付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「僕と彼女のゲーム戦争」 師走トオル

2011-08-05 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 面白い話にへたなイラストがつくことは良くあっても、巧いイラストがへたな小説につくことはまずなく、そんなイラストレイターが担当になったということは、編集サイドでもイチオシの作品と考えて良いのかな。情報量があって、キャラが可愛くて、構図も1枚1枚考えられていて、背景まで手を抜かずに描き込むイラストレイターは尊敬します(ゲームの原画もやっている人だけれど、この数年でかなり絵柄が変わってない?)。

 伊豆野宮学園はほんの数年前までは女子校で、今も生徒の大半は女子生徒のお嬢さま学校。岸嶺健吾のような男子生徒の存在価値は、同じ年頃の異性が身近にいないまま卒業しないようにというサンプルのようなものだ。
 それでも友達らしい友達もいなく、図書館の本もあらかた読み尽くしてしまった健吾には、伊豆野宮への転入にはたいした抵抗はなかった。
 そんな伊豆野宮学園で彼が出会ったのは、凛々しい生徒会長にして隠れゲーマーの天道しのぶ。生まれてこの方ゲームなどしたことのなかった健吾は、なかば員数合わせで現代遊戯部に仮入部することになったのだが……。

「チームプレイとか勝ち負けとか、そういうのはいいの。あたしは人を撃ちたいの!」
 4人目の少女の口癖。

 FPSは“ふっと気を抜くとパーンと撃たれてすぐ死ぬゲーム”の略ね。憶えました!
 地域振興券が文化振興券になった世界の物語。どこが違うのかと思わないではないけれど、実はこれが物凄い歴史のターニングポイント。なんてすばらしい歴史改変もの!?
 ほんのちょっとだけ、現実よりもゲームが社会的地位を築いている時代。今までゲームなどやったこともなく、友達もいなかった少年が意外な才覚を発揮してゲーム界で台頭していく成長物語で、王道のストーリーをやっている気がします。
 『ソリッドファイター』とはまた別のベクトルで面白いゲーム小説。顔見せ程度のライバルたちも含めて続きが楽しみです。

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コメント
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