一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「将棋の日」の、島井咲緒里女流二段(前編)

2022-12-26 23:23:15 | LPSA麹町サロンin DIS
11月17日は「将棋の日」。この日は木曜日で、LPSA麹町サロンin DISがあり、第1部の島井咲緒里女流二段の回に空きがあったので、申し込んだ。
と、当日島井女流二段からメールがあり、スタッフが動画を録る旨が記してあった。もちろんモザイクを掛けてもらうことはできるが、そこまでする必要もあるまい。
四ッ谷駅で降り、とりえず「小諸そば」へ行く。ところが、二枚もりが380円になっていた。この前値上げしたばかりだと思ったが、また値上げしている。それでも380円は安いから注文したが、次に値上げしたらどうなるか分からない。
二枚もりは、やや盛りが少ない気もしたが、通常通り美味かった。
麹町サロンに入ると、先客がひとりだけいた。いつもの人である。しかしTod氏の姿はなし。ほかにキャンセルもあったという。
島井女流二段は年齢を感じさせず、いつも通りキュートだ。私は一段と禿げ上がり会わせる頭がないが、それでも島井女流二段にはここで何度か指導対局を受けているので、若干気はラクだ。
「きょうはよろしくお願いしますね。ビデオはそんなに長時間録らないと思います。メインはこのあとの愛ちゃんだと思うので」
と島井女流二段。
私もビデオは気にせず、対局開始となった。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲5六歩△4二飛▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二玉▲5八金右△8二玉▲2五歩△3三角▲6八銀(第1図)

私の居飛車に島井女流二段の四間飛車は予定通り。昨今は角道止めずの振り飛車が多いが、島井女流二段は角道を止める昭和の振り飛車を常用している。これは意外といえば意外である。
私は飛車先の歩を決め、▲6八銀。居飛車はここが最大の岐路で、固い囲いを放棄した以上、急戦で行くしかない。

第1図以下の指し手。△9二香▲5七銀左△9一玉▲3六歩△8二銀▲3七銀△4三銀(第2図)

島井女流二段は、「やってみるか」と△9二香。島井女流二段の得意形で。指導対局といえども手加減がないが、逆にありがたいことである。
私は予定の▲5七銀左で急戦。そこからまだ幾本かに分岐するが、私は▲3七銀と棒銀を採用した。

第2図以下の指し手。▲3五歩△3二飛▲3四歩△同銀▲2六銀△4二金▲3八飛△4五歩▲5五歩(第3図)

第2図では▲2六銀が本手だと思うが、似た将棋で藤井聡太竜王が、先に▲3五歩と突っかけた。それで、それを真似してみた。
私は▲3四歩から▲2六銀だが、何かワンテンポズレている。やはり▲3五歩では▲2六銀だった。
島井女流二段は△4二金。大山康晴十五世名人の新手で、こう指されると攻略は難しい。
とりあえず▲3八飛と寄ったが、島井女流二段は元気よく△4五歩。これに▲3三角成は△同金で攻め切れない。気合の悪さは否めないが、▲5五歩と穏やかに拒否した。

第3図以下の指し手。△4四角▲2八飛△7一金▲3七銀△3五銀▲5六銀△3六銀▲4八金△3七銀成▲同金△3六歩▲2七金(第4図)

このあたりでビデオ撮影があっただろうか。カメラ慣れしている島井女流二段はニコニコしながらカメラを見ている。対して私は盤を凝視し、顔を紅潮させている。プロとアマは心の余裕が大差だ。
島井女流二段は軽く△4四角。これがなかなかの手で、▲2八飛と戻らざるを得ないようでは、下手が作戦負けである。
島井女流二段は△7一金と締まり、あとは全力で攻めるのみである。
私は▲3七銀と引いたが、島井女流二段は爽快に△3五銀。完全に島井ペースだ。
私は▲5六銀と立ったがこれが本局最大の悪手だったと思う。銀が浮き駒になったため、何かにつけて狙われる駒になってしまったのだ。
△3六銀に▲同銀は△同飛で、△5六飛と△3九飛成を見せられ下手負け。私の▲4八金は仕方ないが、潰されてもおかしくなかった。
島井女流二段は銀を交換して△3六歩。ここは「銀」もあったが、歩も厳しい。
これに▲3八金は△3七銀で下手がツブレだから▲2七金は是非もないが、島井女流二段に決め手がありそうである。

