付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「明治の人物誌」 星新一

2007-09-18 | 伝記・ノンフィクション
 近代国家としての日本が形成されつつあった明治期に活躍した9人の伝記集。『西国立志編』を翻訳し、日本人の勤勉性に1つの方向付けを与えた中村正直。『武士道』を著した新渡戸稲造。電気・鉄道事業を推進し、銀行家として企業への融資を推進した岩下清周。政争で陥れられた人々を救うために奔走した弁護士、花井卓蔵。壮大なビジョンを実現させようとする官吏であり、東京放送局(後のNHK)総裁となり、日本ボーイスカウトの初代総長となった後藤新平。その他、伊藤博文、野口英世、トーマス・エジソン等々。
 その共通点は、作者の父である星一と交友があるなり、人生の一点で交差した人々。つまり彼らを描くことで明治を描き、そして政争に巻き込まれ、冤罪で地位や財産を失った父親の軌跡を描くことにもなるわけです。
 近代日本史の復習という意味でも一読の価値有りです。

「明治の人物誌」★★★★

【政争】【マスコミ】
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「ウニバーサル・スタジオ」 北野勇作

2007-09-18 | その他SF(スコシフシギとかも)
 ウニの形をした巨大なテーマパークには、通天閣からタコ焼き、果ては阪神タイガース優勝を祝っての道頓堀ダイブまで、さまざまなアトラクションが詰め込まれた夢の世界。
 でも、その裏方ではカーネル・サンダース軍曹から何でも塗ってしまう針子さんまでさまざまなアクターやスタッフが動いていて、アトラクションで死亡したアルバイトもそのままスタジオに吸収されて同化していくのです……。

 人類滅亡後“今は無き”大阪を再現したテーマパークでの、悪乗りでブラックでシュールなスケッチの数々。こういうノリにはついていくのは難しい年頃になりました。

【ウニバーサル・スタジオ】【北野勇作】【カエル】【ナメクジ】【ネズミ】【終末】
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「図解 焚火料理大全」 本山賢司

2007-09-18 | 食・料理
 新聞の生活欄を読んでいたら、下に小さく囲み記事があって旬の魚について書かれてました。
 でも、読んでいてつまらない。単に魚についての情報をまとめただけのものでした。そこには、魚のいる風景も人の姿も見えず、かといって調理法とか生態とか、魚について詳しくなるほどの知識もなく、でも筆者の肩書きはエッセイストであり栄養士。紙面の穴埋めとしか思えませんでした。

 さて、『焚火料理大全』です。焚き火の周りで……というより、どこでも手軽に作れる料理の作り方から焚き火の起こし方まで書きつづった1冊。なんか、あっちこっちで野宿しながら、旬の物、地のモノを味わってるんだろうなあと思わせる記事の数々。かといって、そればかりではないのが、「コッフェル揚げうどん」なる料理の材料がサバの缶詰とうどん玉しかつかわないような料理も堂々と載っているところ。
 うちの長男の参考になるよと貸してもらった本だけれど、ちょっと渡すのをためらってたりします。なにせ、うちの坊主は気に入ったら実践して作ろうとするんで、野外で食べてなんぼの料理、下宿生活で食うものに不自由したときに重宝しそうな料理を作られても困るんだよなー。

【図解 焚火料理大全】【本山賢司】【焚き火】【男の料理】
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「妖魔軍団」 菊地秀行

2007-09-18 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 妖魔招喚の地を叩きつぶすため、西日本へと旅立った念法の達人・工藤明彦を迎え撃つのは、独裁者ヒトラーがこの世に遺した奇怪な怪物軍団。その陰に暗躍する、魔道士・淫藤。
 この戦いに、自衛隊の超能力部隊が介入するのだが……。

 昔、『バタリアン』というゾンビ映画があり、それをもじった「オバタリアン」という言葉が流行し、類似品で「ジベタリアン」とか「ベジタリアン」とかいう言葉も生まれました(違います)。
 映画の方は走り回るゾンビの大軍勢が登場するものでしたが、『バタリアン』と聞いてパッと連想するのは「ラストバタリオン」の方かな。
 世界の命運を左右すると言われる「ナチスドイツ最後にして最強の大隊」は、あるときは単なるハッタリとか宣伝の産物といわれ、またあるときは南米や南極に潜伏してUFOを建造しているともいわれる、大いなるネタの宝庫。
 菊地秀行の妖魔シリーズ2作目『妖魔軍団』では本当に妖怪変化の軍団。復活させられたナチス第三帝国のラスト・バタリアンが念法使いの工藤明彦に襲いかかり、日本国内で勝手なマネはさせないとばかり自衛隊の超人軍団も迎え撃ち、三つどもえ四つども絵の死闘が繰り広げられます。まだ、山田風太郎の影響が強い一作。

 同じように平野耕太の『ヘルシング』では文字通りの吸血鬼部隊になっていましたし、そういえば『仮面ライダー』に登場する悪の組織ショッカーもナチスの生き残りという設定でしたから、わたしらの世代では超人…というよりバケモノばかり集めた部隊というのが共通認識なのかも。

【妖魔軍団】【菊地秀行】【カッパ・ノベルス】【念法】【ナチス】【妖魔シリーズ】
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「ソビエト空軍の誕生」 デアゴスティーニ

2007-09-18 | 戦記・戦史・軍事
 新古書店でデアゴスティーニのエアコンバットDVDコレクション『ソビエト空軍の誕生』を購入。「どれでも3本1980円」のセットだったけれど、資料系はそれくらいで、あとはモノクロ映画やエアロビクスとか子供向けの乗り物番組とか。あまり欲しいのがなかったので、日本を舞台にした怪しいスパイ映画『日本の血気』と連続活劇の方の『フラッシュゴードン』を抱き合わせ。ま、使い処はあろう。
 で、帝政ロシア空軍から第二次大戦までがビデオ内容だけれど、分数合わせというか関連資料というか、ヒトラーの軍事パレードとかスターリンが仕切る議会の様子とかあれこれ入っていて、けっこうお得。全部揃えても良かったかなと思ったけれど、よく見れば他は冷戦期からベトナム戦争や湾岸戦争等が中心のラインナップなので、結果的に唯一欲しかったDVDだけ割安に手に入れた計算。
 よかった☆
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