CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】スウィングしなけりゃ意味がない

2017-09-26 21:01:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
スウィングしなけりゃ意味がない  作:佐藤 亜紀

二次大戦下のドイツでジャズやってた、金持ちのボンボンのお話
そういう感じでまとめてしまうと、随分間の抜けた話っぽいけども、
実際は、戦時下に敵性音楽に現を抜かすという
なかなかの所業を大真面目にやっていた
若者らしいというか、青春といえば青春、さりとて戦時と
そういう哀しさもある物語でありました

ドイツ、第二の街ハンブルクで、軍需産業なんかで沸いている中、
反ナチという思想ながらも、そうはいえないという状況で、
ナチをバカにしつつ、さりとてそれをどうとすることもできず
くさくさするくらいなら、ジャズ聴いて踊りまくろうと
もう、若者がもてあました何かを
ただただ、炸裂させているという内容なんだけども、
それによって、ゲシュタポに引っ張られて、
本当にとてつもない酷い目にあったり、
ヒトラー・ユーゲントのスパイみたいな奴と
なぁなぁで付き合ってみたりだとか、
やっぱり、青春の一ページを描いている
若者群像劇なのでありました

しかし、ちょっと考えてみれば当たり前ながらも、
当時のドイツでジャズが聴かれていたということと、
題名どおり、スウィングしないなんてと思うような年頃の若者がいて、
踊り狂い、風紀を乱してと、どんちゃんしていたのは
想像に難くないところでありました
無論それを想像できるように描かれていて、
ドイツの戦時というのも、決して暗いばっかりでもなかったんだろうかなと
思わされたりしたのであります
このあたりは、まったくジャンル違うんだけども
マンガの東京物語を彷彿とさせるように思うのであります
くしくもベニーグッドマンが出てくるしね

最終的には、手ひどい爆撃にあい、様々な死に別れも発生するしと
酷い有様になっていくんだが、そこでたくましく生きて、
反体制の思想を失わず、だけども、反抗勢力として
レジスタンスしていたわけでもないと
不思議な立ち位置ながら、そこを生きて、己を通したというのか、
生き抜いた青春が描かれていて面白かったのでありました
音楽ってすげぇなぁ