ある日の新聞広告が目に着いた。「世界遺産大森銀山1万円」これは魅力だった。世界遺産になる前から行ってみたい場所だったからである。今の私にはおいそれとは簡単に行くことの出来ない場所だったからである。このことを妻に話したところ一緒に行こうとあっけらかんとした答えが返ってきた。私はツァーなどというものは初めてである。団体行動なるものが好きではない。しかし、銀山ならばどうしてもという気になった。
新幹線「こだま」で新山口へ行き、そこからはバスである。
貸切バスだ。何十年も前だな。こうして乗ってゆくのも。総勢38名。私を除いて他の37名はそれなりの経験があるようだった。
説明によると、現地ではガイドが付く。我々にガイドが付いてくるのか、ガイドに我々が付いて行くのか、恐らくは後者になるのである。そこが問題だ。自由行動が出来ない。撮りたい写真が撮れない。行きたい所には行けず、行きたくない所には行かねばならん。はてさてどうしたものか。いつの間にかねむってしまった。