付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「地球からの贈り物」 ラリイ・ニーヴン

2007-09-17 | 宇宙・スペースオペラ
 弓月光の『トラブル急行』にも登場したパペッティア人は、もともとラリー・ニーブンの既知宇宙(ノウンスペース)シリーズの住人でした。
 ニーブンの未来史シリーズにおいては、人類社会において臓器移植が発達し、それに依存したため、軽犯罪でも死刑判決がくだされドナーにされてしまう時代がありました。作品でいうと『地球からの贈り物』とか『不完全な死体』のあたり。
 復讐ではなく、犯した罪を償わせるために刑罰があるというなら、人を殺した罪を償うためには、殺しただけの命を救う、自分の臓器をありったけ提供してでも……という考えは解ります(それがフェアってもんじゃないかな)。でも、臓器移植が簡単にでき、そのために寿命が延びるとしたら、これら作品のように微罪や冤罪で臓器提供者にされてしまうかもしれない。どんなに立派な法律を作ってみても、最後にそれを解釈し判断するのは人間ですからね(だからこそ、大岡裁きも生まれるわけですが)。

 ちなみに我が家の『地球からの贈り物』は古本屋で購入したもの。しかし、そのカバーの折り返しには「昭和五十四年十月十日 訳者 柴野氏より」なんてメモが……。古本屋に売り飛ばすくらいなら、そんなこと書き付けるなよ!!
 ちなみに同じ時に買った別の1冊には、しおり代わりに「乞御高評 株式会社早川書房」という紙が挟まっていたりする。そんなもの、抜いておけよ!

「地球からの贈り物」★★★

【臓器移植】【植民地】【レジスタンス】
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「気弱な海尉ジェラルドの冒険~ドーバーの伏兵」 エドウィン・トーマス

2007-09-17 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 エドウィン・トーマスの『気弱な海尉ジェラルドの冒険~ドーバーの伏兵』を読了。
 「海洋冒険史上かつてないニュー・ヒーロー登場!」とありますが、これ、海洋冒険小説じゃありません。ドーバーの町を拠点に密輸監視をおこなうカッター艦に配属された海尉の物語ですが……ベッドで寝てたり、牢屋に押し込められたりしていて、ちっとも海に出ませんし、出ても沿岸で艦長の指示でうろうろしてるだけ。ぐーたらで弱虫の主人公が殺人事件の容疑者にされてしまい、2週間以内に身の証を立てないと西インド諸島勤務に島流しされてしまう!という話。冒険小説というより、アンチ・ヒーローの時代ミステリーというところか。
 大ヒットとは無縁の海洋冒険小説だけれど、少数だけど熱心なファンがいるようで、着実に新刊が出ているし、また新刊が出たときに買わないと次はない……って感じですね。

「気弱な海尉ジェラルドの冒険~ドーバーの伏兵」★★★

【密輸】
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「ねらわれた学園」 主演:原田知世

2007-09-17 | 時間SF・次元・平行宇宙
 「ねらわれた学園」といっても眉村卓の原作の方ではなく、田舎の人間にはJA関係のCMでお馴染みの原田知世主演のテレビドラマ版の方の話。えっと、1982年の夏にフジテレビ系列で1話30分の1クールで放映されてます。

 転校生の美少女・高見沢みちるは、突然生徒会の会長選挙に立候補し当選する。だが、彼女は生徒会長に就任するや、有無をもいわせぬやり口で学園を支配してしまう。反抗する者もいないではないが、様々な超常現象で恐怖のどん底にたたき込まれてしまい、抵抗する力を奪われてしまった。どうやら彼女は超能力者のようなのだが……。


 冷徹な生徒会長・高見沢みちるが伊藤かずえ、学園のために立ち上がる主人公の楠本和美に原田知世、事件の黒幕である未来人・京極少年に本田恭章……というのは順当として、その他のキャストが柳沢慎吾、轟二郎、はせさん治って……、シリアスなSFドラマになるわきゃないよね。びみょーにシリアスなコメディに。最終回がNG集というのもミソで、本編中ではにこりともしない生徒会長や京極少年が自分の失敗に笑い転げる姿に萌え。

 不思議なテイストの『ねらわれた学園』だったけれど、もともと「翔んだ」シリーズの延長線上なんだから仕方がないのかな。直接のつながりではないけれど、1980年代の前半というとフジテレビが30分枠の青春学園ギャグコメディを連発していた頃で、『ねらわれた学園』も役者とかスタッフとかかなり引き継いできてました。
 最初は柳沢きみおが原作の『翔んだカップル』。手違いから一つの家に下宿するハメになった高校生男女の騒動を描いたラブコメディなんだけれど、かなり奔放にアレンジされていて原作嫌いにもけっこう楽しめました。ここで脇役を演じた柳沢慎吾に人気が出て、続く1981年の『翔んだライバル』では、確か二枚目の田鍋友哲の方が主役だった気がするのに(ライバルの)柳沢慎吾演じる転校生・順平の方が人気があって活躍した気がしました(ヒロインは辻沢杏子)。シリーズ3作目『翔んだパープリン』ではついに主演!……というものの、面白さでは『ライバル』がベストだったかな。青龍刀もって人民服着た謎の集団が「ニイハオ!ニイハオ!」と叫びながら主人公たちを追い回したり、とにかく何のつもりで作っているか解らない3部作でした。

【ねらわれた学園】【原田知世】【轟二郎】【伊藤かずえ】
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「銀河漂流バイファム」 サンライズ

2007-09-17 | 巨大ロボット
 1983年……。初代タイガーマスクがダイナマイト・キッドと熾烈な空中戦を繰り広げ、ハルク・ホーガンが猪木をKOしていた頃、金曜夜に始まったアニメがありました。『銀河漂流バイファム』です。
 『15少年漂流記』をモチーフにした、異星人に襲撃された植民星を脱出し、宇宙を漂流することになった子供たちの群像劇。でもいちばん面白く、いちばん悲惨だったのは、子供たちだけで漂流することになるまでの顛末。
 この作品では本当に「軍隊」の二面性がよく出ています。冒頭から中盤に至るまでは、本当に「民間人を守る」ことを最優先にした軍隊でした。民間人のシャトルを脱出させるため、敵に体当たりしても滑走路を確保し、避難民を収容するためぎりぎりまで艦は発進せず、そして戦って次々に倒れていきます。民間人を守るために軍人が死んでいき、子供たちを守るために民間人の大人たちが軍人の欠けた部署を担当し……、そして誰もいなくなります(ややリアル<ホワイトベース>って感じ?)。
 その一方、最後になって実はいきなり異星人が攻めてきたのではなく、事前に領有権を主張して植民星から退去するよう通告があったのを上層部が無視していて、そもそも軍の暴走が引き金で……というオチがついて「ああ、そんなもんだろよ」となるわけですがね。まあ、面白かったですよ。

「銀河漂流バイファム」★★★★

【練習船】【漂流記】
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