CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】黄金比の縁

2023-11-29 21:05:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
黄金比の縁  作:石田夏穂

企業側の就活、人事採用を扱った小説
割とくだけた、基本的に主人公の心情吐露のみで構成されていて、
就活あるあるや、採用あるあるを愚痴たりしながら進むので、
ほどよく笑って読める内容だった

しょーもないとも言い難い事件を起こしてしまったため、
一線から閑職である採用係に飛ばされたという設定なんだが、
採用をそういう扱いにしている会社って、そんなにないだろうと思いつつも
そこで一念発起して頑張るのではなく、会社への復讐のため
より会社のためにならない採用を進めようという
斜め上の考え方によって、あれこれ採用活動をしていく様が面白い

真面目にどうしたらいいかを考えている風でもあるが、
割とあてずっぽうで、なんとなくを実践しているだけだが、
顔が整っている、黄金比にのっとっているかどうかだけで判断していくと、
そういう人は潰しがききやすいので、早いうちにやめていくだろうと
そんな判断で、採用活動を続けていく日々、
途中で、ごたごたもあったりするし、だんだんとこの影響かどうかはわからないが
社業が傾いてきて、今度はリストラの仕事をさせられるようになったりと
主人公の意図が、確実になっていくにつれ、そのための奔走が
どんどん優秀な人のそれのようになっていき、
傍目でみるときわめてできる人みたいになってるんだが、
実際、できる人で、だからこそ、復讐のために仕事してるんだったなと
ぐるっとまわって思い知るみたいな感じが奇妙で面白かった

最終的には、この採用基準と鍛錬のおかげで、
ある会社の重要な機密を握るようになってというのと、
そこをどうするという判断、そのあたりの独り言から、彼女が何をしたいのか
どうなりたいのかが、必ずしも語ってきたそれとは異なるのかもしれないという
人間らしいそれになってるのと、やたらかっこいい終わり方になってるのが
シュールでよかったと思うのである

面白かった