CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

斬恨の剣 仇討ち異聞

2010-11-22 21:34:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
斬恨の剣 仇討ち異聞  作:神室磐司

久しぶりに読んだ新作時代小説であります
どうやらデビュー作なんだそうで、
なかなか楽しんで読めました
個人的に大好きな部類である、仇討ちをテーマにしてまして、
最近の涙腺弱りまくりの私には
ほどよい内容で、思わずぐっと涙目になったりして素晴らしかったのであります

大きなスペクタルとか、カタルシスとか、
なんか、凄い動向が詰め込まれているというではなく、
仇討ちに巻き込まれて、やだなぁと思いつつも
結局やらざるを得なくなり、その覚悟をだんだんと固めていく
まぁ、そういったところのお話で
本当、凄い面白い、凄いよかったとか
そういう大感動とはほど遠い感じ
でも、陰惨であったり、無闇に悲しいといったこともなくて、
凄く読みやすくよいお話でありました

時期としては、仇討ちの本懐と読んでいいのか、
赤穂浪士の話しとリンクしておりまして
それの異聞も含めつつ進むのでありますが、
正直、その部分はほとんど重要でなくて
というか、むしろ、関係ないなぁという程度で、
対比として見えるだけといったところ
仇討ち、あの事件がどうであったかというのは
なんとなし、馬鹿馬鹿しいとはいえないが、なんとも
やるせないそれであると示して
それと同じ道をいく主人公のやるせなさを
よくよく表していたという役割であったように思います

個人的にはもう少しチャンバラ要素が欲しかったなぁと思ったりもしましたが、
相手は居合いの達人、それに、そこそこ剣が使える程度で挑む、
どんな闘いになるかと思えば、なるほどと思える内容で、
このオチだからこそ、全体の鬱屈でもないけど
すかっとしない感じが、悪い意味でなく
ゆるやかに話しが進むといったところに帰結するというか、
下手な殺陣見せられるよりは
よほど面白かったと思ったのでありました

なんとなく、全部が、まずまず
ほどほどのところに落ち着いた
そういうお話で、
落ち着いて、とっくり読める小説でありましたとさ