一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

女流王座戦・本戦1回戦の8局を振り返る

2013-07-25 00:12:40 | 女流棋戦
第3期女流王座戦は、本戦トーナメント2回戦が進行中である。
きょうは、本戦1回戦の8局を簡単に振り返ってみよう。

▲島井咲緒里女流二段VS△里見香奈女流四冠○
大豪里見女流四冠に、島井女流二段がどこまで健闘するか、が見どころだった。
中盤までは島井女流二段が辛抱強く戦い、互角に渡り合ったと思う。しかし、そこまで。77手目、角を抜かれるのを承知で桂を取らざるを得ないようでは、勝負あった。

▲本田小百合女流三段○VS△伊奈川愛菓女流1級
角換わり相腰掛け銀。本田女流三段が作戦勝ちからジリジリリードを拡げる。伊奈川女流1級(12日に女流初段に昇段)は後退を繰り返し、私だったら投了してもおかしくない。しかし95手目、本田女流三段が、▲4二とと捨てた手が軽率だった。以下も微妙に緩手を連発し、形勢は逆転していると思う。
結果は本田女流三段が勝ったが、終盤がこんなにフラフラでは、連続挑戦など夢のまた夢だ。

▲中村真梨花女流二段VS△鈴木環那女流二段○
実力伯仲のふたりだけに、いい勝負が期待されたが、意外にも一方的になった。
41手目中村女流二段は▲7九金だが、これが本手とは思えない。もしこう指さざるを得ないならば、それまでの将棋の造りが悪かったということだ。29手目▲7五歩がどうだったのだろう。
46手目△6六歩が好手で、先手シビレている。
94手目△3九銀に▲1七玉だが、△1五香と王手で飛車を取られて、それまで。これがシャクに障るから、▲1七玉では投了したいところだが、女流棋士はとことんまで指すのである。
中村女流二段はけっこう指し手が荒い。いまのままではタイトル戦登場は無理である。

▲山口恵梨子女流初段VS△上田初美女流三段○
実力者の上田女流三段に山口女流初段がどこまで食い下がるか、という本局。中盤の入口で、山口女流初段に▲5五歩と仕掛ける手があったのだが、それを見送り、上田女流三段の制勝となった。
今年の山口女流初段は「自重」をテーマにしているらしいが、山口女流初段の本質は「ちょっと無理気味のエリコ攻め」にある。「自重」は自分の個性を殺しているにすぎず、そこを山口女流初段は勘違いしている。
山口女流初段、これからはバリバリ攻めてもらいたい。

▲千葉涼子女流四段VS△中井広恵女流六段○
元奨励会員・ご主人が棋士という実力者同士の一戦。期待にたがわず、コクのある戦いとなった。
結果は中井女流六段が見事な寄せを見せ、快勝。中井女流六段は将棋が若い。

▲石本さくらアマVS△伊藤沙恵奨励会1級○
関西研修会C2所属の石本アマは、甲斐智美女流王位を破り、台風の目となっている。しかし本局は現役奨励会1級が相手で、さすがに壁は厚いと思われた。
しかし対局が始まってみると、石本アマは辛抱強く戦う。角損の攻めは迫力があり、これで先手が悪くないのには驚いた。最後は石本アマに勝ちもあったが、秒読みに追われて正着を逃し、無念の逆転負け。負けはしたが、女流棋士になるのも時間の問題だろう。

▲清水市代女流六段VS△渡辺弥生女流1級○
タイトル獲得43期の大豪に、中堅女流棋士が挑むという構図。戦前は清水女流六段の貫禄勝ちとフンでいたが、渡辺女流1級がよく指す。中盤、△6二金上~△7一玉のときは何をやってるのかと思ったが、それも立派な作戦だったようだ。
清水女流六段は83手目▲9三銀!! 良くも悪くも清水女流六段らしい一手だ。しかし何だ、こんな手でよくタイトルを43期も獲れたものだと思う。
本局は渡辺女流1級の会心譜。女流初段はもうすぐだ。

▲真田彩子女流二段○VS△中倉宏美女流二段
本局は、最近好調の宏美女流二段の指し回しに期待した。しかし46手目の△4二歩はどうだったか。ふつうに△4四同馬と取って、何が悪かったのだろう。▲4五金に△5二銀と一枚入れるようでは、宏美女流二段変調である。以下宏美女流二段もがんばったが、形勢を覆すことはできなかった。
△4二歩は悪手ではないのかもしれないが、こんな覇気のない手を指しているようではダメである。次は元気のある手を指してもらいたい。
コメント (3)
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