またまた出たビートルズ本。
この本は、フロムビー編集による、全編書き下ろしだが、対象が、散々書かれていた内容で、目の覚めるような驚きはない。
ただ、日本人のビートルズ研究の先端を走っている著者が名を連ねており、それなりの面白さはある。
ビートルズ初心者には、ちょっとディープだが、ビートルズのコアファンには、ちょっと物足りないというレベルだろうか。
最初の、広田さん、杉さん、坂崎さん、ピーターさん、川原さんのエッセイは流石。
その次の、木屋さんのビートルズの歌分析は、思い入れはわかるが、やや主観に過ぎる?
本書のコンテンツと言えるビートルズを極めるのコーナーの内、①音楽遺産の全貌コーナーをどう捉えるかは、読者のレベルによるだろう。
ずっとビートルズと付き合ってきた私の立場からは、いまさらという内容?
最終章の、②全作品の鑑賞ポイントは、サウンド解説が面白かった。既出の材料を組み合わせたと思われるが、臨場感あふれる書きぶりに好感を覚える。
概説、楽曲解説は、スペースの限界もあり、ちょっと食い足りないか。
ということで、ビートルズの全体像を、ビートルズ最先端の情報を駆使し、改めてまとめたという点で評価できるが、あまりにも、情報が氾濫していて、その中で、きらりと光るほどでもない。
20年前に本書が出たら、世の中大騒ぎになるほど、ディープな内容だ。