付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ドルセイの決断」 ゴードン・R・ディクスン

2007-09-09 | ミリタリーSF・未来戦記
「優秀な士官というものは、彼が殺した、もしくは傷つけた人間の数に応じて勲章を受けているわけではない」
 コルンナ・エル・マンの言葉。

 遙かなる未来、宇宙に散った人類は、それぞれの星で独自の文化を築き上げ、勇気や信仰心などそれぞれの特質を体現した文化と人間を生み出していた……というチャイルド・サイクル・シリーズの1冊。
 ドンパチやる派手な戦争絵巻を期待していたもので、異星人を登場させなくったって、文化や文明の対立は描けるんだという話にがっかり。でも、今読めば、こっちの方が面白い。スペースオペラでは、姿形は異形でも考えや行動は地球人とまったく同じという宇宙人が普通だけれど、こちらは姿形は同じ地球人類でも考え方や行動はぜんぜん違う……ってパターンです。

【ドルセイの決断】【ゴードン・R・ディクスン】【傭兵】
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「万博とストリップ」 荒俣宏

2007-09-09 | 伝記・ノンフィクション
 2005年に開幕した『愛・地球博』のキャッチフレーズは「一生に一度は万博へ」。

 おれ、大阪万博に行ってますから、ノルマ達成じゃん(結局つきあいで2回行かされたんだけどね……)。

 でも、基本的に「博覧会」という形態そのものが陳腐化してるじゃありませんか。帝国主義的お国自慢、技術自慢、戦利品自慢の時代は100年も前に終わりました。科学技術や文化・芸術を世界規模で発信する……など、このIT時代に何を寝ぼけたことを言っているのか。平和のための国際交流というなら、その予算で小中学生を海外留学させたり留学生を受け入れる方がよほど有意義です。

 万国博覧会はそもそも国威高揚の場でした。大国が「うちはスゴイよん」と自慢する場なわけです。
 そういうわけで、第1回のロンドン博は、産業革命発祥の地だけあって工業の祭典。第2回のパリ博では芸術の都らしく、それに芸術が加わり、バレエやオペレッタの興業が取り入れられるようになります。
 荒俣宏の『万博とストリップ』によれば、万国博覧会はその誕生よりセクシーなイベントとは切り離せなかったといいます。誰だって、鉄の塊より美女の方が好きなわけです(鋼鉄の美女ならなおいいという人は除きます)。
 そういうわけで1867年のパリ博では半裸美女の妖艶なダンスを含む怪しげな見せ物屋が乱立し……そう、万博と威張り、国威高揚を訴えたところで、庶民にとってはタダの見せ物小屋の大きいのにすぎないんだろう。で、1878年のパリ博では科学がテーマに加わり、1889年のパリ博ではエッフェル塔が登場!……でも、その足下にはエンターテイメント地区、つまり見せ物小屋が軒を連ね、ベリーダンスが大盛況であったという。その成功に、以後の万博ではエロティックなダンスはデフォルトとなり……。
 『万博とストリップ』は、万博の歴史というより、万博を基点としてヌードレビューの歴史を綴ったもの。それなりに面白いけど、タイトルのどちらに重心があるかというと、ストリップの方なんですね。

 1970年の大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」でした。日本中がお祭り騒ぎに浮かれ、常にどこかで「こんにちは~こんにちは~世界の国から~」という南春夫の万博音頭が流れていました。
 当時はいよいよ高度経済成長期という時代。敗戦を経て、いよいよ日本が世界の第一線に復帰するということを内外に知らしめるという、まさに国威高揚の祭典でした。またテーマパークにしても、月面にすっぽり被せてしまえば月基地にもなるはずというエアドーム式のアメリカ館、流れるような赤い尖塔のソビエト連邦館、なんといっても大爆発の岡本太郎デザインの太陽の塔、巨大なブタ型蚊取り線香置きのようなガスパビリオンといったものが主流で、デザインからして新しいものへの挑戦、未来への希望がみっちり詰まっていました。建物のデザインそのものがテーマになっていたくらい印象的なものばかりで、あの頃の子供はパビリオンの2つや3つは簡単に絵に描いてました。それくらい、日本中が注目していたんです(期間限定のディズニーランドくらいの位置づけかな)。
 もちろん、海外旅行なんて大きな夢。一生に一度、新婚旅行でハワイにいけたらいいなという時代。街で異国の人に出会う機会はありませんし、今みたいにモロッコ料理やブラジル料理はおろかイタリア料理ですら簡単に食べられはしませんでした。
 日本は世界の先進国と再び肩を並べたのだと国民に信じ込ませ、科学の理想郷を啓蒙し、身も知らぬ異国の文化風習に親しむ……そうする必要があり、その機会が与えられ、だからこそ価値があったんです。

