かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

王羲之と顔真卿

2021年01月20日 | Books


本書は、太陽別冊で、興味のある本を探す中で、ゲット。
ちょうど2年前に開催されていた顔真卿展に合わせて、出ていたようだ。

編集者は、漢文の素養がないと謙遜されているが、そのようなアマチュアに打ってつけの、書道導入本になっている。

取り上げるのは、主に、王義之と顔真卿であるが、その周辺、特に、行書、楷書の創成期の日中の書道家について、バランスよく解説してあるほか、その他の知識、例えば、拓本の取り方とか、諸書法についても、適度に触れられており、本書1冊読めば、書道の基礎知識を一通り得ることができるようになっている。

それにしても、2年前の顔真卿展はすごかった。
台湾でもめったに拝む機会のない逸品を、じっくりと鑑賞できたのだから。
その他にも、中国の名品が、日本の各所に保存されていることに驚く。
それほど、中国の書へのあこがれが、時代を問わず、強かった。
正倉院にも、多くが失われてしまったが、唐から持ち込まれた超一流の書が収められていた。

本書を見て思うのは、まさに今我々が使っている漢字が確立したのが、王義之の書を基本にして発展させた唐時代の書家によるもので、それが、遣唐使により輸入され、定着したということ。
そして、それを、空海、嵯峨天皇、橘逸勢(たちばなのはやなり)の3筆が確立させ、小野道風(おののみちかぜ)、藤原佐理(ふじわらのすけまさ)、藤原行成(ふじわらのゆきなり)が、行書、草書も織り交ぜた書体に発展させ、和様(ひらがな)の書に昇華させた。
遣唐使の時代が終わり、日本独自の文化の花が咲いた。

書とは?と思われる方は、是非、まず本書をお勧めしたい。
写真類がきれいなので、印象にも残ると思う。
コメント
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