繰り返し、私だったら投了してもおかしくない。しかし95手目、本田女流三段が、▲4二とと捨てた手が軽率だった。以下も微妙に緩手を連発し、形勢は逆転していると思う。
結果は本田女流三段が勝ったが、終盤がこんなにフラフラでは、連続挑戦など夢のまた夢だ。

▲中村真梨花女流二段VS△鈴木環那女流二段○
実力伯仲のふたりだけに、いい勝負が期待されたが、意外にも一方的になった。
41手目中村女流二段は▲7九金だが、これが本手とは思えない。もしこう指さざるを得ないならば、それまでの将棋の造りが悪かったということだ。29手目▲7五歩がどうだったのだろう。
46手目△6六歩が好手で、先手シビレている。
94手目△3九銀に▲1七玉だが、△1五香と王手で飛車を取られて、それまで。これがシャクに障るから、▲1七玉では投了したいところだが、女流棋士はとことんまで指すのである。
中村女流二段はけっこう指し手が荒い。いまのままではタイトル戦登場は無理である。

▲山口恵梨子女流初段VS△上田初美女流三段○
実力者の上田女流三段に山口女流初段がどこまで食い下がるか、という本局。中盤の入口で、山口女流初段に▲5五歩と仕掛ける手があったのだが、それを見送り、上田女流三段の制勝となった。
今年の山口女流初段は「自重」をテーマにしているらしいが、山口女流初段の本質は「ちょっと無理気味のエリコ攻め」にある。「自重」は自分の個性を殺しているにすぎず、そこを山口女流初段は勘違いしている。
山口女流初段、これからはバリバリ攻めてもらいたい。

▲千葉涼子女流四段VS△中井広恵女流六段○
元奨励会員・ご主人が棋士という実力者同士の一戦。期待にたがわず、コクのある戦いとなった。
結果は中井女流六段が見事な寄せを見せ、快勝。中井女流六段は将棋が若い。

▲石本さくらアマVS△伊藤沙恵奨励会1級○
関西研修会C2所属の石本アマは、甲斐智美女流王位を破り、台風の目となっている。しかし本局は現役奨励会1級が相手で、さすがに壁は厚いと思われた。
しかし対局が始まってみると、石本アマは辛抱強く戦う。角損の攻めは迫力があり、これで先手が悪くないのには驚いた。最後は石本アマに勝ちもあったが、秒読みに追われて正着を逃し、無念の逆転負け。負けはしたが、女流棋士になるのも時間の問題だろう。

▲清水市代女流六段VS△渡辺弥生女流1級○
タイトル獲得43期の大豪に、中堅女流棋士が挑むという構図。戦前は清水女流六段の貫禄勝ちとフンでいたが、渡辺女流1級がよく指す。中盤、△6二金上~△7一玉のときは何をやってるのかと思ったが、それも立派な作戦だったようだ。
清水女流六段は83手目▲9三銀!! 良くも悪くも清水女流六段らしい一手だ。しかし何だ、こんな手でよくタイトルを43期も獲れたものだと思う。
本局は渡辺女流1級の会心譜。女流初段はもうすぐだ。

▲真田彩子女流二段○VS△中倉宏美女流二段
本局は、最近好調の宏美女流二段の指し回しに期待した。しかし46手目の△4二歩はどうだったか。ふつうに△4四同馬と取って、何が悪かったのだろう。▲4五金に△5二銀と一枚入れるようでは、宏美女流二段変調である。以下宏美女流二段もがんばったが、形勢を覆すことはできなかった。
△4二歩は悪手ではないのかもしれないが、こんな覇気のない手を指しているようではダメである。次は元気のある手を指してもらいたい。
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第25回将棋ペンクラブ大賞、決まる

2013-07-24 00:13:14 | 将棋ペンクラブ
このたび、第25回将棋ペンクラブ大賞が発表された。
その前に、最終選考に残った作品を記す。

【観戦記部門】
池田将之 第26期竜王戦1組1回戦 ▲橋本崇載八段VS△阿部隆八段
上地隆蔵 第60期王座戦本戦1回戦 ▲木村一基八段VS△丸山忠久九段
後藤元気 第37期棋王戦五番勝負第1局 ▲郷田真隆九段VS△久保利明棋王
勝又清和 第83期棋聖戦五番勝負第3局 ▲羽生善治棋聖VS△中村太地六段
田中幸道 第84期棋聖戦1次予選 ▲斎藤慎太郎四段VS△小林健二九段
佐藤天彦 第62回NHK杯将棋トーナメント2回戦 ▲佐藤天彦七段VS△佐藤康光王将
湯川恵子 第39期女流名人位戦五番勝負第2局 ▲上田初美女王VS△里見香奈女流名人 

【文芸部門】
後藤元気「将棋棋士の名言100」(出版芸術社)
島朗「島研ノート 心の鍛え方」(講談社)
曽我部敦史「蛍駒」(「将棋ペンクラブ」会報59号)

