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何と、本屋で、『別冊太陽 渋沢栄一』を見つけた。
まだ出たばかり。
いろいろ縁の深い渋沢栄一の本が、最近、はまっている別冊太陽から出るなんて、予想だにしていなかった。
どちらかというと美術っぽい企画が多いので、伝記的企画は、そぐわないと思っていたのだが。
読んでみたら、さすがに、文章が多いが、監修者の力か、このサイズにして、最高の編集で、バランスもよく、内容も充実していた。
最後の方に、渋沢栄一を知るためのブックガイドがついているが、コンパクトにまとめた『渋沢栄一 近代日本社会の創造者』を除いて、一番コンパクトで、かつわかりやすくまとまっている1冊ではないかと思われる。
リニューアル前の渋沢記念館の展示や、建築がメインになっているが、それ以外にも、ゆかりの地や、ゆかりの品々、写真類が満載で、説明を読みながら、めくると、渋沢栄一の波乱万丈の生涯、近代日本に対する大きすぎる貢献が伝わってくる。
相当の胆力がないと、これだけのことを成し遂げることはできない。
岩崎弥太郎との確執は、痛快だ。
論語とそろばんを地で行った感じ。
論語だけでは食っていけないわけで、投機を経済発展に資するものと肯定しつつ、自らは、行司役に徹するという清らかさ。
しかしその姿勢が評価され、どんどんと新たなビジネスチャンスが舞い込んで、それが社会の発展に資すると思えば、どんどん受けて立った。
喜寿を過ぎてからは、会社の役員の大半は退任し、貢献活動と、世界の平和活動に徹した。
平和活動は、結局、日本軍の暴走により、実らなかったわけだが、もし、本当の世界平和につながっていたら、ノーベル賞ものだった。実際、候補にも上っていたという。
田園都市構想については、うまくいったものかと思っていたが、本書では、五島慶太の商売に利用されたというとらえ方をしている。
それまで日本になかったコンセプトの街ができたのだから、成果の一つととらえていいような気もするが。
本書を機に、また何冊かゲットしたので、おいおい紹介していきたい。