付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ドラゴンランス戦記」 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン

2007-09-08 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「敵の死に同情や恐怖を感じられるのは、大事なことだわ。それが無感覚になったときこそ、敵を平気で殺せるようになったときこそ、わたしたちがこの戦いに敗れるときですもの」
 ローラナの言葉。

 テーブルトークRPGの設定をもとに繰り広げられるハーフエルフやドワーフらの混成パーティの冒険談。
 この話も昔はよく読んでたなあ……、趣味に合わなかったので愛読書にはなりませんでしたが、当時は剣と魔法のファンタジーそのものが少なかったから、えり好みができなかったのです。
 最近、気がついたら小学生から中学生向きのつばさ文庫で再販されていますから、根強い人気があるのでしょうね。

【ドラゴンランス戦記】【マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン】【富士見ドラゴンノベルス】【角川つばさ文庫】【兄弟】【RPG】
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「学園戦記ムリョウ」 NHK

2007-09-08 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「じゃあ、また明日」

 なんとなく『学園戦記ムリョウ』のDVDを見直しています。嫁さんや小学生の息子らとぼんやりと。小説でいえば『ベルガリアード物語』と同じで、なんとなくツボなんですね。

 2070年、東京臨海副都心に突然宇宙より飛来した謎の巨大物体は、瞬時に東京の通信・交通機能をマヒさせる。しかしその怪物体もどこからともなく出現した巨人によって殲滅されてしまう。
 だが、そんな意味深なプロローグを無視するかのように、物語は湘南あたりの小都市、天網市で進む。その天網中学に1人の転校生が現れたのだ。もはや誰も着ない時代遅れのコスチューム、学生服に身を包んだ少年、統原無量(すばる・むりょう)。それが人類の有史以来続く戦いの、最終局面の始まりだった……。


 初オンエアはNHK-BS。そのせいかな、昔の少年ドラマ・シリーズを彷彿とさせる雰囲気。
 銀河系規模の事件が、あくまで地方都市の中学校を舞台を進みます。しかも主人公は巨人に化身する少女ナユタでもなければ、生身で宇宙空間に駆け上る少年ムリョウでもなく、なんの力も持たない普通の少年である村田始です。このあたりの設定もうまいです。そして戦いのこまかな部分を描く反面、思い切ったところをバサッと省きます。主に省かれるのは、ムリョウくんの描写。冥王星軌道まで飛んでいって艦隊戦をしていても、ほとんど無視されちゃいます。この力の抜き方が好き。ま、体育祭で1話以上使っているのに、艦隊戦は描写なしかよお!?と思わないでもないですがね。
 登場人物にいろんな顔があり、脇役の1人1人にまでいろんな側面があるのが不思議。学校の先生、商社マン、居酒屋の親父、クラスメイト……。その正体が徐々に見えていくのが面白いし、逆に裏も何もない人が裏表がないゆえにスゴイというのもバランスがとれています。
 地味な話ですけど、それだけに淡々と何度でも流せるんですね。

【学園戦記ムリョウ】【佐藤竜雄】【超能力者】【監視者】【生徒会】【巫女】
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1929-1931の日本に於ける金政策

2007-09-08 | 雑談・覚え書き
 この時期の日本は、金融恐慌の痛手から懸命に回復しようとしており、そのために時の浜口内閣は軍事予算の縮小、財政引き締めによる国債発行額の圧縮、そして金輸出解禁をおこなおうとしていました。
 蔵相井上準之助は、金輸出解禁すなわち金本位制への復帰こそ、インフレや為替リスクを生じさせずに輸出を拡大させる景気高揚策と信じていました。しかし井上のプランは、あまりにも現実の経済動向を無視していました。
 1929年8月、金輸出解禁を発表すると、同年10月24日ブラックマンデーの世界経済への影響を軽視したまま、1930年1月11日に金解禁を実施します。しかし世界経済は世界大恐慌と呼ばれる状況に突入していました。そして当時の日本の基幹産業は生糸でした。この状況で高級嗜好品である絹の需要が伸びるわけがありません。絹の需要は一気に落ち込み、農村経済は壊滅します。
 また三井、三菱、住友などの財閥系銀行は日本経済全体よりも自分自身の利益を追求して円売りドル買いを進めたため、金流出に歯止めがかからなくなります。期待していた金本位制度による経済のバランス機能が、為替差益による利潤に群がる投機家によって壊されてしまいました。モノが動かず、カネだけ動いたのです。
 1931年9月。関東軍の暴走により満州事変が勃発します。浜口内閣は平和外交路線と軍備縮小を推進していましたが、恐慌に苦しんでいた国民は華々しい戦果をあげた関東軍を支持してしまいます(兵士の大多数が農家の次男坊、三男坊であることはいうまでもありません)。
 かくして1931年の終わりにはそれまで浜口内閣の軍縮路線に「統帥権干犯」として反対していた犬養毅を首班とする内閣が発足。金輸出は再禁止されてしまいます。