「万博とストリップ」★★★

【万博】【見せ物】
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『ワールドコン~Nippon2007』 9/1AM (2)

2007-09-09 | イベント・コンベンション
 まずは『ケロロ軍曹にみるリーダーシップ』でも行こうかと思ったけれど、意外にもいちぽんの気が進まなそうなので、とりあえず『「さよならジュピター」リメイク推進委員会』へ。
 小松左京を中心に、当時のブレーンストーミング・スタッフや樋口監督らが当時の資料のスライド上映とか交えて回顧や裏話。好きな原作だったし、予告編もカッコイイと思うし、サントラも最高だと思います。もしリメイクするにしてもBGMはオリジナルスコアを使って欲しいなあ……でもリメイク話に届かないうちに退出。2時間企画なんだけれど、11時からの企画に参加したかったのです。ただ、こちらも見たい企画が多くて困りました。

 『星新一とは何者だったのか』にしようかと思いつつ、結局『SFセミナー:魅惑のジュブナイルSFの世界へようこそ』を見に行くことに。BBJを途中抜け出してまで行ったおかげでなんとか前の方に席を確保成功。
 こちらは野尻抱介、笹本祐一、山本弘、三村美衣によるSF原体験話。半裸の美女とドリルメカというつかみ満点の表紙で開幕するペルシダーシリーズを絶賛する笹本祐一。「ハインラインはあらゆる無神経さに満ちている」と語る野尻砲介。「まだなんの連絡もないけれど、星雲賞は落選しちゃったんでしょうか」と心配する山本弘。そして確か怪奇SFアンソロジー『壁の中のアフリカ』について、初版と2版ではイラストが変わったんだよねえと話していて、スライドにちらと映った最終ページの文章が記憶と違っていると判明。本文のオチにも手が加えられていたのではないかと騒然となるなど、瞬く間の1時間。最後は「長ければ面白いってもんじゃないぞ。ややこしい人間関係とかで水増ししやがって!」と昨今の大長編傾向を罵倒しておしまいでした。

 そしてお昼ご飯の時間。
 蕎麦が食いたいといういちぽんのリクエストにお応えして、昼はみなとみらいクイーンズスクエアの更級蕎麦屋で、冷たいキノコ蕎麦。値段相応の味。んでもって、いつもの蕎麦屋がうまいことを再確認。 早く食べられたというのが最大のメリットで、またまた会場へ引き返し午後企画へ。
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『ワールドコン~Nippon2007』 9/1PM (2)

2007-09-09 | イベント・コンベンション
 1時間ほど時間が空いたので、少し離れたハーバーラウンジとかいうエリアに設定されたエリアの偵察。途中の展示ホール・ホワイエで、日本人にはミスター・カトウでお馴染みのジョージ・タケイのサイン会をやってました。
 あ、ジョージ・タケイだ! 変わらないなあ……。なんか感激しつつ通過。

 ハーバーラウンジではボードゲームやミニチュアゲームの展示・販売・デモプレイ中。なんか「ARIA」みたいなコスプレしたおねえさんのマスターで、アリアンロッドとかやってますよ☆
 いちぽんも少し指輪物語のミニチュアゲームを体験プレイ。たぶんモリアの坑道戦。でもダイス目最悪で完敗。オマケするから買っていかないと誘われたけれど予算オーバーで断念。また今度ね。

 4時からは、いちぽんお待ちかねの『すごい科学で守ります!』。
 これは、東映のスーパー戦隊シリーズのように一見行き当たりばったりのような特撮作品について、説得力のある設定を構築していこうという企画。長谷川裕一、環望、笹本祐一、重馬敬が語る語る!
 最近はスーパー戦隊も「すごかが」を意識しているのか、設定につじつまが合うようになったけれど、その分、仮面ライダーの方が“がんばって”くれているとか。ゲキレンジャーについては、獣拳ってのはサンバルカンの格闘技のベースになったのではないかということに。メカについては異星のテクノロジーで対応できたものの、白兵戦技については古来の武術を取り入れることにしたのだろうと。
 ライダーの方は……まあ、カブトは電王のための捨て石だったのかな……。
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