【技術部門】
菅井竜也「菅井ノート 後手編」(マイナビ)
上野裕和「将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編」(マイナビ)
永瀬拓矢「永瀬流 負けない将棋」(マイナビ)
阿部健治郎「四間飛車激減の理由」(マイナビ)

では、大賞を記す。

【観戦記部門】
大賞:
勝又清和 第83期棋聖戦五番勝負第3局 ▲羽生善治棋聖VS△中村太地六段
湯川恵子 第39期女流名人位戦五番勝負第2局 ▲上田初美女王VS△里見香奈女流名人

ダブル大賞は珍しい。たぶん初めてではないか。
勝又清和氏、湯川恵子さんとも観戦記の名手で、過去にも将棋ペンクラブ大賞観戦記部門で、優秀賞を受賞している。今回の大賞受賞は、ついに来たか、という感じである。
私は二次選考委員を務めたので、もちろん2本とも読んだ。どちらもケチをつけたところはあったが、それは「重箱の隅」である。もちろん読みごたえ十分で、大賞受賞にまったく異存はなかった。

【文芸部門】
大賞:
島朗「島研ノート 心の鍛え方」(講談社)
優秀賞:
後藤元気 「将棋棋士の名言100」(出版芸術社)

大賞は島朗氏だが、これは当然。最終選考会でも、満場一致ではなかったか。読者の皆様には、一読をお薦めする。
後藤元気氏の著作は、従来からある名言物ではなく、著者のオリジナルが多分に入っており、そこが評価されたのだと思う。

【技術部門】
大賞:
上野裕和「将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編」(マイナビ)
優秀賞:
阿部健治郎「四間飛車激減の理由」(マイナビ)

上野裕和氏「将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編」は、発売当初から評判がよかった。編集がひじょうに丁寧で、好感が持てた。昨年私が購入した、唯一の将棋単行本でもある。大賞受賞も納得である。
阿部健治郎氏の「四間飛車激減の理由」は未読だが、おもしろそうだ。機会があったら読んでみたい。

大賞贈呈式は9月20日(金)、東京・四ツ谷の「スクワール麹町」にて行われる。
参加費は男性8,000円、女性6,000円。
当日は私も出席しようと思っている。
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渡部愛女流3級は、モデルの本田翼に似ている

2013-07-23 00:36:54 | 似ている
きょう23日は、日レスインビテーションカップ・女流棋士トーナメントの1回戦が2局行われる。そのうちの一局は、鹿野圭生女流二段VS渡部愛女流3級である。
きのうも記したとおり、渡部女流3級は今月、日本将棋連盟の英断により、正式に女流棋士と認定された。本局はそれを受けてのデビュー戦である。渡部女流3級は、思う存分戦ってほしい。

その渡部女流3級は、モデル・女優の、本田翼(つばさ)に似ていると思う。
本田翼(本名・同じ)は、1992年6月27日、東京生まれの21歳。渡部女流3級より364日お姉さんである。
2006年にスカウトされ、ファッション雑誌の専属モデルとしてデビュー。2010年ごろからテレビの露出が多くなり、タレント業や女優業に活躍の場を拡げる。現在はフジテレビ系「ショムニ2013」に、円山詩織役で出演中である。
渡部女流3級と本田翼は、マユ毛が薄いところと、全体的な雰囲気が似ている。
もうそれだけで十分なのだが、「ショムニ2013」での本田翼の演技が一生懸命で、ここも何となく、渡部女流3級を彷彿とさせる。
もう少し詳しく書けば、このドラマでの本田翼の設定が「部署内いちばんの若手」「初々しさがある」「波乱万丈の人生?」で、ここに渡部女流3級を重ね合わせてしまうのだ。
渡部女流3級も本田翼も、まだまだ若い。これから無限の可能性がある。小さいことに拘らず、大きく羽ばたいてもらいたい。ことに渡部女流3級には、これからも応援させていただきます。
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7月12日のLPSA芝浦サロン・島井咲緒里女流二段のかわいらしさ

