
トレジャー・ハンター系の話って好きなんですよ。ハリソン・フォードの『インディ・ジョーンズ』とか岡崎武士の『EXPRORER WOMAN RAY』とか菊池秀行の『エイリアン』とか。『ダディフェイス』のシリーズもそうですね。
貧乏大学生・草刈鷲士のもとへ現れた美少女は、自分が鷲士の実の娘だと宣言した。13年前、離ればなれになった幼なじみとの一夜の結果生まれた子供だというのだ。そんなこと信じられるかと思う暇もなく矢継ぎ早に襲いかかる謎の刺客。どうやら彼が偶然手にした、竹取の翁と鬼の謎に言及した稗田阿礼の私本を狙っているらしいのだが、襲撃者は誰もが口をそろえて、お前こそがダーティ・フェイスだと主張するのだ。
本人にはまったく身に覚えがないことなのだが、草刈鷲士こそはコードネームを<ダーティ・フェイス>という凄腕のトレジャーハンターであり、12の国家を滅ぼし、4つの歴史的遺跡を壊滅させた男、ナイフから戦闘機まですべての兵器を使いこなす古武道の達人だと誰もが主張するのだ。そんなことないのに…。
かくして彼と娘…と主張するところの結城美沙、それに学園のアイドル麻当美貴は、隠された秘宝をめぐる争奪戦に巻き込まれ、どこまでもどこまでも転がっていくのだった…。
宝探しが主題であったり主人公である小説は多いです。スティーブンソンの『宝島』みたいな海賊物であるとか、ハガードの『洞窟の女王』のような秘境探検物。インディー・ジョーンズの映画などのノヴェライズもそうですか。
けれど、そうした冒険小説の流れとは近くて異なる場所、主にライトノベルというジャンルを中心に、最近になって散見されるようになった<トレジャー・ハンター物>は少々毛色が異なっているような気がします。
このジャンルの代表は、やはり菊地秀行のエイリアン・シリーズですね。あるいは『アルテミス・ファウル』といった海外作品も含めて良いかも知れません。こうした作品では、まだ子供であるはずの少年少女が最先端のハイテク機器から最新兵器までを駆使して、普通の人々が伝説だおとぎ話だと相手にしない中から手がかりをつかみ、莫大な財宝を手に入れるため未曾有の危険に立ち向かうというストーリー。
そしてこの作品もまた、そのセオリーに従って展開します。
超兵器を無造作に使いこなし、腕利きの兵士を簡単に倒してしまい、大人の権力者すらひれ伏す主人公たち。そこで終わってしまったら、ただの子供の願望充足小説だけれど、ハイテクも札束もやがて役に立たなくなるときが来ます。そして頼れるものが自分だけになったときに現れる敵こそ、最大の危機であり、それをいかに身一つで乗り切るかで主人公の格が決まるのです。やはり最後に物をいうのは、おのれの肉体と知恵と勇気なのです。
ただメデューサ編は大風呂敷を広げたかなあという気がします。一度にあれこれやり過ぎだ。畳むのがタイヘンだと思うな。
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