付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「私を月まで連れてって!」 竹宮惠子

2007-09-12 | 宇宙・スペースオペラ
 ベテラン宇宙飛行士ダン・マイルドと、彼より17歳年下の超能力少女ニナ・フレキシブルの関係を中心に描くSFラブコメディ。1977~1987年に描かれた少女マンガで、現在もぽつぽつとその後日談的な物語、『ブライトの憂鬱』が描かれています。

 ただ、当時から印象的だったのが、この作品自体が読者に対してSFを啓蒙する色合いの強い入門書になっていたこと。ストーリー自体は、宇宙飛行士としては一流でありながらレトロ趣味とSF&ファンタジー趣味が濃すぎるダンと、彼に首ったけでありながら妙に現実的なニナを中心とした1話完結のものなのだけれど、それぞれの回のテーマや小道具が、すごくSF&ファンタジーに偏っているんですよね。そりゃあ、21世紀後半の物語だからSFなのはあたりまえではあるけれど、ブラッドベリの作品がモチーフになっていたり、ロボット3原則が鍵になっていたり、スミソニアン博物館のエンタープライズ号の前で語ってみたり、とにかくSF&ファンタジーのエッセンスは全部すり込むぞといった気迫に満ちてます。
 そういう視点では、『ブライトの憂鬱』はちょっと落ち着いていて寂しいな。

「私を月まで連れてって!」★★★★★

【超能力者】【ラブコメ】【人工知能】【タイムトラベル】【テレポート】
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「宇宙大作戦」 NBC

2007-09-12 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 視点の違いによる善悪の逆転というのを初めて認識したのはテレビの『宇宙大作戦』の「未確認惑星の岩石人間」のエピソードでしたねえ。
 善の代表としてリンカーンが出るのはいいとして、悪の代表でチンギス・ハーンが登場して極悪人っぷりを披露してます。日本じゃ、伝記が図書館に置かれたりして、どちらかといえば英雄の部類なのに、異文明に攻め寄せられた西欧からすれば800年経っても悪なのですね。やはり異民族の侵略者というのが鍵かなあ。(朝鮮半島では伊藤博文や豊臣秀吉が、ロシアじゃナポレオンが極悪人らしいし)

 今では『スタートレック』といった方が通りがいいかな。地球人類が国境とか人種の壁を乗り越えて銀河宇宙に進出し、さまざまな異星人との外交も本格化している未来。宇宙船エンタープライズ号による探査の旅を描いたTVシリーズ。今なお人気があり、それはワールドコンNippon2007においてミスター・カトウ役のジョージ・タケイのサイン会に長蛇の列ができたことからも判ります。でも、作品としてどうこういう以前に歴史的意義を尊重しなくちゃいけないシロモノであるってことは、竹宮恵子の『私を月まで連れてって! 』に詳しいはず。
 でも、ぼくらの時代はあくまで邦題『宇宙大作戦』であって、小学生は放課後や休み時間には「宇宙大作戦」ゴッコをして遊んだりしていたのだ。そしてミスター・スポック役になったら誰に何をされても笑ってはいけなくて、カーク船長になったらムチを振り回して他の者を追いかけ回さなくてはならなかったのだ。ホントだよ。

「宇宙大作戦」★★★★★

【超文明】【惑星探査】
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「マグマ大使」 ピープロ

2007-09-12 | 巨大ロボット
 ピープロといえば代表作は『マグマ大使』。

 宇宙の帝王ゴアが地球を支配せんと乗り込んできた。そして無血占領してやろうと、1人の新聞記者を呼び寄せ自らの力を見せつけるが、記者本人はともかく周りは写真があっても信じようとはしない(当然だね)。そこでゴアはクリントンとともに宇宙怪獣を使って侵攻を開始する。
 ところで、地球には神様がいる。実のところをいえば、どの星にもそれぞれの星を創造した神様がおらっしゃられる。そこで地球の創造者であり守護者であるアース様は、マグマの力を与えたロケット人間のマグマ、その妻モル、そして新聞記者の息子マモルをコピーして造ったガムの3人に地球を守るよう命じられたのである。


 原作はマンガの神様、手塚治虫。マグマ大使や帝王ゴアのキャラクターはインパクトが強く人気も高かったため、今でもときおりケーブルテレビで放映されていますし、数年前にはOVAで新作が作られています(主題歌を歌ったのがオリンポス32歌神というのが泣かせます)。
 しかし3話で1エピソードが完結する形式ですが、それ以上に伏線を引っ張るエピソードは多かったですね。中でも、ニンゲンモドキと青血病のエピソードは有名です。
 ニンゲンモドキとはゴアの手下の全身黒ずくめの人間に似た生き物です。特定の人間と顔かたちや話し方まで瓜二つとなり、人間と入れ替わって侵略を進めていくのですがやられると溶けてしまいます。
 一方、青血病とは血が突如として青くなる病気で、患者は身体が硬直してロウ人形のようになってしまいます。原因も治療法も不明の病気が発生し、それが唯一治療できるとされる病院に入院すると間もなく退院してくるけれど、実はそれは本人と入れ替わったニセモノだったという筋書きです。
 心臓の動くロウ人形が山積みされ、廃棄されようとするシーンなんて、今だったらクトゥルフみたいなホラーになるんでないかな。

【ロケット人間】【子供好き】【オレンジカビ】
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