「死ぬときに血を流すということが、われわれを人間らしくしているのだ」
医師チャールズ・バートンの言葉。
まだ子供の頃、この作品を原作にした映画の広告が下段ぶち抜きで新聞に掲載されていました。それはいかにも恐ろしげで、子供心に怯えてしまったものです。映画は観ることなく終わってしまい、それから何年かして原作を手に取ることになります。
文庫を出している早川書房は、作品が映画化されるとジャケットをすぐに映画スチールに差し替え、ほとぼりが冷めるとまた(元の表紙に戻さずに)別のイラストにすると仲間内では不評でした。だって、そうすると3種類揃えないといけないじゃないか……。
それはともかく、購入したときの表紙は映画の1シーンを切り出したもので、真っ青な青空の下、真っ白な気密服に身を包んだ医師が赤ん坊を抱き上げているという、作品を象徴するシーンでした。その選択には文句はないよね。
地球へ帰還した人工衛星を回収に向かった軍のチームと連絡が途絶。前後して周辺の街で奇妙な事件が発生する。そして調査に発進した偵察機のカメラは、すべての人間が死に絶えたように見える街の光景を映し出した。
なんらかの汚染が発生したと判断されるや、ワイルドファイア警報が発令された。事前に定められていた手続きに従って秘密裏に招集されたメンバーは、人里離れた砂漠の地下に建設された研究施設にて原因の究明と解決に取り組むことになった……。
……ということで、科学者たちが科学的な危機に立ち向かった5日間の記録という形で、細菌汚染の顛末について語られます。50人以上の人々が突然気が狂ったようになって死んでしまった中で、なぜ酔いどれの老人と赤ん坊だけが生き残ったのか。未知の病原体と研究チームの戦いが繰り広げられ、オッドマン理論や細菌戦による被害予想シミュレータのデータとか、虚実も定かでない理論やデータがぶち込まれ、妙なリアリティを醸し出しています。
あと、この作品の大きな魅力の1つは、農業試験場地下に設置されたワイルドファイア研究所にあります。ほとんど研究施設の中だけで話が進むので、この舞台に魅力がないと面白くないわけですが、期待に十分応えてくれます。(同時期の「謎の円盤UFO」でも見られた)カムフラージュされた部屋ごと降下するエレベータとか、瞬間的に全身の皮膚を焼き払う消毒システムとか、マニピュレータとか隔離エリアの作業システムとか、秘密基地としての外連味もたっぷり。
書庫整理をしていて他のバージョンも出てきたので、表紙イラストを掲載。
右が映画化に合わせて文庫化されたときの表紙、真ん中がペーパーバック版、左が復刻された文庫版。(2017/11/21)
【アンドロメダ病原体】【マイクル・クライトン】【ハヤカワ文庫SF】【バイオハザード】【自爆装置】【地下秘密基地】【細菌戦】【核兵器】【プリンター】
医師チャールズ・バートンの言葉。
まだ子供の頃、この作品を原作にした映画の広告が下段ぶち抜きで新聞に掲載されていました。それはいかにも恐ろしげで、子供心に怯えてしまったものです。映画は観ることなく終わってしまい、それから何年かして原作を手に取ることになります。
文庫を出している早川書房は、作品が映画化されるとジャケットをすぐに映画スチールに差し替え、ほとぼりが冷めるとまた(元の表紙に戻さずに)別のイラストにすると仲間内では不評でした。だって、そうすると3種類揃えないといけないじゃないか……。
それはともかく、購入したときの表紙は映画の1シーンを切り出したもので、真っ青な青空の下、真っ白な気密服に身を包んだ医師が赤ん坊を抱き上げているという、作品を象徴するシーンでした。その選択には文句はないよね。
地球へ帰還した人工衛星を回収に向かった軍のチームと連絡が途絶。前後して周辺の街で奇妙な事件が発生する。そして調査に発進した偵察機のカメラは、すべての人間が死に絶えたように見える街の光景を映し出した。
なんらかの汚染が発生したと判断されるや、ワイルドファイア警報が発令された。事前に定められていた手続きに従って秘密裏に招集されたメンバーは、人里離れた砂漠の地下に建設された研究施設にて原因の究明と解決に取り組むことになった……。
……ということで、科学者たちが科学的な危機に立ち向かった5日間の記録という形で、細菌汚染の顛末について語られます。50人以上の人々が突然気が狂ったようになって死んでしまった中で、なぜ酔いどれの老人と赤ん坊だけが生き残ったのか。未知の病原体と研究チームの戦いが繰り広げられ、オッドマン理論や細菌戦による被害予想シミュレータのデータとか、虚実も定かでない理論やデータがぶち込まれ、妙なリアリティを醸し出しています。
あと、この作品の大きな魅力の1つは、農業試験場地下に設置されたワイルドファイア研究所にあります。ほとんど研究施設の中だけで話が進むので、この舞台に魅力がないと面白くないわけですが、期待に十分応えてくれます。(同時期の「謎の円盤UFO」でも見られた)カムフラージュされた部屋ごと降下するエレベータとか、瞬間的に全身の皮膚を焼き払う消毒システムとか、マニピュレータとか隔離エリアの作業システムとか、秘密基地としての外連味もたっぷり。
書庫整理をしていて他のバージョンも出てきたので、表紙イラストを掲載。
右が映画化に合わせて文庫化されたときの表紙、真ん中がペーパーバック版、左が復刻された文庫版。(2017/11/21)
【アンドロメダ病原体】【マイクル・クライトン】【ハヤカワ文庫SF】【バイオハザード】【自爆装置】【地下秘密基地】【細菌戦】【核兵器】【プリンター】