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側用人・柳沢吉保は、この事件の謎を探るべく、屍僕の発生源と思しき仙台藩の調査を俳諧師・松尾芭蕉に命じたのだが……。
松尾芭蕉が弟子の曾良と俳句を詠みながら奥の細道を旅する話なのだけれど、行く先々にゾンビがあふれ死屍累々。しかも芭蕉は風流心で言動がおかしくなっている美形忍者で、曾良といえばゾンビとなったので殺してしまった姉の代わりに鉄のブラをつけて女装する男の娘という、二重三重にトンデモないサバイバルホラー。で、この状況で、ちゃんと句を詠むのが凄い(笑)。
というか、長男も妻も知らなかったのだけれど、松尾芭蕉には忍者説があるのです。記録から見ると芭蕉の移動速度は常人を超えているので(昭和になって発見された曾良の方の記録と照合すると、芭蕉は旅日記すら創作していたふしがあるのだけれど……)。
そんな俗説に正面から挑んだ怪作。
「風景も人も、そのまま放置がいいんだ。放置遊戯が一番」
松尾芭蕉が曾良に向けた言葉。空のように自由に生きろと言うのだけれど、単なるS趣味にしか思えないのがこの作品の特色。
「芭蕉の旅はこれからだっ!」とばかり、すげーところでぶったぎって決着。2作目もあるというか、ゾンビ映画っぽいというか。
個人的には、史実や原作にしっかりはめ込んでしまった『ヴァンパイアハンター・リンカーン』や『高慢と偏見とゾンビ』より、開き直ってパンクにしてしまったこっちの方が好きかも。巻頭で予告編的にコミックが載っているのもイメージするのに最適です。
【奥の細道・オブ・ザ・デッド】【森晶麿】【天辰公瞭】【巫女】【尼僧】【遊女】【奥州藤原】【腐女子】【平泉】