CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】銀座ミツバチ物語

2017-09-27 21:00:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
銀座ミツバチ物語  著:田中 淳夫

今となってはすっかりメジャーになった感のある
銀座ミツバチプロジェクトについての本であります
その発起人の一人である著者が、立ち上げから3年間、
どのようなことがあったか、またその都度様々に経験したことや
考えたことを一冊にまとめた本でありました
養蜂の本というよりは、プロジェクト進行に関する本というか、
こんな楽しいことがあるよと
仕事について語った本のように思えるのであります

読み終わって、なるほどなぁ、目の付け所がよかったなぁと
感心しきりとなったわけでありまして、
特に銀座という土地柄が優れていて、近くに皇居やら、公園やらと
蜜源がいっぱいあるということに着目したというのが
かなり白眉でありました
実際は、このプロジェクトの養蜂指導者である藤原さんという方が
大変な尽力をされた様子でありますけども、
それを実行に移したという銀座の人たち
プロジェクト実行者たちの熱意というか、遊びながらという気持ちから
うまいこと起動にのったというのが
奇跡的といえばいいのか、ステキすぎることだなと
天晴れと思ったのであります

養蜂として、てっきりセイヨウミツバチばかり相手にしているかと思っていたら、
近くで分封したニホンミツバチもいくつか収容することになったそうで、
気付いたら、ハチ駆除者みたいな扱いをされたというのも
なかなか大変そうだなと思ったのでありますけども、
紆余曲折を経ながら、群を確実に増やして
生産量も膨大になっていった様子が、興味深いところでありました
本の中でもありましたが、農薬ととことん相性が悪いので、
里山でも養蜂が難しくなっているところ、
逆に、そういうものがない都会という盲点が
また、凄い発見だよなと思わされたのでありました

プロジェクトは、これを発端にして
古い言葉でいうスローライフ的な、できるだけ自然農法などによる生き方を
推進していく旗印にもなったようで、それはそれで
立派なことだと思ったりするのでありますが
反面というか、これが実現できるのが都会でしかありえないというのが
割とショックというか、難しいことだよなと
違う側面から驚きを覚えたのであります
農業すらも、都会にいかないとできなくなるということなのかと
そういう話であります

従来の農業とは一線を画しているのは当たり前なのでありますが、
有機でとひとくくりにする話とは別にしても、
現在農業、食料生産という立場からは、どうやっても
窒素を食べられる形に変換するという農法は変えられないジレンマがあるけど
それを否定して、少なからずの高いものでうんぬんというのは、
別の仕事や、経済があってこその内容でもあるなと
一次産業ではないそれこれだとも思わされたりした次第
えらい、珍しく難しく考えてしまいましたが
本としては、そういうことは一切なく、
ミツバチを通して、地域や、人間生活の豊かさを導いたという
ステキな成功体験が語られていて
ちょっと、携わってみたいなと思わされる
ステキなお話であったと感じたのでメモっておくのでありました

養蜂欲がどんどん高まってしまう
危ない