付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「血闘絶対国防圏」 吉田親司

2007-09-07 | 架空戦記・仮想戦史
 架空戦記も単なるブームが終わり、ジャンルとして独り立ちした感があります。そのあたりの分析評価は専門のサイトやマニアにお任せするとして、漠然と端から眺めていると読む作品から受ける全体的なイメージの移り変わりがあるような気がします。
 初期は「侘び寂び」。過程がどれだけ違っても(自衛隊がタイムスリップしようと大和が米本土に特攻をかけようが)所詮歴史は変わらないし、戦争そのものが虚しいという結末が多く、その中で滅び行くものに新たな角度でスポットをあてる……というようなものが多かった気がします。小説ごときで太平洋戦争の結末を変えるのは申し訳ない……といった雰囲気すら漂っています。
 それが佐藤大輔が登場するあたりから「燃え」になります。その戦争が始まってから小手先であれこれ弄っても結果が同じなら、10年前100年前から歴史を変えてでも、心おきなく兵器のスペックをフルに使って戦える戦場を用意しよう。その結果として、歴史の結末が変わってしまっても無問題!……という感じ。
 で、最近は「萌え」がこのジャンルにまで浸透し始める予感。まだぜんぜん数は少ないけれど、ゲームやライトノベルまで含めると、やたら美少女が戦場に立つような話が目立つようになっています。ファンタジーとかSFならともかく、日露戦争とか太平洋戦争で美少女部隊や船魂少女が出てくると頭を抱えてしまいますが……その一方で「それもまた良し」と思う自分もいたりして。
 冊数では20年前と数が全然増えていない(ジャンルとして全体像を把握し切れていない)人間の感想ですが、読みあさっている人の感想はどんなものなんでしょうね。

 太平洋戦争のさなか、木星が突如太陽化し、その影響で地球から夜の闇が消えてしまった。各国はその対応に右往左往することになり、結果として史実とは異なった歴史が綴られていくことになる。


 木星太陽化+巫女+メイドという架空戦記。もうイロモノの極みかと思いきや、中身は普通でした……? アメリカ軍が一方的にカリカチュアされた戦争悪になっているのが、ちょっと引っかかりはするんですが、戦記としては普通だよね。それで戦果に巻き込まれた民間人という位置づけで登場する、サイパンの神社の巫女4姉妹という設定も普通(え?……次女ですね)。ただ、そこに乗員の99%がメイドという天体観測船のような仮装巡洋艦が登場すると……力技だなあ……好きだけど。
 オチも(ある種の本では定番だけど)よし……ということで、吉田親司の『血闘絶対国防圏~邀撃の巻』を中2の息子に貸したら「これ、SFでしょ!?」とか言い出した。
 かもしれないねー。

【血闘絶対国防圏】【邀撃の巻】【反撃の巻】【吉田親司】【Chiyoko】【今道英治】【巫女】【メイド】【恒星間飛行】
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「インディー・ジョーンズ3~最後の聖戦」 監督スティーブン・スピルバーグ

2007-09-07 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 映画『インディー・ジョーンズ3~最後の聖戦』は、ぼくはけっこう好きな映画なんですが、これをあまり評価しない人もいます。それは好きずきなので仕方がありませんが、ぼくが面白いと思うところを「良くない」という人もいて(たとえばショーン・コネリーの演技とか)、評価はさまざまだなあと実感しました。
 好きずき自体はどうでもいいとしても、インターネットで批評サイトを見ていると、みんなかなりいい加減ですね。まあ、少年時代を描いたTVムービーも含めれば全25本になるものの、映画1作目を見ないで「『最後の聖戦』はシリーズ最高傑作です」とか「もう、ナチスの時代なのに、旧式の戦車が出てくるとはおかしい」などという意見などには、もう「???」ですね。
 原点を確認しないで全体像を評価するなどという無謀な人はおいといて、ごくごく普通の人の感覚では、ナチスドイツというともう第二次大戦で、ドイツ軍はタイガー戦車、連合軍はシャーマン戦車でパットン戦車軍団かバルジ大作戦か……みたいですね。電撃戦で有名なドイツだって、開戦当初の戦車はI号戦車やII号戦車ばかりで、まだまだ馬だって現役。ジオン公国じゃあるまいし、そうそう新型をぼこぼこ開発して、ばんばん量産配備なんてできません。予算だって生産ラインだって、限られています。兵器なんて息の長いときはむちゃくちゃ長いんです(<金剛>なんて、いつの艦だよ?)。
 それはともかく、この映画に登場する多砲塔戦車、なんだろうと思っていろいろ調べてみましたが、結局「INDY TANK」ということで映画オリジナルデザインのようです。第二次大戦末期のシャールあたりをベースに、間違った方向に進化した感じです。