 この1929年から31年における金政策をめぐる動きを総括するならば、まず政友会は野党から一気に政権政党へと飛躍します。そして軍部は世界的に軍縮傾向にあった状態から脱し、予算と活躍の場を得ました。一方、財閥系銀行は為替差益を得てさらに肥大化し、また軍の大陸進出にともなって自らの市場も得ることになりました。しかし誰よりも為替差益で利益を得たのは、ロックフェラー系のナショナル・シティ銀行だったのです。
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「怪しいシンドバッド」 高野秀行

2007-09-08 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「また、友だちと一緒に、遊びにいらっしゃい」

 高野秀行の『怪しいシンドバッド』読了。はい、イロモノです。
 バカ者が「何か未知のもの」を探し求めて世界中を放浪する話で、早稲田大学探検部に所属していた著者が、卒業後もフリーライターとして世界各地を放浪していた時代の物語。野人探しに中国奥地へ行ったり、アフリカで大日本帝国を発見したり。
 ツボにはまったのは、ビルマのゲリラに会いに行き、満州出身の張書全という男性と知り合ったエピソード。仲良くなったので、誰か一緒に遊びに行きませんかというオチがつくんですが……。

【怪しいシンドバッド】【高野秀行】【野人】【麻薬】
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「フリモント嬢と奇妙な依頼人」 ダイアン・デイ

2007-09-08 | ミステリー・推理小説
「あなたは馬鹿じゃありません。あなたは若い、それだけのことです」
 マイクル・アーチャーの言葉。

 日露戦争の頃のサンフランシスコを舞台に、タイピストとして自立しようとする女性のもとに訪れる怪しげな依頼人たちを巡る事件を描く、ダイアン・デイの『フリモント嬢と奇妙な依頼人』読了。
 表紙イラストが見たことあるようなタッチだと思ったらさべあのま。でも、中身からいえば高橋葉介の方が似合いそうな感じ。
 そう、高橋葉介!!

「あなたはグレムリンのよう」

 怪しげな中国人、ポーのような小説を次々に書き上げる内気な男、さわやかな新進気鋭の弁護士、過去の事件にとらわれる神父、同じ下宿に住むスパイと噂される男と噂好きの家主。高橋葉介というイメージに思いついた瞬間、さまざまなパーツがぴしゃりと当てはまる感じで情景やキャラクターが脳裏に浮かびました。『夢幻紳士』の冒険編と怪奇編の間をうろうろする感じ。

【フリモント嬢と奇妙な依頼人】【ダイアン・デイ】【さべあのま】【中華街】【スパイ】【怪しい隣人】
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「ゼロヨンイチナナ」 清水マリコ

2007-09-08 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 清水マリコの『ゼロヨンイチナナ』を読了。前作『ゼロヨンイチロク』のサブキャラ、作家志望の高校生こと明智先生を主人公に据えた都市型ファンタジー。

「弟たちへの支配力を甘く見るなよ!」

 他にもアダルトゲームのノベライズとかやっている作者ですが、このMF文庫では現実世界の高校生たちを主人公に、妄想か現実か、現実と虚構の間を揺れ動く、ミステリーのようなホラーのような青春小説を書きつづっています。その雰囲気がイラストとも相乗効果をあげてなかなか良い感じ。
 今回は主人公が「元がアニメの作品を実写化した評判作」を観に行こうとした映画館前で、年上らしい少女に逆ナンパされるところから始まります。彼女が語るのは「解けば願いが叶うか呪いがかかる」3つの伝説の謎。下心半分、その少女と共にその謎が隠されているという場所を訪ねる明智でしたが、かならずそこに若い男が現れ、その謎の鍵となるアイテムを彼に手渡していくのです。使うかどうかは自由、でも君の損にはならないだろうよと。
 このシリーズで主人公たちは人の心の闇につけ込み、それを増幅させて玩ぶ謎の一団と対立しています。しかし、それを善と悪の二元論で割り切っていないのが、この作品のひとつの特徴かも知れません。そいつらが善か悪かはわからない。でも自分はそいつらのやっていることが嫌いだと言い切る物語です。

「ゼロヨンイチナナ」★★★★

【都市伝説】
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