かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

三島由紀夫「最後の1400日」

2020年12月28日 | Books
今日は、仕事納め。
午前で切り上げて、恒例の伊豆に来た。
見た目は変わらないんだけど。
本当に今年は、たいへんな年になってしまった。
その中でも、どうにかやって来たんだけど。



本書は、新聞の広告で見つけて、ゲット。

今年は、三島由紀夫没後50年ということで、多くの本が出ているが、本書は、盾フ会のナンバー2である本多氏によるもので、インサイダーど真ん中の人物の書であり、興味深々(他にも読みたい本は多く出ているが、値段が高いものも多く、この辺でとどめる予定)。

本多氏は、他にも著作があるようだが、私にとっては、初めて読んだ本で、面白かった。
三島由紀夫は、本当に謎多き人物で、先月の文件t秋では、同じような系統の思想を持っているかもしれない石原慎太郎氏も、けちょんけちょんにけなしていた。

では、本当に何を考えていたのか。
三島由紀夫の心の内面まではわからないものの、遺書を託された本多氏の見立てを、なるべく客観的に、かつ、ユニークな写真も添えて、著されている。

本書を読むと、元々、天皇が、軍を統率していた戦前の日本をイメージしつつ、諸外国のケースも研究し、本気で、日本を作り替えるため、自衛隊も巻き込んで、クーデターを起こそうと、当初はしていた姿が浮かんでくる。

当時、左翼が、争乱を起こし、その背後には、ロシア、中共の影もちらつく中、幻想が実現できるのではないかと、本気で信じていた節がある。
ところが、左翼が、過激化し、内部分裂し、勢力が弱まり、自衛隊も、そこまで盾フ会に肩入れできるわけもなく、行き場所がなくなり、11月25日に突っ走ることになったのではないかと読みとれる。

本多氏は、事件の前に、三島由紀夫に仲人を引き受けてもらっており、そのため自爆の仲間からはずされ、遺書を預かる立場になった。
この珍妙な事件にもかかわらず、その計画は、時間をかけ、用意周到であり、事件の不思議さと、そこに至る精緻な計画は、とても、同一人物によるものとは信じられない。

古代史に造詣が深いのにも、驚かされた。大和朝廷が勢力を強めていく中で、天皇家(もしくは、その先祖とされる神々)がどのような役割を演じたかが、中心だが。

今でもこの事件が思い出されるのは、今の世界情勢が、三島由紀夫のいた時代と、また似てきているからだろう。
それは、ジョンレノンが、政治活動にのめりこんでいた時代とも共通する。

三島由紀夫は、左翼との議論で、日本を変えようとしている点では、思想は、共通と言っている。
やり方は、違うけど。

当時の三島由紀夫の思想を読み取るヒントを多く与えてくれる点で、貴重な1冊だと思う。
コメント
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