付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「湘南爆走族(10)」 吉田聡

2011-08-01 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 あとさき考えずに行動して周囲に迷惑をかけるやつは大嫌いだし、暴力で全て解決するなんて論外。ましてや、そんな人間をメインに据えた話なんて見たくもないのですが、『湘南爆走族』だけは読んでしまいますねえ。
 勝手に好き嫌いを決めて、それに適当に例外を作るなんて、どうしようもない!(面白いから仕方がないんだよ……)

 さて、この10巻が出たのは昭和51年(大昔だw)。
 やっていることは今も昔も変わらない学園ラブコメディ+バイオレンスなのだけれど、印象的なのは「あたし」「おたく」「ソレガシ」「セッシャ」とどこか浮いた一人称や二人称を駆使し、マニアックだけれど意味のない会話をかわすモデルガン・マニアの高校生集団の登場シーン。
 『超時空要塞マクロス』で一条ヒカルがヒロイン相手に「おたく」と呼びかけるのは、このさらに6年後のこと。マクロスがオンエアされている頃は「オタク」という言葉が格好良かったなどという説もあるみたいだけれど、一般誌では既に「特殊な嗜好の気持ち悪い連中が使う言葉」という認識だったのですね。

【湘南爆走族】【吉田聡】【デコピン】【夏休みの終わり】【文化祭】【ロックンロール】【男女交際】
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「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(2)」 渡航

2011-08-01 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「愛も勇気も友達なんかじゃない」
 優しい女の子もボールも不要だと比企谷八幡。

 雪ノ下はもちろんとして、実は比企谷も成績はそんなに悪くない。友達がいないから、勉強くらいしかすることがないからだ。
 そこで正真正銘お馬鹿な☆★ゆい★☆は勉強会を開こうと提案するのだが……。

 友達のいない少年少女が「奉仕部」という場を与えられ、他の生徒の悩みを解決しながら自分自身の居場所をさぐっていく話……なのかな。ありきたりのパターンに陥らず、3歩進んで2歩下がるような人間関係を構築していく物語。
 知らない間に小さく広がる友達の輪、それを疑心暗鬼から自ら壊してしまったヒッキーですが、次回ゆいのターンがどう動くか、注目して待ちたいと思います。こういう話こそ、国語の教科書に載せて欲しいもんです。青春の鬱屈さ加減とか自己中心ぶりでは、『心』とか『舞姫』あたりに負けてません。それで笑えるんだから最高です。
 ドリンクバーを知らない雪ノ下さんとか、心底お馬鹿な由比ヶ浜さんとかもよろしいですが、いちばんの萌えキャラがとってもかわいらしい戸塚くんというのが間違っている気はしますが。

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】【渡航】【ぽんかん⑧】【奉仕部】【スクライド】【朝チュン】【アホ毛】【妹】【千葉県横断ウルトラクイズ】【メイドカフェ】
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「クマさんの四季」 和田慎二

2011-08-01 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 うちの相方が子供の頃『クマさんの四季』が好きで、誕生祝いに買ってもらったとのことで、思わず「いいなー!」と言ってしまいました。私は高くて買えなかったし、そもそもそこらの町の本屋には置いてなかったのです。
 ハードカバー(箱付き)のメルヘンの本で、児童書や絵本では珍しくも何ともないけれど、コミックではなかなかお目にかかれない、登場人物がすべて擬人化された動物の物語。

 ウラルの森の奥に、クマさんの森と呼ばれる場所があった。
 そこはオオカミもキツネもウサギもシカも、みんな仲良く暮らしていたけれど、それはたまたまそういう場所があったというわけではなく、みんなが協力して生きる努力をしていたからこそ成立していたのだ……。

「仲間と助けあいいっしょに冬をのりきるのも、ひとりで生きるのと同じように、やはり戦いなのだ」

 メルヘンってものは残酷なものというのが昨今の常識ではあるけれど、和田慎二には珍しく残酷描写のない作品。ただ、楽園は楽園として最初からあるのではなく、その維持に努力する気のない者は出ていかねばならないというあたりの厳しさははっきり描かれています。

【クマさんの四季】【和田慎二】【世代交代】
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