(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

里見女流王座、防衛

2022-12-25 22:29:01 | 女流棋戦
私が長崎県川棚のあんでるせんでマスターのマジックを愉しんでいたころ、東京では第12期女流王座戦第5局、里見香奈女流王座VS加藤桃子女流三段の一戦が行われていた。
ここまで里見、加藤、里見、加藤の勝利で2勝2敗。加藤女流三段には失礼ながら、大豪里見女流五冠に対し、4局を終えてタイ、とは予想しなかった。しかも負けては追い付き、負けては追い付きの繰り返し。里見女流王座に先行されたら萎えるところを、よくすがりついた。
女流王座戦の優勝賞金は500万円。もちろん大金だが、それよりも(女流)棋士は、おのが肩書をタイトル名で呼ばれることに無上の喜びを感じるのではなかろうか。それにはこの最終局が千載一遇のチャンスである。私はどちらが勝っても構わないが、ここまで来ては、加藤女流三段に肩入れしたくなった。
しかし結果は……。

将棋は里見女流王座の先手で、中飛車に振った。加藤女流三段は急戦を狙っていたわけではないが、里見女流王座が角交換辞さずだったので加藤女流三段もそれに応じ、その流れでチャンバラになった。
里見女流王座は▲5五歩△同歩▲同銀(第1図)。

ここで素人目には△5八歩が浮かぶ。棋書なら▲5八同飛△6九角▲6八飛△7八角成▲同飛△5五銀で後手優勢となる。
しかしもちろんそうはならず、本譜は△6九角に里見女流王座が▲4四銀とし、△5八角成▲同金となった。
そこで加藤女流三段の△8六歩が玄妙な手。私たちレヴェルなら△4四歩と銀を取り返しているが、対局者は深く読んでいるのだ。
しかもこの手が正着だったらしく、私は女流棋士の実力に改めて舌を巻いた。
将棋は以下も激戦になったが、加藤女流三段が形勢を損ねているとは思えない。しかし里見女流王座の攻めが森安秀光九段を思わせる粘着的で、加藤女流三段も持て余している感じを受けた。

そして最終盤、第2図で加藤女流三段が△2五桂と跳ねたのがマズかったらしい。私たちの大好きな「王手」だが、この場合は▲1八玉と引いた先手玉が深い。いわゆる「追う手」になってしまった。
正着は「端玉には端歩」の△1五歩がよかったようだ。このあたり、格言を多く知ることの重要性を再認識することができる。
以下199手まで、里見女流王座の勝ちとなった。
この長手数が激戦の証明である。里見女流王座は苦しみながらの防衛。これはこれで第一人者の勝ち方だろう。
いっぽうの加藤女流三段は、あと一歩まで里見女流王座を追い詰めながら、残念だった。しかし加藤女流三段はこの前までタイトルを保持していた。ほかの女流棋士とは実力が紙0.1枚違う感じだ。近い将来、加藤女流三段のタイトル戦再登場があるだろう。
両対局者とも、お疲れ様でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイナビ様へ深くお詫びいたします。

2022-12-24 01:34:54 | 将棋雑記
23日は長崎県川棚の「あんでるせん」に行った。実に24回目、24年目である。概ね楽しめたが、マジックの途中で私に千円札を出すチャンスがあったのに、後ろの女性が千円札を出すのを待ってあげたのが、大失敗だった。
やっぱりお札のマジックは斬新で、「やっぱりオレが先に出すんだった……」と後悔した。自分がとっとと出しちゃうべきだった。
私の人生、こんな後悔ばっかりだ。