2013-07-22 00:14:49 | LPSA芝浦サロン
12日(金)は、田町にある「LPSA芝浦サロン」に行った。きょうの担当は、島井咲緒里女流二段。
午後3時半の回に予約を取ったので、その時間に入る。中では島井女流二段が指導対局を行っていた。手合い係は大庭美夏女流1級。先客にはR氏やTod氏がいた。きょうは夜にジョナ研があるので、彼らと駒込へ赴くことになろう。ただし私がサロンに来ることは彼らには言ってなかったから、彼らは意外そうな顔をしていた。
テーブルには6面が並べられていたので、瞬間最大6面指しがあったということだ。芝浦サロンはきょうも盛況である。
時間なので、席に着く。島井女流二段にお会いするのは、昨年10月に阿佐ヶ谷で行われた「勝負師の彼女じゃ…イヤですか?」以来だ。指導対局となると、おととし10月21日の芝浦サロン以来、1年9か月ぶりとなる。
「お久しぶりですね」
と島井女流二段。島井女流二段はおととしの7月に結婚した。それ以来彼女への興味はやや薄らいだが、相変わらずキュートで、やっぱり緊張してしまう。ノースリーブのブラウスから覗く腕が抜けるように白い。島井ちゃんは究極の色白なのだった。
「きょうは島井先生だから来ました」
「えぇ? でもいままで来てくれなかったじゃないですかァ」
「それは…島井先生が幸せそうだからさァ」
「……」
というバカ話をする。
さて島井女流二段とは「チョコレート勝負」を継続中である。芝浦サロンで最大12局を指し、島井女流二段が8勝すればチョコレートを進呈する。私は5勝すればそれを回避できるわけだが、私が勝っても島井女流二段からのご褒美はなし。島井女流二段はどちらに転んでも損はない、片懸賞だ。
私の先手で対局開始。▲7六歩△3四歩▲2六歩。ここで△4二飛なら▲6六歩を試してみるつもりだったが、△4四歩だったので、ふつうに駒組を進めた。島井女流二段は穴熊に組み、必勝態勢を取る。
私は急戦策を採ったが、この仕掛けが図に当たり、中盤では下手有利。もう勝った気分でいた。
R氏は対局が終わり、いまは女性と対局をしている。常連のYa氏も小さな女の子に将棋を教えている。Ya氏は教え上手だ。ちょっと来ない間にサロンでは女性客が増えたようだが、LPSAの地道な活動が花開きつつあり、よろこばしい。なおTod氏は、島井女流二段に飛車落ちで臨んでいた。
石橋幸緒女流四段が来て、ホワイトボードに何かを貼る。あとで分かったのだが、そこには渡部愛さんが日本将棋連盟からも女流3級として正式に認められた旨が書かれてあった。これで渡部女流3級は、ようやっと公式戦のスタートラインに立ったわけだ。渡部女流3級のこれからの活躍に期待したい。
中盤、私は着実に駒得を果たし、大優勢になった。私が逆の立場だったら、バカバカしくて投了しているかもしれないところだ。
しかし勝負事はゲタをはくまで分からない。私がひょいと飛車を浮いた手が温泉気分の悪手で、島井女流二段に得意のシマイ攻めで食いつかれ、一遍に勝負になってしまった。
ここで島井女流二段に精気が戻った。途中から2人入って、島井女流二段はあっちこっち回らねばならないはずだが、どうもこちらの将棋に集中してくれているようだ。ありがたいような、申し訳ないような気がする。
大盤には、真田彩子女流二段-中倉宏美女流二段戦(女流王座戦)が並べられている。これはリアルタイム。これに勝てば本戦ベスト8になり、来期の一次予選が免除される。
私たちはもちろん宏美女流二段を応援しているが、中盤でひるんだ手を指し、敗勢になっていた。しかし現在は宏美女流二段も踏ん張って、むずかしいところも出てきているらしい。
島井女流二段、△7六歩。指した直後に島井女流二段が後悔したが、私にはそれほど悪い手には見えなかった。ただその後は私が読み筋どおり指し、最後は島井穴熊玉を、長手数の即詰みに討ち取った。
投了する島井ちゃんがかわいらしい。私から見れば、優勢→不利→勝勢、という流れで、これ以上ない展開だったが、上手からすればおもしろくなかろう。感想戦は熱く行われた。
島井女流二段は感想戦好きである。私も緩めていただいたので、よろこんで付き合う。ケラケラ笑いながら。けっこう言いたいことを言った。
悔しさを隠しきれない島井女流二段、
「いや~、そうかー! あー、ちょっ…大沢さん、次も絶対、来てください!!」
と叫ぶ。天使の笑顔でそう請われては、次の回も行かなければなるまい。
真田-宏美戦は、真田女流二段が勝ったようだ。宏美女流二段、終わってみれば中盤から我慢続きで、ストレスの残る負けだったと思う。
宏美女流二段は今年度8勝を挙げ好調だが、2敗してみると、現在継続中の棋戦は倉敷藤花戦のみ。トーナメント戦の一発勝負は厳しい。
時刻は6時を過ぎた。せっかくサロンにお邪魔したのに1局だけとはアレだが、駒込も気になる。R氏の判断で、私たちは駒込に向かうことにした。
「あっ、待ってください」
と島井女流二段。受付に回り、「勝負師の彼女じゃ…イヤですか? Vol.2」のリーフレットをくれた。昨年10月に行われた企画の第2弾だ。表紙には島井女流二段、宏美女流二段、囲碁の万波奈穂二段、麻雀の涼崎いづみさんが映っている。昨年と同じメンバーだ。島井女流二段の写真映りがよく、アイドルのようである。
今回もお邪魔したいが、開催日が8月17日(土)だった。これはダメである。例年どおりなら、その日私は沖縄にいるからだ。私は恐縮しながら、サロンを出た。
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