【インディー・ジョーンズ3】【最後の聖戦】【スティーブン・スピルバーグ】【聖杯】【ヴェネツィア】
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「サターン・デッドヒート」 グラント・キャリン

2007-09-07 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 太陽系全域に人の手が及び始めた時代。土星の衛星で何者かによって太古に置かれた人工物が発見される。
 これを地球の政府に対して優位を獲得する好機と判断した民間のコロニー会社スペースホームの社長オグミは、考古学者ホワイトディンプルを無理矢理に土星周回軌道ステーション(SOS)に送り込む。
 だが、地球とてその動きを座して待つつもりはなかった。異星人が置いたと思われる複数の人工物を追い求め、繰り広げられる宇宙船チェイス。果たして異星人のテクノロジーを手に入れるのは誰か!?


 ということで、一口で言って「胸躍るハードSF活劇」。

「政治とは野球のようなものだ。選手を知っており、応援するチームがないかぎり、興味を持てるわけがないのだ」
 異星文明のメッセージ回収とその解析に貢献したクリアス・ホワイトディンプルの言葉。単なる学者に過ぎなかった男が、次第に覚醒していく姿は爽快。

【サターン・デッドヒート】【グラント・キャリン】【土星】【スペースコロニー】【トレジャーハンター】【考古学】【カリフラワー】
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「アルテミス・ファウル 永遠の暗号」 オーエン・コルファー

2007-09-07 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
……実は妖精というのは存在していて、魔法が使えるばかりではなく科学力も人間より遙かに進んでいて、ただ繁殖力旺盛な人間がうっとうしいので地下に隠れているのです。そしてそれに気づいた悪の天才少年アルテミスは、妖精のテクノロジーを奪い、自らの金儲けや悪事に使おうと、妖精警察と虚々実々の駆け引きを繰り広げます。
 今回は妖精のテクノロジーを応用し、携帯電話・ビデオからスパイ衛星までありとあらゆるデータを読み取ることができる携帯コンピュータを開発したアルテミス。しかし商売敵にそれを奪われ、しかも相棒兼ボディガードのバトラーを殺されたことからアルテミスは妖精警察を利用することを考えるのですが……。

 貴重な女性キャラの描写に魅力が乏しいのが残念。ライトノベルならそのあたりをイラストでカバーできるんだけどなあ……。
 中学生あたりで読んでおきたいね。気にせず中学生の親が読んでますが。

【アルテミス・ファウル】【永遠の暗号】【オーエン・コルファー】【妖精】【科学】
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「ダリアハウスの陽気な幽霊」 キャロライン・ヘインズ

2007-09-07 | ミステリー・推理小説
……ミシシッピに帰ってきたサラには親兄弟も財産もなく、ただ明日にも借金の形に取り上げられそうな屋敷があるだけ。しかもその屋敷には黒人召使いの幽霊まで憑いていた……。

 まあまあ良かったのは表紙だけ。推理アドベンチャーゲームによくある、行ける場所、話せる人を順番に回っていればいつの間にか解決するタイプのミステリー話。帯にあったけれど、どこがコミカルで、どこがコージーか不明。相棒を幽霊にする必然性も最後まで無かったしね。
 ま、最後にヒロインがハンサムな金持ちと結ばれないハーレクインのつもりで読めば……。

【ダリアハウスの陽気な幽霊】【キャロライン・ヘインズ】【幽霊】【探偵】【遺産】
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