   ◇

先日、将棋ペンクラブの面々と忘年会に行った。そのときにチラッと聞いたのだが―私が直接聞いたわけではないのだが―、かつて私にも将棋ペンクラブの幹事をやらせようか、という話があったらしい。
ところが、ある人が私の幹事入りを反対したらしい。当時私はある女流棋士を追っかけていて、それをブログに粘着的に書き、いま以上に、かなり変態的な内容だった。
それを読んでいたその人が、とても大沢には幹事をやらせられない、と反対したというわけだ。
ちょうど同じ時期だと思うが、石橋幸緒さんからも、「もう少しブログをおとなしめに書いてください」と言われた。
それが石橋さんの本意ではないと取った私は、その出所がどこだか聞いた。当ブログは私が「編集者」で、誰からも編集方針を指図されたくなかったからだ。
それで私は「マイナビですか?」と問うた。
その少し前、マイナビがマイナビ女子オープンでのWeb観戦記を求めていた。私も応募し、それはめでたく当ブログにアップされたのだが、それには条件があり、まあ平たく言うと、「今後も品行方正のブログ内容を保ってください」というものだった。
しかし上記の通り、私の記事がかなり粘着的になってきたので、マイナビが釘を刺したと思ったのだ。
この問いに対して、石橋さんは口ごもるばかり。その無言が肯定の意味に思えて、私は逆上した。私はすぐに、「もうマイナビ関連の記事は書かない」と当ブログで一方的に宣言した。
しかし、である。当時将棋ペンクラブ内部からも当ブログに批判があったとすると、あの時の石橋さんの抗議も、LPSAから出たと考えるほうが自然だ。
何年か前、将棋ペンクラブ大賞の打ち上げか何かだったと思うが、「週刊将棋」元編集長氏といっしょの席になったことがある。その元編集長氏はなぜか私の名前をご存じで、自然なふるまいに、こちらが戸惑ったものだった。
よく考えれば、大マイナビともあろう会社が、ただの将棋ブロガーにそこまで干渉するだろうか。
こうした状況証拠を積み上げると、当時私がマイナビを非難したのは勇み足だった可能性が高い。
もう「週刊将棋」は休刊してしまったのでアレだが、マイナビ様には当時の我が愚行を深くお詫びしたい。
誠に申し訳ありませんでした。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女流棋士の名前でしりとり

2022-12-23 23:10:52 | 女流棋士
女流棋士の名前でしりとりをしてみる。

早水千紗→里見香奈→中村真梨花→加藤圭→飯野愛→伊藤明日香→加藤結李愛→相川春香→香川愛生→大島綾華→鎌田美礼→伊奈川愛菓→鹿野圭生→大庭美夏→神田真由美→宮宗紫野→野田澤彩乃→野原未蘭

以上18名。女流棋士は男性棋士に比べ人数が少ないうえに、終わりの文字がある程度限定されるだけに、繋ぐのが難しかった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

千田七段、反則負け

2022-12-22 23:26:26 | 将棋雑記
きょうビックリした将棋ニュースは、渡辺明名人のコロナ罹患ではなく、千田翔太七段の反則負けだった。きょうはB級1組順位戦の10回戦があったが、その千田七段VS近藤誠也七段戦で、後手の千田七段が初手を先に指し、即負けになったというのだ。
この反則はむかし某棋士がやったことがあるし、女流棋界も同様のケースがあったと記憶する。
AI同士の対局では絶対に起こり得ず、人間同士の対局だから起こった……とは簡単には片づけられない。人間同士の対局だって、まず起こらない。それがきょう、起こってしまった。しかもその当事者が、AI将棋の申し子のような千田七段だから、余計驚いた。
たとえば、初手から長考をする棋士がいる―我が心の師・真部一男九段は初手から熟考することが多かった―。長考をいぶかる後手番の棋士が、「オレが先手か?」と先に指すことはあるかもしれない。
が、千田七段は「この対局が先手だと思っていて、事前に研究してきた」と吐露したらしい。
それじゃあしょうがないが、対局開始時は、記録係が「○○七段の先手でお願いします」とか言わないのだろうか。先後が決まっている将棋では、あえて言わないのだろうか。
まあ私たちレベルの将棋では、先後を間違えても「ごめん」でやり直しが利くが、「公式戦」ではそうはいかない。それはたとえば社団戦である。この公式ルールは、着手して手を離しても、チェスクロックを押していなければ指し手を完了していない……だったかどうかは忘れたが、そんなトラブルを防ぐために、私は先後の確認はしっかりする。それがプロの千田七段にどうしてできなかったのだろう。
今回の対局、主催者も両対局者も後味が悪く、いちばん得をしたのは、お手当が1局ぶん出る、記録係だったのではあるまいか。
千田七段にはまことに痛い敗戦だったが、私たちは千田七段の新たな面を見ることができ、いままで以上に応援したくなった。きょうの反則負けが、笑い話に昇華することを願う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする