CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】月下のサクラ

2021-09-29 21:10:34 | 読書感想文とか読み物レビウー
月下のサクラ  作:柚月裕子

サスペンスミステリといえばいいんだろうか、
警察というか、捜査ものの一作でありました
実際にこういう係があるのかわからんが、
機動分析係という職務を得たいという女性刑事のお話
いや、まてよ、係の所属からすると刑事でもないのか、
このあたり、警察関係に詳しくないからわからんが
ともかく、そういう感じの組織のお話でありました

冒頭にその係への転属希望を受けた実地試験の描写があるんだが、
ここがなかなか面白かった、後半この展開が生きてくるかと思ったら、
確かに生きてきたけども、ふわっとした感じで
このスリリングさはもうちょっと楽しみたかったかもと思ってしまった
エンタメ系ではないから、これくらいがよいのかとも思うが
尾行描写を淡々とするだけでも
非常に面白いもんだなとすっかり冒頭から引き込まれたのであります

話は、警察署内で金銭の盗難事件が発覚して、
その捜査にあたるというところなんだが、
それがまったく別の事件とクロスしたり、
外事警察やら、公安やら絡んできたりとかして、
検察も含めて、この、一般人からするといまいち区別のつかない、
警察関係の人々(多分この書き方も当たってないんだろう)の組織間の闇みたいなのが
読み応えあって楽しかったのでありました

実際にこんなことがあるのか、
いや、これくらいの自浄作用というか、監視というものが
存在している組織なのかなと思いつつ
地道な捜査と、解決に向かうための強い意志という部分が
非常にかっこいいというか、面白いと思える内容でありました

個人的に、結果については、これはあかんのではないかと
思ってしまったんだけども
物語としては、正義とは何かについては、
これが正しいなとも思ったり、
でも実際はこうならんだろうなというか、色々考えてしまったあたり、
自分も妙に年齢を重ねたということかと
物わかりの良さみたいなのを覚えて、うすら寒くなってしまったのである

この熱血さというものが、自分には失われているのかと
思ったり考えたりしたんだが、
そういう感想を覚える物語ではないだろうとも思うのである
正義について、超えてはいけないものというものはきっとあるだろうし
そうであってほしいのだな