先週、横浜のダイヤモンド地下街に行く機会があり、たまたまやっていた古本市を覗いたら、読書欲をそそる本がざくざくあって、10冊以上、買ってしまった。たまたまそこに出展していた古本屋の主人と、趣味があったのか。ブックオフとの対比誤差か。
本書は、そこで買った一冊。私が、大学に入ったころに出た、横尾忠則さんのインド旅行記だ。
横尾さんに私が出会ったのは、ビートルズのLPを買って、横尾さんの描いたビートルズのポスターがついて来た時だ。
横尾さんが、インドに行くようになったのも、ビートルズが、インドに行って大変身を遂げたことがきっかけだったという。
本書は、カシミールに行った時の旅行記が中心。椎名誠さんぐらい能弁に、インドの体験を語ってくれる。横尾さんが、こんなに能弁とは。
途中から、最初にインドに行った時の話が、入ってくる。あの篠山紀信さんと一緒だったそうだ。当時から、この前亡くなられたサイババさんが有名で、田舎に行くと、篠山さんは、あのアフロヘアーで、サイババで通ったそうだ。
学生の頃読みふけった三島さんとの対話も出て来る。事件の3日前も三島さんと電話で話して、インドに行けるお許しをいただいたそうだ。それまでは、インドはまだ早いと言われていた。
カトマンズでは、ボドナートを目指したが、たどり着けなかったという。モンキーテンプルまでは行ったとあるので、スワヤンブナートの方の麓まで行って、山を登る前に、見つからないと諦めてしまったらしい。いずれにしても、残念。横尾さんが、あの仏塔を見ていたら、また違ったアートが生まれていたかもしれない。
本の装丁もすごい。表紙、裏表紙もインパクト大だが、中を開けるとインドに因んだ写真のコラージュの上に、本文中の一節が、上下、左右なく、散りばめられている。本を360度回しながらしか読めないから、インドの曼荼羅の中にいきなり放り込まれたような感覚に陥る。
ちなみに、”インドへ”という何の変哲もない題名の本だが、”なぜぼくはインドに行くのか”とか、”インド大宇宙の旅”とか、いろいろ案はあったらしい。いろいろかぶってしまい、結局、全部取っ払って、”インドへ”という題名になったそうだ。
偶然見つけた本だが、私の経験と、何度も絡み合い、びっくりした。500円也。