CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】この夏の星を見る

2023-11-15 21:01:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
この夏の星を見る  作:辻村深月

これは本当にあった話を下地にしてる?
そんな風に思いながら読んだんだが、実によい青春小説だった
コロナ禍での学生生活というテーマと舞台があるけども、
そこを乗り越えるでもない、その環境下で学生として青春を謳歌した
そういう物語が紡がれていて、まぁなんというか、ほれぼれするほど清々しくてよかった

コロナ前後という文脈で語り勝ちだけども、
実際はその瞬間、最中というのを経験していたわけで、
そこでどういったことがあったか、嫌なこと、悪いこと、
誰かが感染したとか、そういったことから始まる差別めいたものと
そういう重苦しさ、息苦しさというのも描きつつ、
その環境下でも、学生である主人公たちが、自分たちの学生生活を送る
考えてみると、当たり前のことなんだが、
結構特殊環境下での青春だなと、切り出されると気づかされるのだが
逆に、結局、どういう感じであっても、青春は青春だなと
思わされたりもしたのであった

とはいえ、この物語は、小説なのでとても綺麗で、いい話になってるわけだが、
実際はそうではないというところもあろうかと思うところ
しかし、そんなことは考えず、ただ、星を見る、捕まえるということの楽しさ
そこに没頭する若者たちという群像劇が素晴らしくて
過度に感動を押し売りすることもなく、学生風景としてのそれが
作中にもある通り、別にコロナじゃなくてもこういう活動がなされていたろうけど、
コロナをきっかけにというのが、特殊なような、
案外、人生そういうもんだったりとか考えさせられたのでありましたとさ

行動力というべきか、こういう活動をどうやるか
それを考える高校生の部活というのは、大変凄いことだなと
大人になって、特にそういう活動してこなかっただけに
感動したのであった
それだけが青春ではないのもそうなのだが、こういう青春もいいなと
そんな風に読める、心地よさがあった